なつぞら(46話5月23日)
●「川村屋」厨房
杉本:お前 何度言ったら分かるんだ! 仕事は見て覚えるんだ。いちいち指示待つな。本当にやる気あんのか?
雪次郎:はい!
杉本:お前のやる気は返事だけなんだよ。
雪次郎:はい!
なつ:頑張れ…。
●「風月」
咲太郎:俺のせいか…!? 俺のせいでなつは一人で東京に来たのか…!
亜矢美:北海道で妹さんは それはそれは苦労してきたらしいよ。
咲太郎:いや そんなことはないだろう! 去年の夏に会った時は 幸せだって言ってたよ。一緒にいたおばさんだって…。
亜矢美:バカ!お前がそう言わせたんだろうが。かわいそうにねえ… 小さい時から牧場でさんざんこき使われて もう朝から晩まで牛の乳搾りだ…。あっ 手がしばれるわとか言ってると 乳も搾れねえで学校なんて行くんでねえ。ビシビシビシ~ッて…。
咲太郎:ひでえ…。それじゃ 孤児院よりひでえじゃねえか!
亜矢美:で やっと大人になってお前に会いに来たわけだ。
咲太郎:どこにいるんだ? なつは。
亜矢美:川村屋。誰かの借金を返すために皿洗いをしてるらしいよ。
咲太郎:えっ…。
亜矢美:どうしたもんかねえ… このまんまじゃねえ 人間のクズだわな!
咲太郎:分かってるよ! チクショー… 許せねえ…。北海道め…。許せねえ!
その日の閉店後 なつは店の片付けを手伝っていました。
●「川村屋」
(戸が開く音)
なつ:あっ すいません 今日…。
咲太郎:なつ! 遅くなって悪かったな。
なつ:お兄ちゃん!
咲太郎:なつ お前を迎えに来たんだ。
なつ:どういうこと?
佐知子:咲ちゃん!
咲太郎:お~ さっちゃん! 元気か?
佐知子:咲ちゃんも元気そうでよかった。
咲太郎:ああ 俺は元気だ。
なつ:すいません 佐知子さん ちょっといいですか?
咲太郎:ごめん さっちゃん。また今度。妹がすねてるから。
なつ:すねてないけど!
咲太郎:あっ 妹のことは知ってるよね?
佐知子:もちろん。一緒の部屋にいるから。
咲太郎:そうなんだ?
佐知子:心配しないでね。なっちゃんのことは自分の妹だと思って大事にするから。
なつ:あの ちょっと…。
咲太郎:優しいだろ さっちゃんは。
なつ:ちょっと待ってよ お兄ちゃん! それより 今 どこで何してんのさ?
咲太郎:今はとにかく急いで お前を迎えに来たんだよ。
なつ:えっ?
光子:どういうことなの?
咲太郎:あっ マダム…。
光子:お久しぶりね。
咲太郎:マダム 俺の借金と妹は何の関係もないだろ!
光子:どういう意味かしら?
なつ:お兄ちゃん…。
咲太郎:妹を働かせるなんて 川村屋のマダムも随分あこぎなまね するもんですね。
光子:はあ?
咲太郎:これを!
光子:何?
咲太郎:返済金です。またた1万円だけですけど…。これからは必ず毎月返しに来ますよ。そのかわり 妹は解放してもらいます。
なつ:ねえ ちょっと待って。
光子:妹がここにいると知って 慌てて返しに来たわけ? 相変わらずね。
咲太郎:妹は連れていきます。
光子:どうぞ。
なつ:えっ ちょっ… お兄ちゃん!
雪次郎:なっちゃん お兄ちゃんって…。
咲太郎:誰だ? こいつは。
なつ:あっ 雪次郎君。北海道から一緒に来た私の友達。
咲太郎:北海道?
雪次郎:小畑雪次郎です!なっちゃんのお兄さんですか?
咲太郎:何だ? お前。
雪次郎:えっ?
咲太郎:何で なつを追っかけてきたんだ!?
雪次郎:いや 追いかけてきたわけでは…。
なつ:お兄ちゃん やめてよ!何をさっきから勘違いしてんのさ!
