朝ドラ「スカーレット」第101話、昭和44年の12月末、喜美子は武志とともにちや子の家に一泊。そこで聞かされた荒木荘の面々のその後。
荒木さだは京都の服飾専門学校の校長先生で、大久保さんは相変わらず。
そして田中雄太郎の声がラジオから流れてきて「どうも こんばんは。信楽太郎です」。
その昔、喜美子が雄太郎に信楽太郎の名前を提案したのは、11月7日放送の34話でした。

そして大阪弁を書き起こすのが一苦労だった「中淀はたらく母の会」は、以下の方々です。
アイ子:梅田千絵さん
由香里:五十嵐サキさん
まみ子:和泉さん
栄子:大橋 梓さん
それにラジオのDJは、ポン太:畑中ふうさんでした。
スカーレット(101話1月31日)セリフ
●大阪・ちや子の家
喜美子:おおっ。
ちや子:おおっ!
喜美子:あっ。
ちや子:喜美ちゃん!
喜美子:ちや子さん!
ちや子:入って入って。
喜美子:失礼します。
ちや子:ちょっと見て こっち! 言うてたお客さんや。信楽から来たお客さん。挨拶はまた後でゆっくりな。まずは乾杯しよか。ちょっと一足遅れのクリスマス会や。
喜美子:ちや子さん これ すいません 皆さんでよかったら。
ちや子:悪いなあ。気ぃ遣てもろて ありがとう。これ いい?
まみ子:は~い。
ちや子:はい。
喜美子:ありがとうございます。
ちや子:ああ ありがとう。ええかな? あっ ええな。ほな…。
武志:(小声で)何?
喜美子:(小声で)メリークリスマス。
武志:うち 仏教ちゃうん?
喜美子:ええねん ええねん もう…言って。
武志:ほな…ほな…メリークリスマスです!
一同:メリークリスマスです!
ちや子:かんぱ~い!
一同:かんぱ~い!
ちや子:乾杯。
♪
子ども:4! おお 結構いい数字やん。
子ども:12…。ああ 通り過ぎちゃうねんな。
♪
喜美子:地域活動?
アイ子:そう。「中淀はたらく母の会」いうて 名前付けてな。地道にコツコツと署名活動してんねん。
ちや子:こうして週末には集まって。幼児保育の時間延長やら 学童保育所新設の署名運動。
アイ子:み~んな共働きでなあ 子どもの預け先に苦労すんねん。うちはもう大学生やけど。
まみ子:うっとこは まだ苦労の真っ最中や。
栄子:うちもやあ。今日は会社が休みやからええけど ふだんは首から鍵ぶら下げてんねん。
アイ子:鍵っ子を減らしたいんよなあ。
ちや子:アイ子さんな うちの父の教え子やってん。
喜美子:えっ ちや子さんのお父さん?
ちや子:中学の先生やっててん。
喜美子:へえ~。
アイ子:先生のご葬儀でお会いして 記者やってはるいうから…。
まみ子:ポッポ~!
栄子:その汽車ちゃうわ。雑誌の記者や。
アイ子:こらええ。「はたらく母の会」を取り上げてもらおう思てな。
ちや子:で 紙面で取り上げたんが今年の秋。あそこに貼ってある。
アイ子:後で見て下さい。大きい扱いやなけど ええ文章や。
ちや子:ほんまは見開き狙ってたんやけどなあ。
アイ子:女が声を上げてもなかなか取り上げてもらわれへん。そっからのおつきあいや。ここも連絡先にさしてもろてる。巻き込んでしもて。
ちや子:ううん。応援させてもろてます。
アイ子:いつか この運動のこと まとめて本にしてもらうねん。
喜美子:ええっ。
ちや子:はい。
アイ子:うちのこと べっぴんと書いてや。
(笑い声)
(ドアが開く音)
(せきこみ)
アイ子:大丈夫かいな。
由香里:やったんや… やったでえ!市会議員の時宗先生が請願書に記名捺印してくれたで!
