朝ドラ「スカーレット」第3話、喜美ちゃんは父ちゃんそっくりの性格で、次女の直子はわがままで癇癪持ち。
そしておそらく、三女の百合子は優しい女の子というキャラ設定が見えてきた川原家。
セリフ書きをしていて気付いたのですが、主役は喜美子で準主役は照子だということ。
前作「なつぞら」での咲太郎、「まんぷく」での萬平さん「半分、青い。」での律、それらのキャラと同じ扱いを受けている照子。
ヒロインの言葉はオレンジ色で、準主役の言葉は青い文字。字幕で気付きました。
「スカーレット」3話10月2日
●信楽山小学校
新しい学校生活には これまでなかった時間があります。学校給食です。まだ週2回の補助食程度で 主食は各家庭持参です。喜美ちゃんにはありません。それでも心浮き立つうれしい時間です。
●大野雑貨店
マツ:給食費…? 給食って タダとちゃうの…?
陽子:まだ始まったばっかりの制度やし よう分からんけど。なんぼか払わなあかんやろう。ジャガイモだけでええの? ほかにも何か…。
マツ:いや 昨日も一昨日も もろてばっかりで。今日あたり お金持って帰ってきますよって。
陽子:ほやけど 常治さんなあ 大阪まで行かんでも着物やったら この辺でなんぼでも引き取ってくれるとこあったのに。
マツ:何や そういうの この辺りでやるのが恥ずかしいみたいで。見えっ張りいうか…。そやから それもこんなにもろた 言うたら きっと怒られます。
陽子:どうせ怒られるんやったら これも持ってかいさ。フキやで。
マツ:すんません。
●川原家
喜美子:こうやって ゴシゴシこすったら よう汚れが落ちるねん。
直子:ふ~ん。
喜美子:直子もいっぺんたってみぃ。
直子:嫌や! 何でそんなつまらんことせな あかんねん。
喜美子:そのふかし芋 うちの分ちゃう?
直子:姉ちゃん 給食食べてきたやん。
喜美子:また それ言う。
常治:喜美子! 喜美子!
2人:お父ちゃんや!
常治:おう。
喜美子:何や 帰ってきてたん。お帰んなさい!
直子:お帰んなさい!
常治:ああ ただいま。おう 喜美子 おかゆ作ってくれ。
喜美子:晩ごはん おかゆさんにすんのん? お米のおかゆさん? お米あるん!?
常治:それや 白い袋や。
喜美子:お~。
常治:卵 ぎょうさん入れてな。
喜美子:卵もあるん!?
常治:ほら。
喜美子:ほんまやぁ~!
常治:アハハッ。
喜美子:こんな買うて お金のうなったんちゃう? もったいないで 一日1個じっくりゆっくり食べような。
常治:そんなケチくさいこと言うとったら もうケツただくで もう。
喜美子:1個だけ あっためてヒヨコにしよか!?
常治:おう せやな。ってアホ。
喜美子:アハハハハ。
常治:アホみたいなことばっか 言うてへんで ほら はよ作れ。
喜美子:あ… 洗濯途中や。
(回想)
常治:しっかりせえ!
大阪で暴漢に襲われた草間宗一郎さんです。
医師:ケガは大したことないけど…心配やな。ああいう感じの人 終戦からこっち よう診てきた。
草間さんの場合には 心に栄養が足りないんじゃないか。どこか空気のよい所でゆっくり養生することを勧められました。
(回想閉じ)
常治:行く当てなさそうやから 元気になるまで うち来い言うたったんや。
喜美子:何してる人?
常治:何や 自分からしゃべれへんから 分らんわ…。
喜美子:何で 分らへんのに連れてくんのん。
常治:ええから 早う ほら おかゆ作ったれ。
♪
(常治のせきばらい)
マツ:ああ。おいしそうに出来たわね ありがとう。どうぞ ようけ食べて下さい。わあ さあ 食べよな。卵ぎょうさんやなぁ すごいなぁ。よう味おうて食べななぁ。はい。
直子:少ない。
マツ:お芋さn ふかしたん食べたでしょ?
直子:少ない!
マツ:ええの?
喜美子:給食食べたから… ええ!
常治:ほな 頂きます。
直子:頂きま~す!
マツと喜美子:頂きます。
草間:頂きます…。
マツ:お口に合わしませんか?
