なつぞら(98話7月23日)
●東洋動画作画課
なつ:夢? それはもちろん すてきな漫画映画を作ることです。
下山:♪空をこえて ラララ
仲:テレビ用のアニメーション テレビ漫画を製作するテレビ班を作ることになったんだ。なっちゃんは原画として 茜ちゃんは動画として そのテレビ班に行ってもらいたい。
なつ:もう映画には関われないんですか?
昭和38年 日本でも本格的なテレビ漫画が誕生しました。フルアニメーションの映画と違い 30分のアニメを毎週作り出すために 止まった画を使ったり動く部分を減らすなど さまざまな手法が生まれていました。
●東洋動画会議室
坂場:仲さんは あれをアニメーションだと認めていますか?
仲:えっ?
坂場:僕は少なくとも 東洋動画らしいアニメーションの作り方だとは思えません。仲さんはどう思っていますか?
仲:もちろん あれがフルアニメーションではないと思っているよ。
坂場:それを形だけ東洋動画がまねをして 慣れてしまったら日本のアニメーションはもう そこから後戻りができなくなるんじゃないでしょうか?
井戸原:大げさだな 相変わらず 君は。
坂場:そうでしょうか?
露木:いや 坂場君の言ってることは まんざら 大げさなことじゃないかもしれないよ。そういう時代が来るということは大いに考えられる。まあ もう私の時代じゃなくなった ということだけは確かだけどね ハハハハハ…。
仲:もしそうだとしても やる価値はあると僕は思ってるよ。
なつ:仲さんはそう思いますか?
仲:アニメーションを見る 子どもたちにとっては フルアニメーションかどうかなんて全く関係ないことだろ? 面白いか面白くないか それだけの違いだからね。坂場君はそう思わないか?
坂場:分かりました。
仲:それにフルアニメーションのよさは これからも長編映画で我々が守っていくつもりだよ。
井戸原:そう。だから君は安心してテレビに専念してくれたまえ。
●東洋動画作画課
下山:あっ… どうだった?
なつ:やっぱりテレビの話でした。
茜:うちでも テレビ班を作るそうです。私となっちゃんは そこに異動することになりました。
下山:優秀ななっちゃんと茜ちゃんを とられちゃうわけだ。
なつ:イッキュウさんも演出で入るんです。
下山:そうか… やっと助手から抜け出せるんだな。しかし 演出家デビューはテレビになったか。
茜:それでまた 仲さんにかみついたりして…。
下山:かみついた?
なつ:いや かみついたとまでは…。
茜:仲さんは あれをアニメーションだと認められますかって。
堀内:それはまた グザッとかみついたな。
神地:さすがイッキュウさんだ!よく分かってる。
なつ:けしかけるようなこと言わないでよ。
神地:これはテレビ班だけの問題じゃない。我々アニメーター全体にとっての死活問題です。劇場映画そのものがテレビの台頭によって傾き始めてる今 我々が心血を注いできた漫画映画 きめこまやかな動きとリアリティを追求するフルアニメーションの世界そのものが存亡の危機にさらされてるんですよ これは!
下山:誰に演説してんのよ。組合じゃないんだから。
茜:イッキュウさんと全く同じこと言ってるわ…。
●東洋動画作画課
なつ:イッキュウさん どうしたんですか?
坂場:僕はもう… 漫画映画を作れないだろうな。
なつ:どうしてですか?
坂場:露木さんのあとに次々と若手が演出に抜てきされてるのに 僕にはお呼びがかからない。僕たちの作った短編映画だって いまだにお蔵入りしたまま 長編映画の付録として劇場にかけられることもないだろ。僕に対する上層部の評価が低い証拠だ…。というより 僕が嫌われてるからですよ…。
なつ:仲さんは短編映画を褒めてくれたじゃないですか。
坂場:あの人は… 本音を見せないからな。あの人が描く絵と同じように 誰にでもいい顔していたんでしょう。
なつ:何をすねてるんですか!あなたらしくない…。
坂場:君のことも それに巻き込んでしまったかもしれないんです。
なつ:えっ?
坂場:それが悔しくて…。1本くらいは 君と長編漫画映画に挑戦してみたかった…。この会社にいても その可能性はもうないだろうな…。
なつ:そんなこと まだ分かりませんよ!
露木:そう まだ分かりませんよ。君をテレビの演出にしたのは私だよ。
なつ:えっ 露木さん…。
坂場:露木さんが?
露木:うん。君は全く新しい環境で演出家になった方が 伸び伸びできるんじゃないかなって そう思ったんだから。だから テレビに行っても くさるな。
なつ:そうですよ。テレビでまた頑張ればいいじゃないですか!
露木:そりゃ 君は多くのアニメーターからは嫌われてるよ。
なつ:えっ?
露木:そりゃ あれだけ理屈で攻めたら もともと感性で動く芸術家肌のアニメーターたちから そっぽ向かれたって これはしかたのないことだ。それに労働組合の幹部なんかやってるから 会社からだって煙たがられてる。君の味方は ほぼいない。もうゼロだな…。
なつ:あの… くさるなって言ってるんですよね?
露木:そう だから くさるな。くさったら負けだ。人に嫌われる勇気を持つことも演出家にとっては大事な資質なんだ。君は生まれながらにしてその資質ってもんが備わってる。
なつ:それは励ましですよね?