アイ子:ほんまかあ! やった!
由香里:学校ん時の先輩のツテ頼ったんよ!
アイ子:ちょっと見して。よう やった! 私らの署名活動も効いたんちゃうの!時宗先生 味方につけたらグイッと動くんちゃうか! よかったわあ!
まみ子:あ~ よかった~!
ちや子:よかったや~ん。学童保育新設の嘆願書。あ… うちの妹分みたいなもんやねん 信楽から遊びに来てん。
由香里:信楽…信楽焼で有名な?
喜美子:あっ はい。
ちや子:笹山さん 美術館の職員さんやな 陶芸詳しいな。
由香里:詳しない 詳しない。
ちや子:陶芸家の川原八郎って分かる? ご主人や。
栄子:ええっ! ご主人 陶芸家なん?
喜美子:はい…。
由香里:あの川原八郎!?
ちや子:ほんで 彼女も陶芸やってんねん。なっ? 夫婦でな。うん? どないしたん?
アイ子:あ…おなか すかへん? あっ! 武志君 回るテーブル行ったことある? くるくる回んねん。中華や中華! 食べに行く?
栄子:ええなあ!
アイ子:そしたら ちゃっちゃと片づけよ 方づけよ。
まみ子:ほな 行こ行こ。
●川原家・母屋
(戸が開く音)
八郎:すみませんでした。
マツ:ああ もうええの?
八郎:はい。
マツ:それだけ?
八郎:ハハッ。何や おらん時見計らって荷物取りに来たみたいで…。
マツ:武志とは会うてるんやろ?
八郎:もちろんです。喜美子とも 落ち着いたらゆっくり話 しよ思てます。
マツ:あの子 これで穴窯おしまいにするやろ。お茶わん 持ってく? しもうとこか。大事にな。
八郎:はい。すいません 失礼します。おやすみなさい。
マツ:おやすみなさい。
●大阪・ちや子の家
ちや子:酔いさめた? 飲まされたもんなあ。
喜美子:1杯だけ…。
ちや子:ええ?
喜美子:3杯です。
ちや子:フッフフッ。
喜美子:あんな 日本酒3杯も飲んだん初めてや…。
ちや子:中国酒や。
喜美子:はあ…何や ふわ~んとして…。
ち:たまにはええやろ。
喜美子:いや~ お酒は…。父がよう飲んでたんで。
ちや子:反面教師か。はい コーヒー。
喜美子:あ…すんません ありがとうございます。ありがとうございます。
ちや子:これ 砂糖な。
喜美子:はい。
ちや子:はい。
喜美子:すんません。ほんでも 何となく分かりました。父がお酒を飲みたくなる気持ち…。ほんの少~しですけど。
ちや子:喜美ちゃん 何かあったんやね。おかしいなあとは思たんよ。百合ちゃんからいきなり 大阪行かせますぅ連絡あって。そういうこと言う感じの子ぉや なかったやん?
喜美子:百合子 うちが泣いてたん覚えてたんです。
ちや子:あっ 琵琶湖の…。
喜美子:はい。琵琶湖大橋の取材するって ちや子さんが話して…。
(回想)
喜美子:やりたかった~!
マツ:何!?
ちや子:どないしてん!?
喜美子:うちもやりたいこと見つけてん。
ちや子:何?
喜美子:絵付けや!
(回想閉じ)
喜美子:あんなん覚えてたん。
回想百合子:ちや子さんはお姉ちゃんにとってのお姉ちゃんやろ? 会うてきたら?