咲太郎:なつ とにかくここを出よう。お兄ちゃんと一緒に行こう。
なつ:えっ?
咲太郎:いいですね? マダム。
光子:だから お好きにどうぞ。別になつさんをここに縛りつけてるわけではありませんからね。
野上:それどころか 保護してるようなものですよ。
咲太郎:行こう なつ!
光子:連れてって 今度があなたが妹を不幸にするの?あなたは今のなつさんの何を知ってるの?何をしてあげられるというの? あなたは今 何をしてるのですか?
咲太郎:新劇の劇団の制作部にいます。
光子:それで なつさんを幸せにできるの?なつさんの生活を保証できるの?
野上:マダムに借金も返しながら。
咲太郎:だけど…。
光子:これからこの先 どうやって 妹と生きてゆくつもりなんですか?
なつ:いいんです! マダムは兄の何を知ってるんですか! すいません…。
雪次郎:なっちゃん…。
光子:そうね… 私は何も知らないわね。
野上:なんてことを…。
なつ:すいません あの… 少しだけ兄と話をさせて下さい。
光子:お好きにどうぞ。
野上:戻ってこなくていいですよ。
なつ:すいません…。
咲太郎:行こう なつ。
なつ:お兄ちゃん ちょっと待って! どこに行くの?
咲太郎:俺の家だ… もう心配ないよ。
なつ:何がさ? 何なのよ もう! やっと会えたのに…。何なの? マダムにあんなこと言って…。何て言うか… 話についていけないべさ!
咲太郎:お前 すっかり北海道に染まったな。
なつ:言葉はしょうがないしょ。
咲太郎:言葉だけじゃねえ…。何か… 苦労が顔ににじみ出てる。
なつ:聞きようによっては失礼だからね それ。
咲太郎:悪かった。すまん このとおりだ。
なつ:ねえ やめてよ… お兄ちゃんが謝ることなんてないから。
咲太郎:俺のせいで 皿洗いなんかさせて…。
なつ:だから さっきから勘違いしてるみたいだけど 何もお兄ちゃんのためじゃないから!
咲太郎:分かった。とりあえず行こう。話はそこでだ。
なつ:お兄ちゃんの家って どこ?
咲太郎:もう そこだ。なつ… なつに会わせたい人がいるんだ。
なつ:誰?
咲太郎:話は会ってから。
なつ:どこ行くの…。
●「風月」
(戸が開く音)
咲太郎:連れてきたよ。
亜矢美:あっ いらっしゃい。おばんでござんす。
なつ:ここは歌手の煙カスミさんと…。
亜矢美:咲太郎 お店閉めちゃおっか。うん うん…。
咲太郎:えっ いいのか?
亜矢美:いいのいいのいいの… 早く…。
咲太郎:分かった。
亜矢美:なつさん おなか すいてらっしゃるでしょ? ね。咲太郎!咲太郎! 今日はさ 奥の桟敷で3人でごはん食べましょうよ。
咲太郎:ああ いいね そうするか。なつ 奥行こう。
なつ:待ってよ お兄ちゃん…。いい加減にしてや!
咲太郎:どうした? なつ。
なつ:こんな大人の人まで…。
咲太郎:えっ?
なつ:ここで一緒に暮らしてるってこと?
咲太郎:ああ そういうことだ…。
なつ:ねえ 言うよ!私 言っちゃうからね!
咲太郎:うん 何でも言ってくれ。
なつ:この人のために言うよ!
亜矢美:ん 何?
なつ:去年の夏休み 浅草で会った踊り子の人は お兄ちゃんによろしくって言ってたよ!またいつでも遊びにおいでって! 朝まで一緒にいたんでしょ!?
咲太郎:ああ マリーのことか?
なつ:それから 煙カスミさんと一緒にいた人も…。
亜矢美:あっ 土間レミ子ちゃんね 付き人の。
なつ:そうです。その人がお兄ちゃんに返してだって!
咲太郎:何を?
なつ:心の操! 真心だって!
