なつぞら(107話8月2日)
イッキュウさんの初監督漫画映画は大失敗しました。
●東洋動画作画課
社員A:ダメだよ クライマックスになる頃には子どもが退屈しちゃって通路を走り回ってんだから。
社員B:無理なんだよ あの哲学的な内容を子どもに楽しめって言ってもさ。せめてもう少し笑える場面でもあったらな。
社員A:演出家にユーモアがないからしょうがいないけど。
社員B:ハハハ…。
●東洋動画社長室
山川:「神をつかんだ少年クリフ」はこの東洋動画スタジオ始まって以来の興行成績で最低記録を出すことは確実と言える状態だ。
坂場:申し訳ございません。
山川:製作期間もその予算も倍近くかかって この成績だ。再三にわたる会社の忠告を無視して 君が信念を貫いた結果だよ。
坂場:分かっています…。
山川:この作品に関わった全スタッフの昇給およびボーナスのカットを覚悟してもらいたい。
坂場:待って下さい。責任は全て私一人にあります。
井戸原:無論 君だけじゃない。責任は君の暴走を許したこの私にもある。映画部長である私は その任を解かれることになるだろう。後任は親会社の東洋映画から送り込まれ 我々が自由に企画を決めることはこれでもうできなくなるだろう。そのがどういうことか君には分かるかね?
坂場:責任は取るつもりです。よろしくお願いします。
●喫茶「リボン」
(ドアの開閉音)
店員:いらっしゃいませ。
坂場:アイスコーヒーで。
店員:かしこまりました。
なつ:お疲れさま。
坂場:うん。
なつ:すぐ出てもいいけど コーヒーやめる?
坂場:いや ちょっと話が…。
なつ:うん。分かった。
店員:失礼します。
坂場:映画はすごく不入りみたいだ。
なつ:うん… みたいだね。
坂場:でも悪い映画じゃないと思ってる。いい映画を作ったと僕は思ってるんだ。今でも。
なつ:私も本当に気に入ってるから。うん… 今まで作った中で一番よ。私思うんだけど大人の人にも見てもらえるように宣伝してくれたらいいのに…。そう思わない?
坂場:僕にはもう作れないんだ。
なつ:どうして?今度はあれよりももっとすごいものを作ればいいじゃない。私は絶対に作りたいけどな また。
坂場:会社を辞めたきた。君を含め スタッフにはこれから待遇の面で迷惑をかけることになる。その責任を取らなくてはならない。たとえ 会社に残ったとしても もう演出はできないだろう。
なつ:ねえ もっとよく考えたら?仲さんや露木さんには相談したの?
坂場:僕は終わった。もう終わったんだ。
店員:お待たせしました。
なつ:そう…。
坂場:だから 結婚はできない。僕のことは忘れてくれないか。
なつ:どうして?仕事と結婚は別でしょ?
坂場:僕は嫌なんだ…。
なつ:嫌?
坂場:君の才能を誰よりも生かせる演出家になりたかった。今の僕はその資格を失ったんだ。結局 君を幸せにする才能なんて僕にはなかったということだ。
なつ:そっか… そういうことか…。
坂場:そういうことです…本当に申し訳ない。
なつ:おかしいと思った。
坂場:え?