ちや子:ふ~ん ええ子やなあ。優しいな。そしたら また泣きたくなるようなこと あったんやね。
喜美子:一生懸命生きてると…。
ちや子:うん。
喜美子:いろいろありますね。
ちや子:うん いろいろあるな。
喜美子:気持ちがぐしゃぐしゃで…。
ちや子:ぐしゃぐしゃなん。
喜美子:何て言うたらええか…分かりません…。
ちや子:そうか。泣くこともできんか。ちょうどええ言うたら あれやけど うち「はらたく母の会」の子どもらが出入りするから こういうの置いたんねん。お絵描き用や。
喜美子:ああ…。
ちや子:喜美ちゃん よう一人で描いてたやん。これでちょっと待ってて。いや 実はな 1件だけ取材が入ってん。2時間ほどで帰ってくる。
喜美子:あっ お仕事やったんですか。
ちや子:ええねん ええねん。こういうこと ようあんねん。
喜美子:はあ…。
ちや子:堀中ヤスエて分かる? 大学の民事訴訟法の助教授や。次の選挙に出るいううわさがある。
喜美子:ほりなか… ちょっと選挙や政治いうのは…。
ちや子:話 聞かしてもらうねん。今夜やったら 会うてくれるいうことになってな。ちょっと行ってくるわ。
喜美子:あの 政治… あっ 政治家?
ちや子:そうそう。政治家をな 追いかけてんねん。今はそういう方面に興味があってな。知ってる? さださん。
喜美子:あっ はい。荒木荘がさら地になったいうのは聞きました。
ちや子:そう。今 新しい建物 建ててる最中や。さださんな 京都の服飾専門学校の校長先生やってんねんで?
喜美子:校長? すごい。
ちや子:大久保さんは相変わらずやしな。あと…ああ!
喜美子:えっ!
ちや子:せや! よかった~! 忘れるとこやった。あ~よかった 今 話して。
喜美子:何です?
ちや子:あれや 喜美ちゃん ラジオなんか聴く? 聴かへんのちゃう?
喜美子:はい。
ちや子:テレビは?
喜美子:まだないですぅ。
ちや子:ほな 言わんとくわ。
喜美子:ええ?
ちや子:これな 合わしたあるからな 10時になったらつけてみぃ ちゃんと聴くんやで?
喜美子:何でです?
ちや子:ええから ええから。ほな 行くわ。
喜美子:あっ…。
ちや子:ごめん 慌ただしいな。
喜美子:お気をつけて。
ちや子:10時な。
喜美子:はい。行ってらっしゃいませ。
ちや子:行ってくるわ。
喜美子:10時…。
♪
喜美子:あっ…。
ラジオ・ポン太:もうクリスマスも終わりでございますが サンタさんはいいですね。年一日しか働かん。え~羨ましい限りでございますが 年が明けますと いよいよ 人類の進歩と調和 大阪万博が3月から開催ということで…。どないすんねやろね これ。
ラジオ・信楽太郎:いや どないもしません。
ラジオ・ポン太:どないもせんのかい。はい 本日のゲスト 話題の曲…話題?
ラジオ・信楽太郎:いや 話題やから呼んでくれたんちゃいますのん。
ラジオ・ポン太:話題の曲「さいなら」 歌うのはこの人。
ラジオ・信楽太郎:どうも こんばんは。信楽太郎です。
ラジオ・ポン太:ちょっと紹介させてもらいますと 信楽太郎さんはもともとお役所にお勤めでございました。そこを辞めて俳優を志したところ…。まあ 俳優いうてもね いろいろ大変やったんちゃうかなと思うんですが…。
(回想)
雄太郎:ほな 心機一転 芸名でも付けよかな?
喜美子:信楽太郎。
雄太郎:ハハハ… それはあかんわ。
喜美子:えっ 何でです? ええやないですか 信楽太郎。
ラジオ・ポン太:挫折に次ぐ挫折…俳優から歌手に転身後も さっぱり売れず 最後のやけっぱちで出した歌がこの歌「さいなら」。流しでずっと歌い続けてたんですよね?
ラジオ・信楽太郎:はい そうなんです。
ラジオ・ポン太:まあ こんな歌 迷惑やったんちゃいますかあ。
ラジオ・信楽太郎:アッハハッ。そうなんですかねえ。
ラジオ・ポン太:ほな 聴かせてもらいましょう。信楽太郎さんで「さいなら」。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
スカーレットネタバレあらすじを最終回まで!出演者キャスト一覧有り
スポンサーリンク