咲太郎:何だ それ。
なつ:知らんわ そったらこと! それから佐知子さんは…。
咲太郎:あ~ 待て! 分かった!言いたいことは分かった。違うよ。それは勘違いだ。
なつ:いや 勘違いさせてんのは お兄ちゃんでしょ!
咲太郎:あ~ まあ 落ち着け!落ち着けって…。
亜矢美:ねえ もうバカでしょ 咲太郎ね。困っちゃうわよね アッハハハ…。
なつ:何でそんな落ち着いてるんですか?
亜矢美:あっ… あっ まさか えっ… 妬くとか? うん? うん?
咲太郎:バカ この人は違うよ。この人は俺の母ちゃんだ。
なつ:えっ?
咲太郎:まあ 母ちゃんみたいなもんっていうか 岸川亜矢美って 元ムーランルージュの踊り子だ。今からゆっくり話すよ。
なつ:あっ…。
回想藤田:咲太郎は戦後のマーケットで うろうろしてるところを助けたんだ。
回想なつ:それはありがとうございました。
回想藤田:助けたのは俺じゃねえ。戦前からムーランで踊ってた岸川亜矢美っていう踊り子だ。
亜矢美:あっ ああっ あ~っちっち…!
なつ:あなたが そだったんですか…。
亜矢美:あっ まあね…。
咲太郎:そうか… 藤正親分や角筈書店の社長から聞いてたか。
なつ:でも それなら どして 歌手の煙カスミさんは あなたのことを隠してたんですか?
亜矢美:えっ?
なつ:去年 東京にお兄ちゃんを捜しに来た時もそだったし この間も あなたのことを私に隠してましたよね?
亜矢美:あ… それは私に気を遣ってくれたんじゃないの? うん…。
なつ:どうしてですか?
亜矢美:う~ん…。あれ どうしてかしら? アハハハハ…。
咲太郎:なつ そんなことはどうだっていいだろう 会えたんだから。それより なつ ここでお前も一緒に暮らさないか?なつさえよければ ここに住んでいいんだよ。
なつ:私も一緒に?
亜矢美:もしよければなんだけど…。狭いんだけどさ 上に2部屋あるから。
咲太郎:生活の面倒は俺が見るよ。なんとかする。俺に任せろ。
亜矢美:バカ! お前のそのなんとかっててのが 一番信用できないの。だから こうなってんでしょ。
咲太郎:いや なんとかするしかないだろう!
亜矢美:どうやって?
咲太郎:だから… なつのために働くよ。
亜矢美:食べてけんのか? 新劇で。
咲太郎:ほかの仕事も探すよ。
亜矢美:私がなんとかします。
咲太郎:そのなんとかだって 当てにならないだろ。やっと この店を借りて生活してるくせに。
亜矢美:とにかくさ ここにいてもらってさ んで 食べていければいいんでしょう?
咲太郎:食べさせられんのかよ?
亜矢美:あっ おでん 毎日食べられんじゃない ねえ。あっ 何だったら ここで働いてもらっていいわよ。
咲太郎:客もろくに来ない こんな所で働いて どうするんだよ。
亜矢美:こんなかわいい子 来てくれたら お客さん いっぱい来ちゃうわ。
咲太郎:おい 俺の妹を商売に使おうってのかよ。
亜矢美:ちょっと手伝ってもらうだけでしょ。あっ その方がね ここにいやすいわよ ねえ?
なつ:嫌です…。やめて下さい…。
咲太郎:えっ?
なつ:2人して私をバカにしないで下さい。
亜矢美:バカになんかしてないから。
咲太郎:何言ってんだよ?
なつ:私はもう一人で生きられます。ここは私とは何の関係もないとこですから。帰ります。
咲太郎:えっ…? ちょっ… おい なつ… なつ! おい なつ! なつ! なつ… 待てよ! どうしたんだ? なつ。
なつ:お兄ちゃんは私と千遥を捨てたんでしょ。それで楽しかったんでしょ?ずっと…。死ぬほど心配してたのに… 私と千遥のことはとっくに忘れて… もう関係なかったんでしょ!
咲太郎:なつ…。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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