なつぞら(54話6月1日)
●おでん屋「風車」
咲太郎:こっちだ こっち。
なつは咲太郎と一緒に新しい生活を始めようとしていました。
咲太郎:ここが俺の部屋だ。来たことあるな。
なつ:うん。ねえ もう一部屋あるんだよね?
咲太郎:うん ある。あるにはある。ここだ。
なつ:うわ~!
咲太郎:3畳しかない。
亜矢美:今 私の衣装部屋になっちゃってんだけどね。
なつ:なまらすごい… ちょっと見てもいいですか?
亜矢美:いいよ。ここにあるもん どれでも好きに着ていいからね。
なつ:本当にいんですか?
亜矢美:うん。着てくれたら服も喜ぶわ。
咲太郎:よし じゃ この衣装 全部あっちの部屋に移そう。
なつ:何で?
咲太郎:お前があっちの部屋を使え。俺はここで十分だ。
なつ:えっ いいよ 私がこっちで。
咲太郎:いいから。俺はどうせ寝に帰るだけだ。
なつ:本当にいいの?
咲太郎:もちろんだよ。なつと一緒に暮らせるなら こんなにうれしいことはない。
なつ:うん。あっ そんでお部屋代はいくらですか?
亜矢美:部屋代?
咲太郎:いいよ 部屋代なんか。
なつ:言って下さい。
亜矢美:う~ん そうね… まあ タダって言いたいところだけど…。お給料って どれくらいもらえんの?
なつ:5,000円。
咲太郎:そんなに安いのか? 天下の東洋が。
なつ:高卒の臨時採用だから。
亜矢美:じゃあ このうちにあるもの 何でも使い放題 食べ放題 着放題ってことで 15! 1,500円でどうだ? 1ヵ月。
なつ:はい 分かりました。よろしくお願いします。
●「川村屋」応接室
光子:そう… お兄さんと一緒に暮らすことに決めたのね。
なつ:はい。本当にお世話になりました。兄もお礼に伺いたいと言ってたのですが…。
光子:いいわよ 来なくて。
なつ:はい。かえってご迷惑かと…。兄はすぐに女の人に誤解を与えますから。
光子:ちょっと? あなた 何か誤解してない? 私と咲ちゃんは何でもないんだからね。
なつ:分かってます。今は何もなくて いかったと思ってます。
光子:昔から!
野上:ああ…。
なつ:はい。
光子:それより あなたが人のために無理しちゃダメよ。夢を追いかけるのは… 女が働くということは それだけで大変なんだから。しっかり自分を持って自分を支えていきなさいね。
なつ:はい。分かりました。
光子:まあ これからも新宿にいるなら 寂しくないわよね 野上さん。
野上:いや 私は寂しいなどとは…。
なつ:これからも ここにちょくちょく来ますから。来てもいいですか? 野上さん。
野上:お客様で来られるなら どなたでも歓迎します。ただし ほかのお客様にご迷惑にならなければ。
なつ:はい。
野上:フフフ…。
光子:いつでも いらっしゃい。
なつ:はい。
光子:頑張ってね。おめでとう なっちゃん。
なつ:ありがとうございました。
(笑い声)
野上:何?
光子:泣いてる?
野上:泣いてない…。
●「川村屋」厨房
ウエイトレス:なっちゃん お願いします。
なつ:はい。
なつは上京して半年間 川村屋で働きました。川村屋の仲間とも これでお別れです。
なつ:皆さん 今日で最後です。短い間でしたが 本当にお世話になりました。ありがとうございました!
(拍手)
杉本:なっちゃん ご苦労さん。よく働いた。どこ行ってもその調子で頑張れ!
なつ:ありがとうございます。
(拍手)
職人たち:頑張れ! 頑張れ なっちゃん! なっちゃん頑張れ!
●「川村屋」寮
佐知子:本当に行っちゃうのね。寂しくなるわ。
なつ:お店に行けば いつでも佐知子さんに会えますから。
咲太郎:そうだよ。いつでも会えるよ さっちゃん。
なつ:いつでも そういうこと言うのやめて。
佐知子:いつでも待ってるからね 咲ちゃん。
咲太郎:ああ。
なつ:その鈍感な返事もやめて!
雪次郎:あっ なっちゃん 咲太郎さん 引っ越しなら手伝うべ。せっかく今日休みだし。
なつ:大丈夫。そんな荷物ないから。
咲太郎:あ そうだ 今夜 なつの就職祝やろうと思うんだ。さっちゃんも雪次郎も来い。俺がおいしいもん作ってやるからな。
なつ:えっ お兄ちゃん 料理できんの?
咲太郎:何でも できちゃうんだよな 兄ちゃんは。
雪次郎:それで 何者でもないのが不思議ですよね。
なつ:あ~ うん…。
咲太郎:えっ…。
雪次郎:えっ?
♪
咲太郎:なつ。
なつ:うん?
咲太郎:この箱 どうする?
なつ:あ~ それは押し入れにお願い。
咲太郎:おう。よし…。
♪
なつ:天ぷら? 天ぷら作れるの?
