なつぞら(110話8月6日)
●十勝・柴田家居間
なつ:じいちゃんのバター? えっ じいちゃんのバターを農協で!?
泰樹:うん。
剛男:十勝の農協が集まって 乳製品の工場を作ろうとしてるのさ。いわば 酪農家自ら設立する乳業メーカーだな。
なつ:へえ~ 農協が今度は乳業メーカーまでやろうとしてんの!
剛男:その先頭に立ってるのが うちの田辺組合長だ。
なつ:その田辺組合長に 夕見は信頼されてるんだって?
夕見子:まあね。半分は通訳を兼ねて一緒にヨーロッパに視察旅行に行ってきたからね。向こうじゃ 酪農家自らチーズやバターを作って売ってるのさ。立派な工場だって持ってる。それを十勝でもやろうとしてんのさ。
なつ:すごいね。
坂場:すばらしい考え方です。
富士子:おかげで 夕見子もなかなか結婚のことを考えてくれないんだわ。
夕見子:また すぐ そったらこと言う。
なつ:ごめんね 夕見。夕見より先にして。
夕見子:大丈夫。全然羨ましくないから。
♪
弥市郎:あっ まあ はい。
坂場:あっ すみません。
明美:でも おかしいでしょ なつ姉ちゃん。あんなに牛乳や牛が嫌いだった夕見姉ちゃんが 結局 なつ姉ちゃんに代わって 今じゃ じいちゃんのバターまで作ろうとしてんだから。
なつ:そだね… 本当にそだね! じいちゃん いかったね。
泰樹:新しいことしなけりゃ 十勝の牛飼いは 牛飼いの喜びを感じることもできなくなってるんだ。
なつ:牛飼いの喜び…。
●帯広「雪月」
妙子:ありがとうございました。
次の日 なつとイッキュウさんは 帯広に来ました。
妙子:いらっしゃい… あれ!
なつ:こんにちは。
雪次郎:あっ なっちゃん!
なつ:おお~!
雪次郎:イッキュウさん!
坂場:お久しぶりです。
雪次郎:待ってたわ。昨日 こっちに来たのかい?
なつ:うん。元気そうだね 雪次郎君。
元気だ。いや~ 俺はこうなると信じて待ってたわ。
妙子:まあ 座って。今 うちの人と ばあちゃんにも知らせてくるからね。
なつ:あっ おばさん これ 最近売られてる東京のお菓子。おじさん 興味あるかなと思って。
妙子:そりゃ喜ぶわ。ありがとう。
雪次郎:ありがとう。
妙子:ゆっくりしてって。ね…。
雪次郎:あっ イッキュウさん うちの菓子 何でも好きなの食べてみて。
坂場:はい。すっかり菓子職人になったんですね。
雪次郎:あ… はい。結局 役者より職人の方が向いてたのかもしれません。
なつ:もうお菓子作ってんの?
雪次郎:まあ 最近やっとな。したけど ここにあるのは全部 おやじが考えて作ったんだ。自分の菓子が作れなくちゃ 一人前とは言えねえべ。あっ 咲太郎さんや亜矢美さんは元気かい?
なつ:うん。あっ お兄ちゃんの会社も どんどん忙しくなってるみたい。
雪次郎:そうか…。俺がいなくても東京は回るんだな。
坂場:実は僕も会社を辞めたんです。
雪次郎:えっ? えっ?
雪之助:なっちゃん なっちゃん なっちゃん! なっちゃん! あ~ なっちゃん いらっしゃい!
とよ:なっちゃん おめでとう!
なつ:とよばあちゃん おじさん ご無沙汰してます。
とよ:どれ どれ どれ どれ。なっちゃんをもらいに来たって人は あんたかい?
坂場:はい。
とよ:頭いいんだってね。
雪之助:やめれ。なれなれしいべ いきなり。
とよ:なっちゃんの相手なら うちの親戚もおんなじだべさ。
雪之助:親戚でもなれなれしいわ。なっちゃん お土産ありがとね。
なつ:あっ いえ。
妙子:東京では もう雪次郎もいろいろお世話になったみたいで…。
坂場:いえ こちらこそ。あの 坂場一久と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
雪之助:あ… これはどうも。帯広 雪月の小畑でございます。
妙子:まあ座って。座って 座って…。
とよ:柴田のじいさんに殺されなかったかい?
