朝ドラ「スカーレット」第120話、八郎が新人賞を取った作品を壊して前に進もうとし、喜美子はそんな八郎に対して新しい関係を築こうやと提案。
それを聞いた信作は「女やなあ…女はそういうことケロッと言いだしよる。男はよう言わん。女は強いなあ」。
まさに川原喜美子は強し。そして
「うちはまだ自分の人生を豊かにするより 誰かの人生を豊かにしてあげたい。今はパリに行くことより ここに座ってたい。何か…作りたいんです。無性に今 作りたいんです」。
名言です。そして来週の第21週は特別編「スペシャル・サニーデイ」。スピンオフドラマが途中で入るという珍しい展開のようで、まずは心穏やかな週末をお過ごしください。
スカーレット(119話2月21日)セリフ
●「かわはら工房」
喜美子:「あ~」やないで? 言うてみ。「喜美子」言うてみ。
八郎:喜美子。
喜美子:ちゃうなあ。
八郎:もう分からへん…。
喜美子:何もないねん もう何もないねん。さっぱりとな? お互い さばさばいこうや なっ 分かる? うち できるで。もう 手ぇ触っても何ともない。ほら こんなんもできるで ほらほら。お~ハチさん久しぶり おうおうおう おうおうこう…。
♪
喜美子:片づけて はよ行こう。
八郎:これな… 何回も壊そう思うた。
喜美子:新人賞取ったやつやん。
八郎:うん…。「前に進むんは 壊しながら行くいうことや」。昔 喜美子が言うてたん思い出してな。何回も壊そう思うた。
喜美子:陶芸やってへんて ほんま?
八郎:今は休んでる。
喜美子:やりたいいう気持ちはあるん?
八郎:陶芸を始めた頃の感じになれへんかな思てる。
喜美子:どんな感じ。
八郎:ドキドキしてた。土触ったり形作ったり…あの感じな…陶芸に対するあの感じ… 恋やな。もっかい好きになりたい。純粋にな。
喜美子:ほな 壊したらええやん。壊して 前に進みぃ。ほんで うちともな。新しい関係 築こうや。
(戸が開く音)
武志:ごめん 聞いてた。それ お父ちゃんの大事な皿 ええの? 割ってええの?
喜美子:壊して前に進むんよ。聞いてたやろ。
八郎:せや。
武志:ほな ちょ 貸して。
八郎:えっ…。
喜美子:えっ。
武志:あ… ま… まっ…。あっ。
喜美子:あっ。
武志:いや…。
(信作の鼻歌)
信作:武志~ 面白おじさんが来た…。えっ。よ…呼んだよな? 呼ばれたよな 俺。えっ うん?
八郎:ケガせんかったな?
武志:あ… うん 割るつもりやなかったんのやけど… ごめん。
喜美子:割るつもりやなかったん?
武志:あ… いや 割るつもりやったんやけど… もっと こう かっこよくシュ~投げてやろう思て…。
八郎:ハハハ…シュ~って お前 野球やないねんから。ほんで 武志が割って どないすんねん。
武志:あ… ほんまやな…。
八郎:ハハハハ…。
武志:手ぇ滑ってしもうた ごめん。
八郎:ええねん ええねん。もともと壊すつもりやったし。はあ… すっきりしたわ。むしろ ありがとうや。
喜美子:ハチさん これで前に勧めるんちゃう?
八郎:いや~…。きれ~いに割ったな。
(笑い声)
信作:ハチ…。
八郎:うん。
信作:それ 新人賞取った時のやつやろ。
八郎:そや。
信作:そやんな? やっぱり そやんな?
八郎:覚えてくれてたん。
信作:懐かしいなあ…。
八郎:焼き上がった時 見に来てくれたもんな。
信作:ああ。貸して。
八郎:うん?
信作:俺にも供養さしてくれ。
八郎:ありがとう。ちょっ! ちょっ ちょっ もう 優しくやれ 優しく。もう繊細さがないわ。
信作:おっ アリや。
八郎:えっ?
信作:アリだ。へへへ…。さっき 喜美子「ハチさん」て呼んでたな。久々に聞いたで…。何や あいつ 明るかったな。
八郎:普通にしよう言われた。
信作:普通?
八郎:まあ 普通が何か よう分からへんけどな。まあ 意識し合う感じがな…。意識せんとこうと思うても そう思うこと自体が…。
信作:嫌いで別れたわけやないもんなあ。普通にして… フッ そんでハチさんか。
八郎:新しい関係 築こう言われた。
信作:女やなあ… 女はそういうこと ケロッと言いだしよる。男はよう言わん。女は強いなあ。
喜美子:何してんの? いつまでやってんねん。カレー食べへんの?
