なつぞら(63話6月12日)
●東洋動画仕上課
富子:時間がある今 この間に トレースの練習をします。トレースは見てのとおり 動画の線を崩さず セルに写し取ることです。
♪
富子:なかなかうまいじゃない。
なつ:ありがとうございます!
富子:それじゃ もう一度 同じ絵を描いてごらんなさい。
なつ:おんなじものを?
♪
富子:それじゃ もう一回 同じものを。
♪
富子:もう一回。
♪
富子:もう一回。
♪
富子:それじゃ もう一回。
♪
富子:それじゃ もう一回。
なつは 同じ絵を10枚も描かされました。
富子:トレースしたセルを 全部重ねてごらんなさい。
一同:あ~…。
なつ:ああっ…。
富子:それと同じことを ここにいるトレーサーの西部さんにもしてもらいました。それがこれです。
女性社員:すごい きれい…。
富子:映画のフィルムは 1秒間に24コマです。私たちが作っているアニメーションは 大半がセル画1枚を2コマずつ使って12コマで出来ています。その1秒間に 動いていない部分がこれだけ動けばどうなりますか? しかし こっちもきれいに一本の線が重なっているように見えて微妙にズレがあります。どんなにうまく描いても完璧に重なることはないんです。けど これが絵に命を与えることになります。動いてないように見えるところでさえも こうやってかすかに動いてるから絵が生きているように見えるんです。
なつ:へえ…。
富子:これがトレースの技術です。それじゃ みんなも心して練習して下さい。
●東洋動画・中庭
桃代:なっちゃん 見事にいけにえにされたちゃったわね トミさんに。
なつ:トミさん?
桃代:あ… 会社では石井富子をトミさんって呼べる人は限られてるけど 私たちは蔭で呼んでるの。おトミさんとか。まあ 腹が立った時は トミ公だけど。
なつ:トミコー?
桃代:うん。あっ 本人に言っちゃダメよ。
なつ:言えないってば。
桃代:でも うまく描けた方なんじゃないの? 初めてにしては。
なつ:う~ん… 子どもの頃 初めて見よう見まねで 牛の乳を搾ったこと思い出したわ。あん時はうまくいったんだけどね…。やっぱり どんな仕事も奥が深いんだわ。
桃代:ねえ その服は自分で買ったの?
なつ:え 買ってない。これも同居してる亜矢美さんの。
桃代:いいわね。給料安くて そんなに買えないもんね。
なつ:モモッチはどんどん おしゃれになっていくべさ。
桃代:安物で工夫してんのよ。
なつ:モモッチ 色のセンスあるわ。
桃代:なっちゃんのセンスに合ってるだけでしょ。
なつ:そうかも。
桃代:なっちゃんは今も亜矢美さんに服を選んでもらってるの?
なつ:ん~… 選んでくれたのは 最初の1週間だけ。あとは自分で磨けって。
下山:2人ともよく頑張っているよ。
なつ:びっくりした。
桃代:下山さん。
下山:今のところ まだ同じ服装を見たことがない。いや 同じ服は着てても 組み合わせは必ず何か替えてる。感心するよ ハハハハ…。
桃代:どうして そんなこと分かるんですか?
下山:ん? 証拠ならここにあります。
なつ:えっ 毎日描いてたんですか!?
下山:うん。だって同じ服装が来たら やめようと思ってたら こんなことになっちゃった。
なつ:いや そんなこと言われたら明日から毎日 服 選ぶの難しくなるじゃないですか!
下山:同じ服装で来たら逮捕するからね。
桃代:よし 逃げ切ってやるわ!
下山:うん。
なつ:モモッチ…。
下山:バン! バン! ハハハ… 頑張って。
桃代:逃げ切ろうね なっちゃん!
●新宿「川村屋」
野上:いらっしゃいませ。
なつ:お久しぶりです。
野上:見る度に あなた 安っぽい芸術家のような格好になってきますね。
なつ:えっ…。服は変でも 芸術が安っぽいとは限らないじゃないですか。
野上:服は変だと思ってるんですね。
佐知子:あっ なっちゃん! お帰りなさい!
なつ:佐知子さん!
(野上のせきばらい)
佐知子:いらっしゃいませ。
なつ:1人ですけど。
佐知子:あいにくと今 満席でして…。
川村屋では 去年の暮れから テレビが置かれて ますます商売繁盛しておりました。
光子:あっ なっちゃん 久しぶりね。
なつ:あっ マダム。
光子:元気そうね。
なつ:はい。東京の兄も元気です。
光子:誰も聞いてないわよ そんなこと。
なつ:あっ マダムは「人形の家」見て下さいましたか?
光子:あ… 忙しくて無理ね。
野上:チケットは買ってましたけどね 10枚も。
なつ:えっ?
光子:それは… 新劇好きのお客様にあげるためですよ。
なつ:マダムはやっぱり兄を…。
光子:違うわよ! 恋じゃない!
