なつぞら(104話7月30日)
●新宿「風車」
なつ:亜矢美さんが結婚しないのは その思い出があるからなんですか? もしよかったら教えて下さい。
亜矢美:よくある つまんない話だって。
カスミ:ないわよ あんなこと。めったにある話じゃない。岸川亜矢美をスターにしたのは 岸川亜矢美に恋をした 一人のお客だったのよ。そのお客は早稲田の学生さんでね 毎日のようにムーランに通い詰めてた。
松井:インテリの学生に人気があったからな ムーランは。
なつ:亜矢美さんのファンだったんですか?
亜矢美:ファンっていったって そのころの私は 集団で踊ってる中の一人にすぎなかったからね。年も25だったし。地味で目立たない踊り子だったの。
なつ:何か その方が想像つきません。
カスミ:その学生は想像したのよ。
なつ:えっ?
カスミ:地味で目立たない 自分より年上の踊り子に 恋をしただけでなく 亜矢美ちゃんの才能を信じたのね。
なつ:才能を…?
カスミ:うん。
茂木:伊崎っていったかな その学生。
カスミ:そう。伊崎君 自分でレビューの台本書いてムーランに持ち込んだのよ。
なつ:台本を?
カスミ:そう! それが採用されて おまけに当たってね。それから何本も何本も書いてきちゃ 亜矢美ちゃんをソロで躍らせて…。それで徐々に人気が出始めたのよ。
なつ:まるで おとぎ話みたい…。シンデレラみたい! すごい。
カスミ:亜矢美ちゃんだって あれじゃ恋の落ちるしかないわよね。
咲太郎:母ちゃんは 結婚の約束までしたんだよね その人と。
カスミ:うん…。だけど伊崎君 大学を出る前に学徒出陣でね そのまま帰らぬ人になってしまったわ。
なつ:えっ…。
カスミ:出征する直前 彼は客席で立ち上がって叫んだ「岸川亜矢美 万歳!」って。そして それっきり…。
松井:あれだけの才能をな…。
島貫:どんな天才でも 戦争にもってかれるしかなかったんだ。鉄で出来た俺たちの風車とおんなじように。
亜矢美:私はあの人の才能にこれたってわけじゃないからね。才能ばっかり惜しまないでよ。
茂木:でも まあ もう一度見たかったな。伊崎君の作品で踊る岸川亜矢美を 角筈屋ホールで! ハハハハ…。
亜矢美:ほら だから言ったでしょ。最後はよ~くある話だって。
なつ:亜矢美さん… 悲しいけど すてきな話です。
(嗚咽
藤田:戦後の亜矢美は見てられなかった… 痛々しくて…。あのスターだった亜矢美が生きる気力もなくして…。
亜矢美:親分 話をしめらせないで下さいよ。
藤田:それを救ったのが咲太郎だ! 闇市できったねえ 野良犬みたいな咲太郎を拾ってきて…。
咲太郎:ひでえな 親分。
藤田:ハハハ…。それが亜矢美の生きる力になったんだよ。また踊れるようになったんだよ。
亜矢美:はい おしまい! この話はおしまい。ほら こうやって しんみりしちゃうから だから話したくなかったの。
なつ:ごめんなさい。
亜矢美:そんな しめっぽく謝んないの。
カスミ:よし 歌おう!
亜矢美:いいね カスミねえさん! よっ!
カスミ:♪ 赤いルージュにひかれて 今日もくるくる風車
♪
亜矢美:くる… くるくる回って…。
咲太郎:何言ってんだよ…。
♪
なつ:亜矢美さんは?
咲太郎:眠ったよ。
なつ:酔い潰れるなんて珍しいね 亜矢美さんが。
咲太郎:そうだな。あっ なつ 俺 今から事務所に戻るから母ちゃんのこと よろしくな。
なつ:今から?
咲太郎:うん。やることがあるんだよ。
なつ:もうほとんど そっちで暮らしてるみたいだね。
咲太郎:忙しいからな。
なつ:ふ~ん。ねえ お兄ちゃん…。
咲太郎:うん?
