朝ドラ「スカーレット」第108話、八郎の助言を受けて京都の美術大学を受験した武志。そして昭和54年3月、「桜…咲きました! やったで!」。
風呂沸かせるほど ぎょうさんの手紙にな 必ず最後はおんなじこと書いてあった。いつの手紙にもどんな手紙にも必ず最後はおんなじや。「会いたい」。「いつか会いたい」。5年間 お父ちゃんは書き続けた。ほやから ほやから…「おう」「おう」たぬきそばや。ハハ…。
大事なものを失ったのだと改めて思い知った喜美子ですが、その大事な人・八郎は、今は名古屋の中部セラミックという会社勤め。
その名古屋では、1年後に大学病院を小学校3年生の女の子が訪ねることになります。名前は楡野鈴愛。ムンプス難聴と診断されたのは昭和55年「半分、青い。」の世界です。

スカーレット(107話2月7日)セリフ
●「かわはら工房」
武志:ただいま。
喜美子:お帰り。早かったな。
武志:ちょっと出かけてくるわ。
喜美子:どこに? あっ あっ… これ! これ頂いてん。
武志:ごはん いらんし。ほな。
●川原家・母屋
喜美子:制服で行くん? どないしたん。
武志:何で?
喜美子:ごはんいらんなんて 珍しいし…。
武志:ほうけ?
喜美子:なあ どこ行くん?
武志:大輔んとこ。
マツ:お米屋さんや。
喜美子:それは学君や。大輔君とこで ごちそうなんの?
武志:うん。
喜美子:ほやったら これ 持っていき。
武志:ええよ。
喜美子:ごちそうなるんやったら持っていきぃ。
武志:要らんて。
喜美子:手土産に。
武志:要らん言うてるやろ。
マツ:気ぃ付けてな。
武志:うん。行ってきます。
喜美子:行ってらっしゃい。
武志:うん。
マツ:お早うお帰り。
武志:うん。
●カフェ「サニー」
大野:それは その…何や あれやんな。
陽子:うん。あれや 思春期いうやつやん。信作ん時もあったやんなあ 親の前では「あっ」「うっ」「やっ」しか言わへんやつ。今はそっとしといた方がええんちゃうか?
大野:ほやほや もう そっとしときぃ。
喜美子:う~ん…。信作が時々 届け物持ってくるんですよ。知ってはりますよね?
大野:ふ~ん…。
陽子:うん…。
喜美子:5年… 5年は続いてますね。何やの言うて聞いても ふざけてばっかりで。この前も…。
回想信作:信楽のブルース・リーが来たでえ ワア~!
陽子:ハッハッ! そりゃあ ふざけ過ぎや いくつや思てんねん なあ?
大野:それなあ 実は わしが助言してん。離れとっても父親として…。
陽子:何?
大野:あ… ちゃう ちゃうわ。え~父親代わりとして 信作は 面白おじさんやなかったら あかんでえ言うて。
喜美子:面白おじさん…。
大野:ああ ああ なっ。
●川原家・母屋
武志:ただいま。
喜美子:遅いな。もう11時やで 高校生が帰る時間ちゃうやろ。
武志:高校生でも これくらいに時間…。
喜美子:ありえへん。
武志:文化祭の時の方が遅かったやん。
喜美子:こんな遅うないわ。
武志:美術部で描かなあかんポスター ぎょうさん頼まれて 家着いたん 夜中過ぎてた。あ… お母ちゃん 窯たいてたから 気ぃ付かへんかったんや。
喜美子:ほな 今日は文化祭か。美術部で残ってたんか。ポスター描いてくれ頼まれたんか。
武志:いや…。
喜美子:電話くらいしなさい。
武志:すいませんでした。
喜美子:もう歯ぁ磨いて寝え。
●「かわはら工房」
武志:なあ 話 してええ? 決めたで 高校卒業後の進路。
喜美子:武志 誰と会うてきた? 誰と話してきた。決めたんは誰や。
武志:決めたんは俺や。お母ちゃんが「自分の人生や 自分で決めぇ」言うてくれたから。考えて…よ~く考えて いろいろあれして… 最後に決めたんは俺や。大学に行きます。京都の美術大学を受験します。そこは公立やし 私立ほどかからんし。そこの陶磁器学科で学んで陶芸家 目指します。死に物狂いで勉強して 絶対…絶対 合格したるで!