草間:あ… いえ…。
常治:あっ 喜美子 酒持ってこい。草間さん 飲みたいて、
草間:えっ…。
常治:はよ持ってこい。ほら そこそこ。
草間:いや 結構です。そういう気分じゃありません。
常治:あ… そういう気分じゃないのん…。
草間:すみません。
「何か変。この人… 今まで会うたことないような 何かが違う…」。
マツ:もう休まはります? お布団 敷きましょか。
常治:せやな うん そうしよう。なっ。
草間:すみません。どうもごちそうさまでした。
喜美子:分かった! この人 日本人ちゃうでしょう!
常治:何を言うとんねん。
喜美子:どっかちゃう思うてん。何か うちらとちゃう。言葉や! しゃべりが何や ムズムズする。どこの国の人ですか?
常治:何を言うとんねん。
喜美子:大阪ちゃうでしょ!
常治:東京の言葉や! 東京!
喜美子:とうきょう?
マツ:東京は東京よ。こう 日本があったら この辺 日本の真ん中よ。
喜美子:えっ 日本の真ん中は大阪ちゃうの!?
常治:ちゃうわ! もう恥ずかし…。
喜美子:お父ちゃん言うてたやん!
常治:言うてへんわ! 黙っとけ…!
草間:生まれ育ったのは東京ですが 大学はこちらで…。
常治:あ… 大学出てはりますの…。
草間:そのあと 満鉄にいた叔父に呼ばれ 向こうで働いていました。
常治:満州ですか…。
草間:終戦も向こうで迎えました。
マツ:引き揚げてきはったんですね。
草間:ようやく船に乗ることができて 海を渡って日本に着いたのは この春です…。
マツ:ああ 戻られたばっかりやったんですね。それで…。
常治:大変でしたな…。
マツ:ご苦労さまでした。
草間:向こうでの暮らしが長かったので どこの国の人かと言われてしまうのは まあ確かに「中らずといえども遠からず」です。
マツ:もう… 失礼なことをすんません。
草間:いえ。君は鋭いね。
●信楽山小学校
信作:「君は鋭いね」。
喜美子:ちゃう。
信作:「君は鋭いね」。
喜美子:ちゃうちゃう 全然ちゃう! でけてへん!
信作:別に できひんでもええ。
喜美子:こうや。「チミは鋭いね」。あ~ そんなこと言われてみぃ! 日本の真ん中は東京に譲ったるわ!はあ~。
照子:友達いらん 言うてたやんけ。
喜美子:ああ 友達ちゃうわ。
●丸熊陶業
谷中:社長! 新しい運送の人ですわ。大阪から来やった川原さん。大野雑貨店の大野さんの紹介でよ。
熊谷:あ~ お宅さんが。
常治:川原いいます。よろしゅう頼みます。
熊谷:ああ こちらこそ よろしゅう。おう 照子 照子。うっとこの娘ですわ。照子いいます。
常治:川原です よろしく。
お父さんの新しい仕事は 火鉢の運送です。
常治:ああ こんにちは。
おばちゃん:こんにちは。
●川原家
喜美子:ただいま!
マツ:お帰り。
喜美子:草間さん どこ行ったん?
マツ:その辺 散歩してくるって。
喜美子:元気になったん?
マツ:元気とは違う。ふらりふらり ゆらりゆらりや。
喜美子:お父ちゃんも一緒?
マツ:お父ちゃんは仕事や 火鉢運んではるわ。
喜美子:仕事始めたんやったら もう安心やな。
マツ:せやけど すぐにはお金入ってけえへん。このままやと給食費払われへんわ…。
喜美子:えっ!? 何で!
マツ:1人増えたやろ 草間さん。
喜美子:それでか!? それで給食費払えんようなるん!?
マツ:それでのうでも厳しいで。
喜美子:あかん 絶対あかん! 給食は大事や 命綱や!
マツ:食べられへん子は ほかにもいてるんやろ?
(泣き声)
直子:百合ちゃんのお尻 替えたってぇ。
マツ:はいはい。
喜美子:あかん あかん あかん あかん なんとかせな! 草間さんに はよ元気になって出てってもらおう!
マツ:難しいで 心に栄養が足らん 言われたらしいから…。
喜美子:心に栄養!? 何やそれ。どういうこっちゃ!? う~ん…。ちょっと行ってくるわ!
マツ:えっ 何を?
喜美子:草間さんの様子 見てくるで!
マツ:ああ 気ぃ付けや?
給食という至福の時間が奪われるかもしれない。喜美ちゃんにとっては一大事です。
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。