露木:もちろん。新しい環境で自分を磨くチャンスだと思って頑張れ。
坂場:はい 分かりました…。
露木:あほんだら お前 声ちっちゃいねん。自分も 関西出身やったらな 根性見せたらんかい。
なつ:えっ 関西出身だったんですか?
坂場:中学までは神戸にいたんです。
露木:そうやで。え~っと あきちゃん? あっ ふゆちゃん? あっ… はるちゃん?
なつ:残ってるのです。
露木:あっ なっちゃん…。 坂場のことを頼むな。内助の功でしっかり支えてやってくれ。
なつ:はい 分かりました。えっ 今 何て言いました?
露木:えっ? めちゃくちゃ うわさになってるよ。
なつ:えっ?
露木:ハハ… じゃ お疲れ。
なつ:うわさって何ですか? えっ… ねえ うわさって何だろう?
坂場:さ… さあ…。
なつ:さあって どうするの? そんなうわさ。
坂場:う… うわさなんて 気にしなくていいでしょう…。
2人の関係は周りが思うようには近づいていないようです。
坂場:では。
なつ:そうですか…。
数日後 新しい部屋にテレビ班の作画室が置かれました。
●東洋動画テレビ班
荒井:商売道具やろが。大事にせんか ボケ! それ こっちや!
なつ:何ですか あれは!
猿渡:新しく来た制作進行だよ。人手が足りないから 京都の映画撮影所から呼んだらしい。
荒井:おい おい おい おい… その3人 何ぼ~っと立っとんねん。手ぇ出さんかい ボケ!
3人:はい!
茜:私 無理かも…。
そしてそのころ 雪次郎君にも人生の転機が訪れようとしていました。
●劇団「赤い星座」稽古場
福島:それじゃ 今から次回公演の「かもめ」の配役を発表します。アルカージナ 亀山蘭子。
蘭子:はい。
福島:」トレーブレフ 小畑雪次郎。 小畑雪次郎!
雪次郎:はい!
虻田:ちょっと待って下さい。その配役に異議を申し立てます。
福島:異議?
虻田:小畑雪次郎がなぜ主役に選ばれたか その理由を説明して下さい。
福島:何だ? 君たちは…。
劇団員:我々はこの配役が 一人の俳優の私情によって決められていることに問題を提議します!
福島:それは全く事実無根だよ 君。
虻田:我々の意見も聞き入れ 新たに劇団の総意として演目と配役が選ばれることを要求します。それができなければ 我々はこの公演に一切協力することはできません。
蘭子:しかたないわね。できないという人に無理に参加してもらうことはないよわ。
●おでん屋「風車」
なつ:雪次郎君が主役に?
レミ子:それに 若手の劇団員のほとんどが異議を唱えて公演をボイコットするって言いだしたのよ。そしたら 蘭子さんもそれを認めちゃって…。
咲太郎:雪次郎との関係を認めたのか?
レミ子:そうじゃないけど… そう思われたと思う。
咲太郎:はあ~ やっぱり うわさは本当だったか!
●劇団「赤い星座」稽古場
雪次郎:そんなうわさは事実じゃありません!蘭子さんに失礼です!
劇団員:自分の実力だけで大きな役をつかんだと思ってるのか?
劇団員:たとえ 恋愛関係になくとも 君が亀山蘭子から えこひいきを受けてるのは事実だ。
咲太郎:じゃ 俺にどうしろって言うんだよ!
虻田:我々は君の実力を買ってる。いや… 我々こそが 君の実力を認めてるんだ。
そうだ!
そうよ!
虻田:我々と一緒に新しい劇団を創らないか?
一緒にやろう。
小畑。
雪次郎。
雪次郎君。
小畑君。
虻田:新しい演劇を創らないか 小畑雪次郎!
回想欄子:「そのことを考えると この身を引き裂きたくなるのです!」
雪次郎:蘭子さんと共演することが 亀山蘭子という女優と共演することが夢で そのためにここにいます。だから 今は辞めるわけにはいきません。
虻田:亀山蘭子が君の夢か? それなら その夢を追いかける方が 今の君には楽だもんな。悪いけど 俺たちは先に行かせてもらおう。
●おでん屋「風車」
なつ:とにかく 雪次郎君の気持ちは 純粋に芝居だけに向かってることは確かなの。
亜矢美:だとしたら 余計に苦しい立場だね。
なつ:えっ…。
松井:やっかみだよ やっかみ。しかし 劇団ってところは 昔とちっとも変わらねえな 亜矢美ちゃん。
亜矢美:フフ まあね…。
松井:亜矢美ちゃんも 売れ始めた頃は さんざん周りの踊り子にいじめられたもんな。客と恋愛なんかするなとかさ。
なつ:えっ 何ですか? それ。
亜矢美:いや もう 忘れちゃったって…。あ~ もうそんな大昔の話やめてよ 松ちゃん。
松井:しかし それに比べると 雪次郎の方は名優と若手の恋か…。演劇界ではよくある おとぎ話みてえなもんだな。
島貫:おっ 亀山蘭子に竜宮城に連れてってもらうか。
松井:アハハハハ…!
なつ:そんな失礼なこと言わないで下さい!
なつよ むきになるのは 恋のうわさに君もイライラしているからか?
●感想
雪次郎と亀山蘭子、そして坂場となっちゃんの恋。なんとなくですが、どちらも成就しないような気がするのですが、どうでしょうか?
なっちゃんの結婚相手、今月中には分かると思いますので、そ際は下記のネタバレに追記していきます。
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●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。
●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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