なつぞら(109話8月5日)
なつと坂場のイッキュウさん 2人は結婚を報告するため 北海道の十勝にやって来ました。
坂場:この中で君は育ったのか。
なつ:うん。ね 思わず駆け出したくならない?
坂場:えっ?
なつ:私ね 今の父さんに連れられて 初めてここに来た時 東京の焼け野原とは違う 本当の野原を見て思わず駆け出したのを覚えてる。
回想なつ:お~!
なつ:タンポポが咲いてて それ見て 思わず食べたくなったの。でも本当は不安でしょうがなかったの こらからのことが。えっ? あ 不安なんだ…。あっ! ねえ 糞とかあるから気を付けて!
坂場:うわっ…!
なつ:あ~あ…。
坂場:あっ…。
●十勝・柴田家居間
坂場:初めまして 坂場一久と申します。よろしくお願いいたします。
富士子:それで?
坂場:はい。
富士子:挨拶はそれだけですか?
坂場:あっ ああ… あの…。
剛男:富士子ちゃん こっちからせかさなくても…。
富士子:早くくつろいでもらいたいんだわ。早く家族になってもらいたいのさ。
照男:気が早いべさ ばあちゃん。
富士子:ばあちゃんなんて言わないでや 他人の前で。
照男:今 家族だって言ったばっかりだべ。
富士子:したから まだだべさ。
坂場:はい 分かりました。はい…。
なつ:別に無理して分からなくていいから。自分のタイミングでいいんだから。
夕見子:みんな知ってるんだからさ もう イッキュウさんがここに何しに来たかを。形ばかりのことだべさ。
富士子:結婚は形が大事です。
夕見子:ちょ… 結婚って 先に答え言っちゃったんでないの。
富士子:あっ…。
坂場:あの 私 坂場一久は なつさんと結婚したいと思っております。どうかお許し下さい。あっ…。 お嬢さんを僕に下さい!
富士子:えっ… そうなの? なつ。
なつ:えっ?
砂良:形だけよ。
なつ:あ… はい。 そういうこと。
富士子:そうですか…。分かりました。ふつつかな娘ですが どうかよろしくお願いいたします。
坂場:ああ… はい。
なつ:母さん ありがとう。
夕見子:はい これで済んだね。
剛男:したけど 今のは母親の言うことかい? 普通は父親でないのか?
悠吉:そだな。
菊介:何かおかしいと思ったんだ。ハハハハ…。
富士子:したら ほら あんたからも何か言って。
剛男:ああ…。あの坂場さん ふつつかな娘ですが どうかよろしくお願いいたします。
坂場:はい。
剛男:て ほら 同じことしか言えんべさ。
なつ:父さん ありがとう。
剛男:おめでとう なつ。
富士子:じいちゃんからも何か言うことないの?
泰樹:なつを本当に幸せにできるのか? なしてすぐに返事できねえ!
なつ:じいちゃん。
富士子:どうしたの?
剛男:無理に違うことを言わなくていいんですよ。
坂場:幸せにします きっと…。
泰樹:きっとって何じゃ?
坂場:あっ…。
なつ:まあ 先のことは誰にも分からんでしょ。
泰樹:分からんから約束しとるんじゃ。その きっとが引っ掛かる。
坂場:いや あの実は 堂々と言えない事情がありまして…。
なつ:ねえ それはまだいいから。
泰樹:事情って何じゃ?
坂場:会社を辞めたんです。
一同:えっ?
坂場:今は無職なんです。
泰樹:男にとって結婚はけじめじゃ。仕事もなくて けじめがつけられるか。
なつ:働かないと言ってるわけではないから。
富士子:そうだね。何か考えがあって辞めたんでしょ。ねえ。
坂場:いえ 仕事に失敗して責任を取っただけです。
富士子:クビに近いんでないの? それは。
剛男:富士子ちゃん。
砂良:仕事って あの映画?
なつ:あ… うん。
砂良:帯広に見に行ったわ 地平と一緒に。
なつ:どうだった?
砂良:もう 途中で地平が…。何か難しかったみたいで。
なつ:ちー君 おばちゃんの映画 面白かった?
地平:つまんなかった。
照男:地平!
なつ:いいのさ 正直で いいの…。
明美:私も見たけど 私は面白かったわ なつ姉ちゃん。
なつ:明美ちゃんみたいな大学生とかが たくさん見てくれたら いかったんだけど。会社の大赤字を出させてしまって…。
夕見子:大丈夫だって 仕事なんか。すぐ見つかるって。ね イッキュウさん。
坂場:はあ…。
悠吉:そだ 東大出てんだもな。
菊介:そろばんだってできんだべ?
悠吉:バカ! そろばんどこの話じゃねえべや。
剛男:ほら 坂場君はイッキュウさんって呼ばれてるっていうべさ。ちょうどいい ここでひと休みだ。
富士子:したけど 坂場さんのキュウは 永久の久でないの?
夕見子:そういうこと言わないのさ。
泰樹:休んでる場合か。仕事見つけて ここに来るのが筋だべ。
なつ:待って じいちゃん!
