テレビ朝日・帯ドラマ劇場「越路吹雪物語」(58話3月29日)、今までの越路吹雪を卒業、新しい越路吹雪を目指して劇団民芸の宇野重吉の下に飛び込んだコーちゃん。
宇野重吉の厳しい稽古に耐え、米倉斉加年との二人芝居「田舎のコメディ」も大好評で、追加公演も行われるほどに。これに気を良くしたのか、千秋楽を終えたコーちゃんの楽屋を訪れた宇野重吉は、次の芝居「桜の園」をやってみないかとコーちゃんに提案。
やるやる!と喜ぶコーちゃんだったが、胃痛に襲われており、そのまま杉尾先生の病院へ。精密検査を受けて手術をすることになったコーちゃん。
手術後、部屋に戻ったコーちゃんは、胃潰瘍だったとお時さんに報告するが、内藤の様子がおかしく、不安になったお時さんが杉尾先生を訪ねて尋ねてみると…。
実は胃癌で、腹膜にも転移。もう手がつけられない状態の末期状態で余命三ヶ月。明日は、満開の桜が散るように、越路吹雪物語が終わりです。
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コーちゃん:ミュージカルから離れたい。芝居がしたいの。
宇野重吉:また僕と仕事がしたいんだって?
コーちゃん:先生のもとで芝居の勉強をさせてください。
宇野重吉:つまんねえの。「私なんでもやれます!」ぐらいの事は言ったらどうだい。
宇野重吉:この芝居終わったらさ次『桜の園』やろうよ。
コーちゃん:やる!やりたい!
コーちゃん:「次もやろう」って!
お時さん:うん!
コーちゃん:これって役者として認められたって事よね?
お時さん:うん。私もそう思った。
コーちゃん:そうよね?そうよね!
そして追加公演も無事千秋楽を迎え…
(拍手)
越路吹雪にとって冒険であり大きな賭けであったその舞台は大成功を収めたのでした。
コーちゃん:うっ…ああ…。
(ノック)
内藤法美:美保子さん!大丈夫?
コーちゃん:法美さん…。ごめんなさい心配させちゃって。救急車呼ぼうか?
コーちゃん:大丈夫。単なる胃痛で救急車なんて呼んだら怒られるわ。
お時さん:お待たせ。車 下につけてもらったから。
コーちゃん:ありがとう。まったく嫌になっちゃうわよねえ。めでたい千秋楽にさ。
お時さん:コーちゃん。
コーちゃん:あっ…。
宇野重吉:具合悪いんだって?
コーちゃん:ごめんなさい心配させちゃって。でも大丈夫。病院行って薬もらえば治るから。
宇野重吉:ああそれならいいけど…。疲れもたまってるだろうからゆっくり休むんだよ。
コーちゃん:はい。
宇野重吉:じゃあまたな。
内藤:じゃあ行こうか。
コーちゃん:うん。
お時さん:私ここ片付けて皆さんにあいさつしてから行くわ。
コーちゃん:うん。
お時さん:じゃああとでね。
内藤:じゃあよろしくお願いします。
お時さん:はい。
内藤:行こう。
コーちゃん:痛っ…!
内藤:大丈夫?
コーちゃん:うん。
内藤:おんぶしてあげようか?
コーちゃん:やだ恥ずかしい…。大丈夫よ。
内藤:じゃあ行こう。
コーちゃん:うん。
お時さん:えっと…。あっ…。
内藤:すいませんたばこ…。
お時さん:たばこね…。
(グラスが割れる音)
内藤:あっ…大丈夫ですか?
お時さん:ごめんなさい大丈夫です。あっコーちゃんに吸いすぎないようにって…。
内藤:はい。ガラス気をつけてください。
お時さん:ありがとう。
(ため息)
お時さん:痛っ…!あっ…。
内藤:ありがとう。
コーちゃん:どういたしまして。どっちにしろ来週はなんにも予定入ってなかったもんね?
お時さん:ええ。
コーちゃん:うーん…。検査してみて先生が言ってたみたいに胃潰瘍だとしてまあひどいと手術したほうがいいみたいなんだけどね。まあそうなっても秋のリサイタルまでに元気になってればいいんだから…。うん!大丈夫ね!
お時さん:ええ。お芝居頑張ったから今は少し休みなさいって事なのよきっと。
内藤:うん。僕もそう思うよ。
コーちゃん:あっでも夏の法美さんとの旅行は行くからね。勝手にキャンセルなんかしないでよ。
お時さん:ああ…そう思うんだったらたばこを控えてください。
コーちゃん:はーい。
お時さん:あらいい子ね。
コーちゃん:元気になったら思いっきり吸ってやる!
お時さん:どうぞ。
検査の結果 胃と十二指腸の間に影が見つかり それが潰瘍なのかがんなのかを判断するために手術をする事が決まりました。
和子:大丈夫…ですよね?