咲太郎:天ぷらじゃない。天丼だ。
なつ:ああ… 昔 料理人だったお父さんが作ってくれた天丼が食べたいって言ってたもんね。
咲太郎:その味が忘れられなくて どこの店で天丼食べてもダメで こうなったら自分で作った方が早いんじゃないかと思ってな。
佐知子:すっごい楽しみ!
咲太郎:天ぷらというのは 結局 衣で決まるんだ。いいネタを生かすも殺すも 衣なんだ。粉はかき混ぜちゃダメだ。こうやって優しく溶くんだよ。
雪次郎:修業したみたいですね。
咲太郎:雪次郎 人生は何事も修業だ。
雪次郎:なるほど。
なつ:料理人 目指せばいいじゃん お兄ちゃん。昔 お父さんの店を立て直すんだって言ってたでしょ?
亜矢美:そうなの?
なつ:そうなんです 子どもの頃に。
咲太郎:それは いつの間にか ムーランルージュの立て直しに変わっちゃったんだな 母ちゃんと出会って。
亜矢美:私のせいにしないでよ。
(戸が開く音)
信哉:こんばんは。
咲太郎:おう 信!
亜矢美:お~ いらっしゃい。
なつ:信さん!
信哉:なっちゃん。
なつ:ん?
信哉:就職おめでとう。
なつ:え~! 忙しいのに ありがとう。お花もらうなんて 初めてだわ。
雪次郎:あっ こっち どうぞ。
なつ:え~…。
咲太郎:よし。これで昔の家族もそろったな。
なつ:千遥がいないけど…。
咲太郎:千遥のことは言うな。
信哉:そういえば 親戚の移転先は探さないのか?
咲太郎:探してどうするんだ。幸せを壊すのか?
(戸が開く音)
亜矢美:おっ カスミねえさん。
カスミ:お店 お休み?
亜矢美:今日はね なつさんの就職祝。
カスミ:あら 就職? 川村屋辞めちゃったの?
なつ:はい。
亜矢美:漫画映画を作る会社にね。夢をかなえたのよ。で 今日からここで一緒に暮らすの。
カスミ:ここで?
なつ:はい。
カスミ:そう… そうしたんだ… おめでとう。
なつ:あっ ありがとうございます。
レミ子:カスミねえさん 私たち 呼ばれてませんよね!
カスミ:うん そうね…。仕事の前に腹ごしらえしようと思ったんだけど…。
亜矢美:あ… いいわよね 咲太郎 ねっ…。
咲太郎:もちろんだよ。レミ子 水くさいこと言うな。
レミ子:どっちが水くさいのよ。
咲太郎:カスミねえさん 俺の天丼 食べてって下さい。
カスミ:それじゃ お言葉に甘えようかしら。
亜矢美 なつ:どうぞ~!
♪
一同:頂きま~す!
なつ:うん!
雪次郎:うん! うん うまい!
信哉:こんなうまい天丼 初めて食った!
咲太郎:信… そんなに喜ぶなよ。お前も苦労したからな。
なつ:信さんは 苦労が報われてるの。今は放送記者なんだから。
信哉:まだ修行中だよ。
なつ:お兄ちゃんも 報われる修業をしないとね。
咲太郎:はい分かった 分かった。
雪次郎:咲太郎さは 役者やダンサーを目指さないんですか?
咲太郎:ん?
亜矢美:私もね どうせやるなら ちゃんと勉強しろって言ってんだけど 裏方ばっかりやりたがんのよね この子。
カスミ:昔からそうだったわよね 咲坊は。
咲太郎:何か好きなんだよな 裏の仕事って。表に立ついい役者や いい芝居が見られると それだけで満足しちゃうんだ。
なつ:へえ…。
信哉:咲太郎らしいといえば 咲太郎らしいけど。
なつ:おんなじかも。
咲太郎:えっ?
亜矢美:何がおんなじなの?
なつ:私も そういう仕事がしたい…。
信哉:うん。本来 仕事って そういうもんだよ きっと。人目に触れない人たちの活躍で 物事の大半は作られてるんだ。
雪次郎:俺も裏方だな 今は…。
佐知子:今は?
咲太郎:何でもいい。自分を生かす仕事を見つけた者は幸せだ。
なつ:うん。
咲太郎:ハハハ…。
雪次郎:おいしい。
咲太郎:おいしいか。いっぱい食ってくれ。
♪
亜矢美:攻めの赤に… あっ… このレモンちゃんで 爽やかさん。フフフ…。はい。で 一番上留めると 何か かわいいよ。ほら かわいいよ。
なつ:えっ…。
亜矢美:どうだ。
なつ:いいです… すてきです!
亜矢美:初日だからね ほどほどに 派手ぐらいでいいんじゃないの。
なつ:亜矢美さん これからよろしくお願いします。
亜矢美:あっ… どうしたの? 何か こちょばいよ こちょばい…。何か うれしいけど フフ… よろしくお願いします。はい 行ってらっしゃい!
なつ:はい 行ってきます!
亜矢美:はい。あっ じゃあ 私 靴の色 見てくるね…。
なつ:あっ ありがとうございます。
(咲太郎のいびき)
なつ:行ってきます お兄ちゃん。
なつよ 新しい日々が始まる。思う存分 自分の絵に命を吹き込めよ。来週に続けよ。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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