坂場:は… はい。
なつ:なんとか許してもらえたみたい。
とよ:なんとかかい? やっぱし ヤキモチ焼いたのかい?
なつ:いや そういうんじゃないんだけど…。
雪次郎:会社を辞めたから?
とよ:えっ?
なつ:まあ… そんなとこ。
雪之助:えっ 会社ってなっちゃんの?
なつ:いや 私は辞めてないんですけど この人は辞めてしまって。
とよ:したら 今は無職かい?
坂場:はい。
とよ:それは反対されても無理ないべさ。それでよく来たね。
雪之助:やめれって。
坂場:すぐに次の仕事を見つけようと思ってます。
とよ:そら そうだわ。
なつ:それで私も満足なんです。
とよ:なっちゃんにとったら そったらこと 苦労のうちに入らんもね。
なつ:はい。ず~っと強い とよばあちゃん 見習ってきましたから。
とよ:うれしいこと言ってくれるね。
(笑い声)
雪之助:あっ そうだ なっちゃん ウエディングケーキは 俺にタダで作らせてくれよ。
なつ:えっ?
雪之助:世界一のな 十勝のケーキ作る。じいちゃんの牛乳でな。
なつ:ありがとう おじさん。
妙子:なっちゃんには本当 お世話になったからね。もう ケーキなんて安いもんよ。幸せになってくれて本当にいかった。おめでとう。
なつ:おばさん ありがとう。
坂場:すみません。あっ あの… 仕事はなんとかしますから。
大丈夫 イッキュウさん。慌てない 慌てない。
とよ:あ~れ! ほれ あれ 先生!
なつ:ああ… 倉田先生!
倉田:やあ。
なつ:何で!
雪次郎:俺が知らせたんだ。なっちゃんが今日ここに来るって。
なつ:え~!
倉田:奥原なつ 元気だったか?
なつ:はい。
倉田:よし。お前の漫画映画はいつも見さしてもらってるよ。「神をつかんだ少年クリフ」あれは…。すばらしかったな。お前の魂を感じた ハハハ。
なつ:よかった…。うれしいね…。
坂場:ありがとうございます!
倉田:うん… ん?
雪次郎:あっ 先生 その映画を演出したのが この人イッキュウさんです。
倉田:イッキュウ…?
雪次郎:あ… じゃなくて 坂場一久さんです。この人と 今度 なっちゃんが結婚することになったんですよ。
倉田:ああ そうかい。君があの映画を…。うん あれを作った君なら 奥原を安心して任せられる。奥原なつを どうかよろしくお願いします。
坂場:こちらこそ よろしくお願いします。
雪次郎:いかったな なっちゃん。
なつ:うん ハハ…。
雪之助:あ~ いらっしゃい。
なつ:あ~!
門倉:おお… 奥原!
なつ:よっちゃ~ん!
良子:なっちゃ~ん!
なつ:なしてよ よっちゃん! 私を置いて こんな人と結婚したの!
門倉:えっ?
良子:ごめんね なっちゃん…。なっちゃんがいなくて つい寂しくて… 魔が差したの!
門倉:ええ?
なつ:よっちゃ~ん!
良子:なっちゃ~ん!
倉田:まあ いいじゃないか 一緒にはなれたから。な。
門倉:そうっすね…。
♪
雪次郎:はい どうぞ。
なつ:ありがとう 雪次郎君。ここでみんなに会えるとは思わんかったわ。
雪次郎:なんも なんも。
門倉:お前 天陽は呼ばなかったのか?
雪次郎:えっ?
良子:バカでないの あんたは!
門倉:あっ すまん…。
なつ:なんも なんも。もちろん 天陽君にも会いたいと思ってんのさ。あっ この人も天陽君の絵が好きなんだわ。
坂場:はい。できれば たくさんの絵を見たいと思っています。
倉田:あいつは今や立派な画家だ。あっ もちろん 職業的にという意味ではなく あいつの生き方そのものが画家なんだ。土を耕し 牛の乳を搾り 家族と生きている その手から 自分の作品を生み出している。したから あいつの絵は純粋で尊いんだ。
雪次郎:あっ 天陽んとこ おととし 男の子が生まれたんだわ。
なつ:知ってる… よっちゃんのとこは 2人いるんだっけ?
良子:気付かないと思うけど 今 ここに3人目。
なつ:いや… たたいちゃダメっしょ!