剛男:もう どうでもいいしょや そったらことは! この人はなつが選んだ人ですよ! 結婚望んでるのは ほかでもない なつだべさ! なつの選んだ結婚相手に 文句があるっていうんですか? なつの見る目に狂いはないと私は信じてます! したって お義父さんの孫でないですか!
泰樹:うう…。
夕見子:よし よく言った 父さん。
明美:私も父さんに賛成!
照男:俺もだ。咲太郎さんも賛成してくれてるんだべ?
なつ:うん。
砂良:もちろん 私も大賛成。
地平:僕も!
(笑い声)
富士子:何さ 一人だけ いいこと言っちゃって。
剛男:すまん。
菊介:そこで謝るんかい ハハハハハ…。
悠吉:おやっさん。
なつ:じいちゃん… お願いします。
坂場:なつさんを必ず幸せにします。約束します。
泰樹:初めから そう言やいいべや。
坂場:はい…!
なつ:ありがとう じいちゃん!
●柴田家・作業場
なつ:さっきの父さん かっこよかったわ。堂々とじいちゃんに ものが言えるようになったんだね。
菊介:そりゃ 剛男さんは今や 音門別農協の専務だからな。貫禄もつくべや。農協に夕見子ちゃんも就職したべさ。夕見子ちゃんに恥ずかしいとこは見せられないもな。
なつ:そうか。今は夕見の上司だもんね。
菊介:富士子ちゃんには 相変わらず弱いけどな。
(笑い声)
照男:なつ。
なつ:うん?
照男:夕見子は今 すごいこと考えてんだ 農協で。
なつ:すごいこと?
照男:うん。視察旅行とかって 外国行ってたんだ。
なつ:外国?
照男:組合長に誘われてな。
なつ:組合長? 今も田辺さん?
照男:うん。
なつ:へえ~ あの田辺さんに信頼されてるんだ。さすが夕見だね ハハ…。
坂場:いいですね 皆さんの暮らしは。
悠吉:わしらの暮らしが いんかい?
菊介:何がいんだ?
坂場:生産の美をいくらでも追求できるところです。
菊介:何のび?
なつ:生産。美って 美しいってことでしょ。
坂場:この暮らしこそが 人間の美徳ですよ。
菊介:したけど 牛飼いは どんなにもうからなくても誰にも文句言えねえし まあ ただ牛飼いだから しかたなくやってるだけだわ。
坂場:それではダメだと思いますね。
菊介:は?
坂場:いや しかたなくやってるなんて そんなこと言ったら牛が泣きますよ。
なつ:ちょっと。
菊介:都会から来て 何言ってんだ? あんたは。牛飼いのことは何も分からんべさ。
悠吉:やめれや。
坂場:確かに人間は食うために働く 生きるために牛飼いをするのは正しいことだと思います。しかし そこに生産することの喜びを見いだすことができるから 牛飼いをすることで 人に喜びを与えることができるからこそ 牛飼いに誇りを持てるんじゃありませんか? うん… どんな仕事でも人を感動させることはできます。農業にも酪農にも そういう精神は必要じゃないでしょうか?
泰樹:おい 何してる? 早く仕事をしろ。
悠吉:あっ… おい。
菊介:なっちゃん ごめん よく分からんわ。
●柴田家・夕飯時
弥市郎:熊の肉だ。
照男:坂場さん 熊なんてめったに食えるもんじゃないですよ。
坂場:はい。
砂良:熊をとろうなんて よく思ったね 父さん。
弥市郎:結婚と聞いて 無性に熊が撃ちたくなった。
(銃声)
照男:それって… 俺のことですか?
砂良:何だ そういうことかい。
照男:納得すんのかい。
泰樹:わしにも その銃貸せや。撃ちたいやつがおる。
なつ:じいちゃん。
泰樹:ハハハ… 冗談だべ。
坂場:あっ… ハハハハハハ…。ハハハハ ハ…。
富士子:さ 食べて。
坂場:はい 頂きます。
なつ:あ… そうだ 夕見 照男兄ちゃんから聞いたんだけど 農協で何かすごいこと考えてんだって?
夕見子:ああ そう。バターだわ。
なつ:バター?
夕見子:なつが好きだった あのバターだわ。
なつ:じいちゃんのバター?
泰樹:うん…。
夕見子:そのバターを農協で作ろうとしてんのさ。
回想なつ:おじいさんのバターが出来たよ!
なつ:えっ じいちゃんのバターを農協で!?
泰樹:うん。
剛男:十勝の農協が集まって 乳製品の工場を作ろうとしてるのさ。いわば 酪農家自らが設立する乳業メーカーだな。
なつ:へえ~ 農協が今度は乳業メーカーまでやろうとしてんの!
なつよ 君の大好きなふるさとにも 新しい風が吹いている。
●感想
無職で結婚を申し込む坂場イッキュウさん。それを無謀と捉えるか、あるいは度胸があると思うのかは、その時々の雰囲気も関係し、昭和41年はどんなであったであろうと。
ということで、遠い昔、無職中に求婚した記憶が蘇ったこのおじさんは、今週も頑張りますのでよろしくお願いいたします。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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