なつ:考えてみれば 一度だってあなたに好きだと言われたことはなかったもんね。私の方はいつ イッキュウさんのことすきになったんだろうって考えてたのね。一緒に短編映画を作った時か…一生かけて一緒に作りたいって言ってくれた時か…。まあその前にアニメーションにしかできない表現とは何かって話をしてて イッキュウさんの言ったことにしびれたこととか…。
回想坂場:ありえないことも 本当のように描くことです。違う言い方をするならば ありえないことのように見せて本当を描くことです。そう思います。
なつ:あれは本当に参った…。それ以来 私はその言葉に恋をしたんです。ありえないことも本当のように描くこと…。私の人生には本当にそんなことばかり起きてるから…。戦争で孤児になって親を失って 両親とも離れてきょうだいとも離れたけど… ありえないようなすてきな家族に恵まれて ありえないような自然の中で幸せに育って…。上野で浮浪児をしてた時に一緒にいた信さんがある日 また会いに来てくれてそれで行方不明だったお兄ちゃんにも会えたし もうダメかと思った妹もありえないような幸運で今はどこかで幸せに暮らしてるって信じていられるし… 自分のわがままで北海道出て 好きなアニメーターにもなれて ありえないような楽しいことがいっぱいあって だから… これ以上の幸せはないなって思ってたから…。やっぱり これ以上はありえなくても文句は言えないけど 私は…。私はあなたの才能を好きになったわけじゃありません! あなたの言葉を… 生きる力を好きになったんです。あなたを好きになったの ありえないくらい…。だけど あなたは違った…。好きじゃないことを才能のせいにしないで下さい。そんな人とは一緒にいたくない…。さようなら。
●新宿「風車」
亜矢美:お帰り。
なつ:ただいま。
亜矢美:どうした? 具合でも悪い?
なつ:大丈夫です。
●東洋動画・中庭
下山:あ… イッキュウさん 来てたか。
仲:驚いたよ。昨日 退職願を出したんだって?
坂場:はい。
仲:君が一人で責任を負うことじゃないよ これは。
下山:そうだよ。君が辞めるんだったら作画監督の僕も辞めなくちゃならない。僕のためにも 取り消してくれないか?
仲:一緒に行こう。
坂場:いいんです。それより 奥原さんは?
下山:なっちゃん? なっちゃん 今日 まだ来てないみたい。
仲:みんな 君のやりたいことについていったんだ。なっちゃんだって 僕だって…。完成した映画にも満足してるよ。あんな漫画映画見たことがない。そういうものが日本で作れたんだ。世界にだって あんな漫画映画 まだないよ。
坂場:そんなことは どうだっていいんです!
下山:なげやりになるなよ。
坂場:それよりも大事な… もっと大事なものを僕は失ったんです…。
下山:えっ?
仲:坂場君…。
●四谷・風車プロダクション
(咲太郎と亜矢美の電話)
咲太郎:なつがおかしい?
亜矢美:うん… ゆうべ帰ってきて部屋に入ったきり ごはんもいらないって。で 今日は会社にも行かないの。
咲太郎:具合でも悪いのか?
亜矢美:何か… ずっと泣いてるみたい。
咲太郎:泣いてる?
亜矢美:うん… そんな感じがするってことかな。
咲太郎:感じ? 見たわけじゃなくて?
亜矢美:だって… 開けて見るわけにはいかないからさ。だけど あれは絶対 何かあったな…。
咲太郎:何があったの?
亜矢美:それはやっぱり あれじゃないのかな…。
なつよ…。
●感想
「なつぞら」始まって以来の一番長いセリフが誕生。
あれは本当に参った…。それ以来 私はその言葉に恋をしたんです。ありえないことも本当のように描くこと…。私の人生には本当にそんなことばかり起きてるから…。戦争で孤児になって親を失って 両親とも離れてきょうだいとも離れたけど… ありえないようなすてきな家族に恵まれて ありえないような自然の中で幸せに育って…。上野で浮浪児をしてた時に一緒にいた信さんがある日 また会いに来てくれてそれで行方不明だったお兄ちゃんにも会えたし もうダメかと思った妹もありえないような幸運で今はどこかで幸せに暮らしてるって信じていられるし… 自分のわがままで北海道出て 好きなアニメーターにもなれて ありえないような楽しいことがいっぱいあって だから… これ以上の幸せはないなって思ってたから…。やっぱり これ以上はありえなくても文句は言えないけど 私は…。私はあなたの才能を好きになったわけじゃありません! あなたの言葉を… 生きる力を好きになったんです。あなたを好きになったの ありえないくらい…。だけど あなたは違った…。好きじゃないことを才能のせいにしないで下さい。そんな人とは一緒にいたくない…。さようなら。
すずちゃんすごいと書いて、明日もよろしくお願いします。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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