門倉:雪次郎 お前もグズグズするな。いつまで一人でいるつもりだ。根性入れて 相手を探せ! ねえ おばさん。
妙子:本当。もっと言ってやって。
雪次郎:俺はいんだよ まだ。
門倉:何で?
雪次郎:寄り道したから まだ半人前だ。
なつ:フフッ。あっ 倉田先生。
倉田:うん?
なつ:農協が今度 自分でバターを製造する乳業会社を作ろうとしてるみたいなんです。
雪次郎:バターを?
倉田:奥原も聞いたか。いいかい? これは非常に画期的なことなんだ。農民が企業に頼らずに 自ら作った乳製品を消費者に届けようとしているんだからな。
門倉:北海道の牛飼いは 8割から9割が赤字経営だ。良子の家の牧場 俺が継いでよく分かった。
良子:メーカーが買う北海道の牛乳は ほとんどがバターとかの加工用で安いんだわ。
門倉:柴田牧場だって楽じゃねえべさ。
なつ:そうなんだ…。
倉田:だから 農協自ら工場を作ろうとしているのさ。まあ それこそ 田辺組合長の言っていた 酪農王国への道なのさ。
なつ:酪農王国…。
回想田辺:この十勝全体を 全国一の酪農王国にしたいんだ。
雪次郎:それを 夕見子ちゃんもやってるんだな。
なつ:うん。
●音門別農協・組合長室
(ノック)
夕見子:組合長 大変です!
田辺:どした? 夕見子さん。
夕見子:国から横やりが入りました。
田辺:横やり?
夕見子:十勝の市町村長宛てに 集約酪農地域についての速達文書が届いたみたいです。
田辺:それは 十勝全体を集約酪農地域に指定するということかい?
夕見子:そういうことです。それも今日届いたのに その返答をあさってまでにしなくちゃならないそうです。
田辺:あさって? あさっては日曜でないかい!
夕見子:そうです。ほとんど こっちには時間がありません。
剛男:組合長 どうしますか? これはどう考えても 工場建設に対する妨害です!
●柴田家居間
なつ:その集約酪農地域っていうのに 指定されると どうなっちゃうの?
剛男:酪農地域として国の補助が受けられる。あっ ありがとう。
なつ:それって悪いこと?
剛男:勝手に乳製品工場を建てられなくなるのさ。
夕見子:国が我々の計画に反対してるってことよ。恐らく 裏でメーカーが働きかけてるのさ。
剛男:したから そういうやり方で潰しに来たんだ。
富士子:恐ろしいわね。
坂場:世の中の仕組みを変えようとしてることですからね。
なつ:それでどうなるの? 工場は建てられなくなるの?
剛男:いや 建てる道は一つだけある。明日中に届け出を出せばいんだ。
なつ:明日中に?
夕見子:そう。集約酪農地域に指定される前なら 工場新設の届け出だけで工場は建てられる。
坂場:明日は土曜日ですね。
剛男:そうなんだよ。明日中といっても お役所は午前中しかやってないから それまでに組合長会議で決定して届け出も出さなくちゃならない。
富士子:午前中に全部かい。
夕見子:その準備に追われて 今日はこんな時間になったの。
泰樹:わしらにも できることあるかい?
剛男:お義父さん。
夕見子:じいちゃん…。そだ じいちゃんらも できれば会議に出て!
なつ:えっ?
剛男:なして?
夕見子:酪農家が結束してるところを見せれば 組合長たちも迷わないべさ。
剛男:あっ… したら 明日の朝 できるだけ人を集めよう。
なつ:えっ したら 私も行く!
坂場:僕も行かせて下さい!
剛男:えっ?
坂場:あっ いや… なつさんが大切にしている十勝の酪農のことを 少しでも知りたいんです。
泰樹:勝手にすりゃいいべ。
坂場:はい!
●柴田牧場・作業場
泰樹:そういうことで みんな 農協に向かってくれ。
菊介:はい。
悠吉:おやっさん 分かった。行くべよ。
坂場:菊介さん 先日は申し訳ございませんでした。
菊介:は?
坂場:皆さんの苦労を何も知らずに 軽はずみなことを言いました。
菊介:いや…。
坂場:皆さんの工場を必ず造って下さい。応援しています。
なつよ この人はこういうことが本当に好きなんだな。
なつ:うん。
●感想
久しぶりに大量のセリフが飛び出し、ひぇ~と朝から悲鳴の8月6日火曜日は、広島原爆の日。
戦争のない平和を願い、黙祷します。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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