なつ:亜矢美さんが今まで結婚しなかったのは 伊崎さんって人がいたからなんだね。
咲太郎:俺もその話を聞いてからは 何も言えなくなった。母ちゃんには また幸せになってほしかったけどな。
なつ:お兄ちゃんといることが理由じゃなかったんだね。
咲太郎:バカ… そこまで俺の面倒を見る義理はねえだろ。
なつ:うん… まあ そうだよね。
咲太郎:じゃ 母ちゃんのこと頼むな。
なつ:うん。
♪
亜矢美:咲太郎…。
●東洋動画テレビ班
新しい年でも 相変わらず なつは仕事に追われる日々でした。「百獣の王子サム」は大人気となって アニメーターや演出家も 次々と新しい人間が投入され 放送期間は1年半にもなってゆきました。
荒井:よっしゃ 今日もいったってや~! どんな感じ?
その間に なんと茜ちゃんがあの人と電撃結婚をしました。
一同:ええ~っ!
下山:いや~ 一か八かで告白をしたら オーケーをもらいました。
(拍手)
下山:皆さんの前で 僕は永遠の愛を誓います!
茜:いやいや… ここで誓わなくてもいいから!
(拍手)
神地:ちょっと待った!
茜:神っち…。
茜:いや それはないよ 茜ちゃん!
堀内:往生際が悪い。
茜:自分でも驚いてるのよ。でも… 前から好きだったって気付いたの。
下山:僕も驚いています。
スピーカー:♪「東洋行進曲」
神地:茜ちゃん 最後に俺と踊って下さい!
茜:えっ?
神地:君との別れのダンスを体が覚えていれば いつか仕事の役に立つ時が来ると思うんだ!
茜:う… うん いいわよ。
神地:あっ 手… はい。あっ ちょっとあっち行って。
下山:うわっ ちょっと おい…!
神地:ステップ。
茜:ステップ?
神地:ステップ。
茜:何?
坂場:さすが神っち。
なつ:どんな時も前向きだわ。
スピーカー:♪「東洋行進曲」
神地:回って 回ろう 回ろう 回ろう… 回って 回って…回ろう 回ろう…。
なつには全くそんなこともなく テレビに追われる日々が続きました。そして翌年の春。
●東洋動画会議室
井戸原:下山君。君には今度 長編映画の作画監督になってもらいたい。
下山:作画監督?
仲:原画や動画 全てを監修して1本の作品に仕上げる そういう責任がある者を置こうと思ってるんだ。
井戸原:つまり アニメーターの仕事を全て指揮する監督だ。いいね。茜ちゃんを物にした君のしたたかさに我々はかけてるんだ。
下山:それ関係ないでしょう。
井戸原:うん まあ冗談なんだけどね。
下山:は?
井戸原:我々としては君しかいないと思ってるんだよ。
下山:分かりました。
仲:そこで どんな企画がいいのか 演出家は誰がいいか それを考えて我々に提案してくれないか。
下山:はあ…。あっ… だったら 演出はイッキュウさん… 坂場一久君でお願いします。
井戸原:いや 彼はダメだよ。彼にはテレビを続けてもらうことになってるんだ。
下山:なんとか彼にチャンスを与えてやってくれませんでしょうか?仲さん お願いします。
仲:長編漫画映画は 今 お客の数が減ってきてる。失敗したら 後がないかもしれないよ。
下山:だったら なおさら 僕と一緒にやるのは坂場イッキュウしか考えられません!
●東洋動画テレビ班
なつ:どうしたんですか?
坂場:ちょっと…。
●東洋動画・階段踊り場
なつ:えっ? 長編映画を?
坂場:うん。下山さんが仲さんたちを説き伏せてくれたんです。
なつ:あ そう… それはよかったですね。
坂場:もちろん 君にもテレビを抜けて こっちの原画に参加してもらいたいと思ってる。
なつ:うん… もし 会社がそうしろと言うなら喜んで。
坂場:そ… そして もし… もしこの長編映画を成功させたら 成功したら… 僕の人生には… 君が必要だということになります。
なつ:は?
坂場:僕と…。
なつ:えっ…。
坂場:ぼ… 僕と… 僕と… 僕と! 結婚して下さい。結婚… してくれませんか?
なつよ… 出た。
●感想
こんな大切なプロポーズの日なのに、あまりネットでは話題になっていないので少々寂しい坂場イッキュウさん、という感じでしょうか。
今日が火曜日で、金曜日に2人に一悶着あって土曜日に再び求婚、そして北海道へ、という展開で、待ち遠しい泰樹じいちゃんと書いて、明日もよろしくお願いします。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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