お時さん:ええ。うん大丈夫…。
和子:潰瘍です。
お時さん:うん。あ…そういえば和ちゃんは前看護婦さんだったのよね?
和子:はい。あっでも少しなのでそんなにお役には立てませんが…。
お時さん:ううん心強いわ。
(ドアの開く音)
看護師:失礼します。お戻りになられました。
お時さん:コーちゃん。
内藤:まだぼんやりしてますけど…。
コーちゃん:お時さん…。
お時さん:えっ何…?
コーちゃん:胃潰瘍だって。
出典:テレビ朝日「越路吹雪物語」番組公式サイト
お時さん:そう…!よかった…!
和子:よかったですね…。
内藤:ええ。もう大丈夫です。
お時さん:あとはゆっくり養生しないとね。
コーちゃん:宇野さん…。
お時さん:えっ宇野さん?
コーちゃん:浅利さん…。
お時さん:浅利…あっ心配なさってるわよね。電話してくるわね。
コーちゃん:うん…。
内藤:よく頑張ったわね。ゆっくりお休みなさいね。
コーちゃん:うん…。
お時さん:コーちゃん。
内藤:まだぼんやりしてますけど…。
お時さん:よく頑張ったわね。ゆっくりお休みなさいね。
内藤の様子がなんとなく妙だった気がする時子の胸に突然不安がよぎりました。
お時さん:あっすいません。
看護師:はい。
お時さん:先ほどの手術の事を教えて頂きたいんですが…。
看護師:あ…ご家族の方ですか?
お時さん:あっ…いえ違います。でも…。
看護師:申し訳ありませんがご家族以外にはお話出来ませんので…。失礼します。
(ため息)
(ドアの開く音)
杉尾先生:やっぱりいらっしゃいましたね。
コーちゃん:お時さんは…?
内藤:戻ってきたら起こしてあげるから寝てなさい。
コーちゃん:だって宇野さんたちなんて言ったか聞きたい…。
内藤:だから起こしてあげるから。
コーちゃん:絶対よ?
内藤:ああ。
コーちゃん:法美さん。
内藤:ん?
コーちゃん:ずっとそばにいてね。
内藤:うん。
コーちゃん:ずーっといるよ。よかった…。
杉尾先生:私も岩谷さんにお話しするべきだと思っていました。
お時さん:ありがとうございます。
杉尾先生:おなかを開けてすぐにもう手の施しようのない状態だとわかりました。越路さんのがんは…この幽門付近にかなりの大きさで増大しており胃の外側の腸膜にまで達していました。さらに腹膜にも転移が見られ…。申し上げにくい事ですが余命あと3カ月ぐらいかもしれません。
お時さん:余命あと3カ月…。
杉尾先生:それが少しでも延びるよう全力を尽くします。
お時さん:どうぞ…どうぞよろしくお願いします…!
杉尾先生:…はい。
内藤:最近はがんの事を本人に知らせる医者や家族もいるようですが…僕はそれが嫌なんです。そんな残酷な事…美保子さんには無理だ。
お時さん:私もそう思います。
内藤:ですからあの約束は…。
お時さん:はい。
(回想)
コーちゃん:私ががんになった時の事。
内藤:またそんな事言って。
お時さん:そうよ。縁起でもないわ。やめてよ。
コーちゃん:両親ががんで死んだのよ?私ががんになる可能性が高い事ぐらいわかってるでしょ?だから約束してほしいの嘘はつかないって。お父さんは私の事を考えて病気の事を嘘ついたまま死んじゃったでしょ?私お父さんの事大好きだけど…ううん大好きだから嘘つかれた事悲しい。だからお願い。病気の事では私には嘘をつかないって約束して。
お時さん:あの約束は…破りましょう。
内藤:がんという事を絶対に悟られないように…お願いします。
お時さん:はい…。
(物音)
お時さん:和ちゃん…。
和子:奥様…がんなんですか?
内藤:…ああ。
和子:そんな…!
コーちゃんと和子:♪古いこの酒場でたくさん飲んだから 古い思い出はボヤケてきたらしい 私は恋人に捨てられてしまった 人がこの私をふだつきと云うから ろくでなし♪
お時さん:あらあらにぎやかだこと。
コーちゃん:お時さんお時さん!見て全部食べられたの。
お時さん:あらすごいじゃない。
和子:「おいしいおいしい」っておっしゃりながら。
お時さん:ああそれで上機嫌なのね。
コーちゃん:そう!
コーちゃんと和子:♪人形だいて日暮れに帰ったワ おかみさん達は白い目でにらんだ まるでこの私を♪
手術から1カ月足らずでコーちゃんは退院。その後しばらくしての検査でも異状なしと言われ本人はもちろん時子と内藤もその小康状態を心から喜んだのでした。
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越路吹雪物語キャスト紹介とネタバレ感想を最終回まで(大地真央&瀧本美織主演)
※このコラム内の写真は、テレビ朝日「越路吹雪物語」公式サイトからの引用になりますので予めご了承お願いいたします。
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