なつ:いえ… 応援してくれてるのかと思って。
野上:実のところ 似た者同志だったりはしますね。
光子:野上さんまで 何を言ってるんですか。
信哉:こんにちは。
光子:あら いらっしゃい。
野上:いらっしゃい。
信哉:なっちゃん!
なつ:信さん。
信哉:来てたんだ。
なつ:うん。
信哉:あっ ちょうどよかった。もうじき テレビジョンで僕が取材したニュースが流れるんだ。一緒に見てよ。
なつ:へえ~ 本当に。
信哉:うん。
テレビ番組「都会の迷子たち」音声:「日夜 増幅し続ける街 東京。そんな中 取り残されるのが子どもたちの存在です。東京の玄関口 上野では 毎日30人の迷い子が保護されます。一日3回 駅を巡回しているのは上野署の警察官たち。この日も駅で泣きべそをかいていたマツカワカツミちゃん7歳に声をかけました。どうやら 離れて暮らす父親に会いに行こうと駅まで来たものの 途方に暮れていた様子。母親が迎えに来た瞬間 大粒の涙をこぼすカツミちゃん。その姿に警察官も…」。
回想千遥:お母さんに会いたい!
回想なつ:大丈夫だってば!
テレビの音声:「恋しくてしょうがなかった という感じで何度も見つけ合う2人。都会という名の砂漠を潤す家族の絆です」。
光子:これが信さんのニュース?
信哉:はい。1年かけて 顔なじみの警察官も増えて やっと踏み込んだ取材ができるようになったんですよ。
なつ:ねえ 信さん… お願いがあるんだけど。
信哉:何?
なつ:千遥を見つけたい。
信哉:えっ?
なつ:千遥の行方を捜したいの。
なつの知りたいニュースは それだよな。
信哉:それは僕もずっと気にはなってはいるけど… 咲太郎は捜してもしょうがないと言うし…。
なつ:お兄ちゃんは 千遥はとっくに私らのことを忘れて幸せにしてるから それを邪魔しちゃいけないって言ってるだけ。 居場所が分かったって 千遥の幸せを邪魔するようなことは絶対にしない…。
光子:咲ちゃんは違うんじゃないかな。
なつ:えっ…。
光子:もし会っちゃったら 自分がどうなるか分からなくて 苦しんでるんじゃないかしら?
信哉:どういう意味ですか?
光子:千遥ちゃんに 今の自分が何をしてやれるかって… そんなふうに自分の心が乱れるのが怖いのよ きっと…。なっちゃんの時もそうだったじゃない。
なつ:お兄ちゃんには私が話す。したら信さん 捜してくれる?
信哉:それはもちろん必ず捜すよ。
●「風車」なつの部屋
(回想2人の遊ぶ声)
咲太郎:ただいま。
なつ:お帰りなさい。
咲太郎:相変わらず頑張ってるな。体 気を付けろよ。
なつ:うん お兄ちゃんもね。
咲太郎:こっちは明日が千秋楽だ。おい 雪次郎が毎日見に来てるぞ 仕事が終わってから。だから第3幕だけな。何回も見てるよ。
なつ:あのさ お兄ちゃん。
咲太郎:ん?
なつ:話があるんだけど。
咲太郎:何? 何だ?
なつ:千遥のこと。今 どこにいるのか知りたい。
咲太郎:なつ…。
なつ:千遥が私らのこと忘れててもいい。千遥がいることを確認するだけ。遠くから見るだけでもいい…。千遥に会いたい…。
咲太郎:だけど どうやって捜すんだ?
なつ:信さんが捜してくれるって。
咲太郎:信が…?
なつ:ねえ お願い… おばさんが引っ越す前の住所 教えて。
♪
咲太郎:これが おばさんから孤児院に来た最後の手紙だ。そこに千遥は幸せに暮らしてると書いてある。
なつ:ねえ それじゃ… お兄ちゃんが孤児院を出たあと 引っ越し先を知らせる手紙が来てるかもしれないね。
咲太郎:来てないよ。それからは 一通も来てないそうだ。引っ越す前の家にも行ったんだ。
なつ:えっ…。
咲太郎:近所の人に聞いても どこに行ったか分からなくて。
なつ:お兄ちゃんも やっぱり 会いたかったんだよね。
咲太郎:当たり前だろ。信によろしく頼むと言ってくれ。
なつ:ありがとう お兄ちゃん。
咲太郎:無理するなよ。
川谷としは なつの母親のいとこです。なつよ どうしても知りたいか? 知りたいよな…。
●感想
というか、ナレーションのウッチャンはなつと千遥の父ちゃんだろ? 知りたいのは当たり前で、アンタこそ千遥を捜してほしいと願うべきなんじゃないかと。
たまに、他人事のようになつの心情を語るウッチャンにハテナ?で、一体、奥原なつ咲太郎の父親の名前は何なのか?という謎。
そして華丸師匠の指摘通り、下山さんの行為はストーカーのそれと紙一重。世の殿方殿、ご注意と書いて、明日もよろしくお願いいたします。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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