その日から 本当に死に物狂いで勉強を始めました。武志が目指している大学は学力だけでなく美術の実技試験も行います。
●川原家・母屋の前庭
マツ:武志 置いとくな。
武志:ありがとう。
●川原家・武志の部屋
武志:コントラスト コントラスト…何々を… え~ 何々と対照する。う~んと…。暑っ。
●川原家・母屋
武志:1614大阪冬の陣 1615大阪夏の陣 1614大阪冬の…うん? 夏… 冬…? 冬… 冬の陣。
●「かわはら工房」
昭和54年(1979)3月
住田:関西百貨店からも お話 頂いてますねんけど。
喜美子:もう展示会だけで 手ぇいっぱいですぅ。
住田:百貨店は断ったら大損しまっせ。なんとかうまいこと 日程の調整しましょうや。
喜美子:住田さん 追われるようなことしたくないねん。うちは もう白いごはんに みそ汁におかず1 もう十分 ぜいたくや。
住田:う~ん… いや ステーキ 食べとなる時かてありますやろ。先生やのうても 息子さんが…。あっ 今日?
●川原家・母屋
マツ:お赤飯? もし 落ちてたら…!
喜美子:もう 絶対 合格する言うてるんやし…。
この1年 受験のこと以外にも いろいろありましたが 受験のこと以外 全ての記憶が色あせていました。あとは結果を待つだけです。
マツ:帰ったんちゃう?
(戸を開ける音)
武志:桜…咲きました! やったで!
喜美子:おめでとう!
マツ:でかした!
喜美子:ようやった! ようやった! あ~よかった!
マツ:あ~!
喜美子:でかした~!
武志:よかった~!
♪
武志:あ~ 食うた食うた。腹いっぱいや。
喜美子:腹いっぱい 腹いっぱいや。
武志:おばあちゃん もう寝てもうたな。
喜美子:緊張の糸が切れて ほっとしたんや。
武志:心配かけたしなあ…。
喜美子:ううん ほんま ようやった。よう頑張った。おめでとう。
武志:うん。
喜美子:すごいな。
武志:来月から京都や。学生寮 入るで。
喜美子:準備せんとな。
武志:寂しいな。
喜美子:寂しないわ うれしいで。
武志:ほんま?
喜美子:楽しみや。
武志:ほんま? 俺 陶芸家 目指すで。
喜美子:まずは大学生活 有意義に過ごしぃ。陶芸家はそのあとや。お母ちゃんは信楽で待ってるで。
武志:うん。
喜美子:報告したん? 進路の相談 乗ってもろてたやろ。受験勉強の時も 時々 電話してたやろ。助言してもろたん?
武志:お父ちゃんと おんなじ大学やから…。
喜美子:そやな。
武志:会いに行った。まあ 進路の相談いうか 話 聞いてもろた。
喜美子:うん。うん? 四国から わざわざ?
武志:あ… 今は名古屋におる。
喜美子:そうなん。
武志:5年ぶりやった…。
喜美子:5年になるか…。
武志:ずっとな 手紙もろてた。信作おじさんが届けてくれた。
喜美子:持ってきてたん やっぱり手紙か。
武志:ヘヘッ…。5年間で風呂沸かせるほど ぎょうさんの手紙もろたで。あ… ほんま 大したことない手紙や。いちいち言うことない思て 何や 言いそびれたら…言いにくうなった…。
喜美子:ええよ 別に。武志にとって お父ちゃんはお父ちゃんや。どんな手紙?
武志:ほんま 大したことないで。たあいない手紙や。「今勤めてる名古屋の会社で 今日 新しい釉薬の配合がどうしたこうした」。ほんま 大したことない手紙や。
喜美子:武志も書いたん?
武志:たま~にな。
喜美子:何 書いたん?
武志:俺も大したことないで。「美術部入りました」。「文化祭ありました」。あと…あっ「試験終わりました」。
喜美子:味気ないな。
武志:ヘヘッ そういうもんや。まあ でも…5年ぶりに会うた時は 最初はちょっと緊張したけど 顔見た途端「おう」「おう」。で 飯屋入って たぬきそばや。
喜美子:「おう」「おう」たぬきそば?
武志:うん 2人でたぬきそば食うた。黙~ってな ほんで 食い終わって話した。昔と何も変わらん よう話したで。
喜美子:何で?
武志:「何で}…?
喜美子:5年も離れて暮らしてて 何で昔と変わらんでいられるの。そういうもん?
武志:そういうもんちゃうで。風呂沸かせるほど ぎょうさんの手紙にな 必ず最後はおんなじこと書いてあった。いつの手紙にもどんな手紙にも必ず最後はおんなじや。「会いたい」。「いつか会いたい」。5年間 お父ちゃんは書き続けた。ほやから ほやから…「おう」「おう」たぬきそばや。ハハ…。
大事なものを失ったのだと思いました。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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