信作と八郎:食べます。
●川原家・母屋
武志:俺にとってはな 化学やねん。
信作:化学? 釉薬がか?
武志:うん。釉薬にはな いろんな材料があんねん。いろんな材料が熱によって溶け合って
化学反応 起こすねん。ほうして色が生まれる。その色はな 無数や 無限にある。どう組み合わせるかによっても色が変わってくんねん。それがもう楽しいんや。
(笑い声)
武志:ありとあらゆる色が生まれるでな。あっ ほやけどな 釉薬で作り出される色は 穴窯とはまたちょっと違うねん。
信作:武志は色にこだわってるんか。
武志:釉薬の奥深さや。釉薬が作り出す色を追っかけてる。計算したとおりに色が出た時は そら もうたまらん。「やった~!」思う。
(笑い声)
八郎:色をコントロールしたいんやな。
武志:お父ちゃんもそやった?
八郎:まあ 計算どおりにいかんことも多いけどな。
武志:分かってる。ほやけど それもそれで楽しい。
喜美子:どんな色を出したいん?
武志:そら 俺の… 俺だけにしか出せん色を…。
喜美子:まだ見つかってへんのやな。
八郎:まだ出合うてないんやなあ「これや!」いう瞬間。
喜美子:心が熱なる瞬間な。
武志:何 おれ。
喜美子:ジョージ富士川先生が言うてた。
武志:「自由は不自由」の。
喜美子:うん。
武志:熱うなる瞬間なんて あんの?
喜美子:あるで。お母ちゃんにとって それが穴窯やった。出会えるとええな。
八郎:楽しみやな。
喜美子:楽しみやな。
武志:うん。
喜美子:うちも負けてられへんな。よし パリ行くか。
信作:えっ パリ?
喜美子:うん パリ行ってくるわ。
信作:また けったいなこと言い出したで。
八郎:小池さんに誘われた言うてたもんな。
喜美子:うん。
武志:駅前のブティックも よう行かんやん。
喜美子:思い切って行ってみようかと。
武志:大丈夫なん 飛行機。
喜美子:うん。
信作:んっ お前 知ってるけ? 飛行機ってな 乗る時 靴下脱がなあかんねん。
喜美子:そうなん?
信作:ああ そやな ハチ。
八郎:せやで 靴と靴下はきちんと脱いで乗らなあかんねん。
喜美子:ハチさん 乗ったことあるん?
八郎:まあ 国内線やけど。
信作:国際線はもっとすごいで お前。あんな 乗る時に こう… こうやって こうやって乗っていかなあかんねん。
喜美子:そんな苦しい思いしなあかんの?
信作:ああ とにかくな 全部ちっちゃくて狭いねん。お前 パリ 何十時間と こうやで。どうする?
喜美子:そんな しんどいん…。
信作:ああ。
八郎:うそや うそ。
喜美子:うそ?
武志:信じてたん? お母ちゃん かわいいな。
喜美子:えっ… うそなん? えっ どこまで うそなん?
●「かわはら工房」
アンリ:(依頼した花瓶を受け取りながら)はい。
喜美子:はい。
アンリ:いや~ 残念やわ パリ行かへんの。
喜美子:行く気にはなったんですけど…。
アンリ:何でやめたん。
喜美子:飛行機に乗る時 靴と靴下を脱がなあかん言われて。
アンリ:フフッ 何それ。
喜美子:フフッ 冗談です。それは冗談で… 前に小池ちゃんが教えてくれたやないですか。うちの作品が小池ちゃんの人生を豊かにしてる。ほんまにそうなら うちはまだ自分の人生を豊かにするより 誰かの人生を豊かにしてあげたい。今はパリに行くことより ここに座ってたい。何か…作りたいんです。無性に今 作りたいんです。
アンリ:そうかあ…。もう一個 教えたろか。
喜美子:えっ?
アンリ:芸術以外で人の人生を豊かにするもんは何や? 人を思うことや。自分以外の誰かの人生を思うことや。寄り添うこと思いやること ほんで時には背負ったりすることや。あんな 誰の人生を思うことで自分の人生も豊かになるんやで。フフッ ええ作品作ってや。またいつか800万で買いに来るわ。
喜美子:アハハハハッ はい。
アンリ:楽しかったで。
喜美子:うちも楽しかったです。
アンリ:ありがとう。
喜美子:ありがとうございました。
アンリ:ほな さっさと やりぃ。
喜美子:はい。
●信楽窯業研究所・研修室
武志:先生。
掛井:うん?
武志:先生 これ…。
掛井:ああ 亜鉛結晶釉や。
武志:結晶…。
掛井:きれいやろ。
武志:雪か… 花が開いたみたいやな…。ええなあ… この感じ…。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
スカーレットのネタバレあらすじを最終回まで!出演者キャスト一覧有り
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