朝ドラ「スカーレット」第34話、喜美子からちや子さんへの手紙「新聞社辞めた聞きました。大丈夫やろか。心配やけどきっとちや子さんなら。うちにいろんなこと教えてくれた、ちや子さんなら。そう思てうちは行きます。いつかまた…ちや子さんにお茶漬け作ってあげたい。おしゃべりしたいです。そして、いつかこの道選んでよかったと笑って会える日が来ますように。今日にて 荒木荘 卒業させて頂きます。お世話になりました。ほんまにありがとうございました!」。
18の娘にこんな決断をさせた父親の川原常治…、同じ男として情けないと日々思う朝であります。
スカーレット(34話11月7日)セリフ
喜美子はこれからのことを考えつつ 信楽から大阪に戻ってきました。
マツ:お金だけちゃうねんよ。お父ちゃんは喜美子に帰ってきてほしんねん。
(直子と百合子の泣き声)
大阪での暮らしを続けるか 信楽に帰るか…。最後の最後まで考え続けました。
●荒木荘
喜美子:ただいま戻りました!
さだ:あ~!
喜美子:すみませんでした。ただいま戻りました。
その夜 さださんと雄太郎さん そして大久保さんは帰ってきた喜美子の話を静かに聞いてくれました。
喜美子:お恥ずかしい話ですけど そういうことです。ほんで… ほんで決めました。学校は諦めます。そのお金は家の借金に。ほんで… うちは信楽に帰らせてもらいます。こっちに戻る汽車の中でちょっと目ぇ閉じて荒木荘のこと思い浮かべてみたんです。あそこに鍋がある。あそこには おたま。あそこには布巾。玄関の掃き掃除はあのほうき。表の枯れ葉 掃くんはあのほうき…。手に取るように荒木荘のことが…。ほしたら自分でも…もう結構やってきたんちゃうかな…。勝手にそう思いまして…。すみません 大久保さんからはまだ認めてもらえてへんのに。
大久保:認めるかいな。家の仕事に終わりはあらへんで。認める日なんか来るわけないわ。認める認めんで言うたら… あの時やん…。
さだ:何?
大久保:…あの時や。
さだ:何よぉ?
大久保:「大久保さんが作ったごはんは大久保さんにしかできへんのちゃう?」って言われた時に もう認めてたわ。
さだ:もう…そんなん最初の日やんか。
大久保:フフフ…。
さだ:もう! フフフ…。
喜美子:ありがとうございます。大久保さんから教わったこと 次の… 次にここ来る人にちゃんと引き継ぎをしてから帰らせてもらいます。
大久保:ええから ええから そんなん… よろしいおまんな?
さだ:引継ぎは大久保さんがやってくれるから。
大久保:そう思たさかい もうあんたの荷物まとめてしもたがな。
喜美子:いや… ほやけど…。
さだ:ええ ええ。ここは喜美ちゃんおらんかってもかまへん。
大久保:かまへん かまへん。
(雄太郎のすすり泣き)
喜美子:雄太郎さん!?
さだ:ちょっと… ああ! もう…!
喜美子:雄太郎さん!?
さだ:もうええ ええ。もう そっとしといてあげたら かまへん。かまへんわ もう。お父さんから電報ももろてるしな。私らも喜美ちゃん 信楽から帰ってけえへんと思てたんやから。
大久保:お母さん 大したことのうて よかったな。
喜美子:はい。
大久保:これからは信楽のおうちのこと 一生懸命やんのやで?
喜美子:はい。
大久保:うん。
(♪ギター)
さだ:何や?
雄太郎:♪「喜美ちゃんおらんでも かまへ~ん」
さだ:ええ!? 歌 歌うのん?
雄太郎:♪「寂しいけども」
大久保:歌かいな これ?
雄太郎:♪「かまへん」
雄太郎:♪「喜美ちゃん去っても かまへ~ん」「さよなら言うても かまへん」「喜美ちゃん去っても かまへ~ん」
●歌える喫茶「さえずり」
マスター:そうか… そら寂しいな。わざわざありがとう。
喜美子:お世話になりました。
マスター:あっ このあとの汽車で?
喜美子:いえ ちや子さんとこに顔出してから。ちや子さん 昨日も帰ってきてへんのです。
雄太郎:新聞社 辞めたみたいやで。
喜美子:えっ?
雄太郎:あの日 喜美ちゃんと入れ違いに えらい酔うて帰ってきてな…。
(回想)
さだ:ほ~っ! うわっとっと…、あ~! あ~あ~あ~! もう…。
雄太郎:おうおうおう…。
さだ:もうかなわんわ~。
雄太郎:どうしたの? どうした?
さだ:ちょっと ちょっと…。
ちや子:辞めたった! 辞めたりました!
(回想閉じ)
喜美子:何があったんでしょう…。
雄太郎:ヒラさんいう上司? 何も言わんとよそ移ったて…。
喜美子:ヒラさんが!?
雄太郎:しばらくの間な 実家に帰る言うてやな その前にここにきてやな やけ食いや。
(回想)
マスター:ちょっと 二日酔いと違うの?
(回想閉じ)
雄太郎:そのうち戻ってくるやろし 喜美ちゃんのこと言うとくよ。信楽なんて汽車ですぐやん。言うとくよ。
喜美子:手紙… 手紙書いていきます。
マスター:手紙な。
喜美子:はい すいません。
そういうわけで ちや子さんには会えずじまいでした。
雄太郎:いつか 映画俳優で売れっ子になったら 喜美ちゃんのお父さんにオート三輪 山ほど買うたるわ。
喜美子:ええ ほんまですか?
雄太郎:うん 喜美ちゃんにも。
喜美子:ほな うちは… 妹にテレビジョン買うてもらおうかなあ。
雄太郎:任しときぃ。ほな 心機一転 芸名でも付けよかな?
喜美子:芸名?
雄太郎:うん 喜美ちゃん 付けてぇや。
喜美子:ええ!? そんな大事なことできません。
雄太郎:ええよ ひらめきで。
喜美子:え~ ひらめかへん… ひらめいた! 信楽太郎。
雄太郎:ハハハ… それはあかんわ。
喜美子:えっ 何でです? ええやないですか 信楽太郎。
雄太郎:じゃあ 戻るわ。
喜美子:はい。ほな ここで。
雄太郎:気ぃ付けてな。
喜美子:ありがとうございました。お仕事中 すみませんでした。
雄太郎:さえずりの姿は 仮の姿やからな。
喜美子:分かってますぅ 信楽太郎さん。
雄太郎:あかんて。
(笑い声)
喜美子:さいなら。仕事頑張って下さいね うちも頑張ります。
雄太郎:じゃあ…。
喜美子はこうして 大阪から荒木荘から去っていきました。ちや子さんが戻ったのは それからしばらくあとのことです。
●荒木荘
喜美子の手紙「ちや子さん ほんまのところ これが正しいかどうか分かりません。うちの前には2つの道があって 一つは荒木荘で働きながら仕送りしながら内職しながら学校に週3日通う道。ジョージ富士川先生から新しい世界を教わって好きな絵を描くことを学ぶ。想像するだけで楽しくてワクワクする道です」。
「もう一つの道は信楽に帰る道。こっちは…どうなるか分からへん。働くところはあっても自分がどうなっていくか想像つかへん…」。
「よう分からん道を選んで歩きだすのは えらい勇気がいります。勇気を出して うちは信楽に帰る道を選びました。自分で決めました。自分で決めたんです」。
(ちや子のすすり泣き)
「そやから… 最後にちや子さんに会いたかった…」。「新聞社辞めた聞きました。大丈夫やろか。心配やけど きっとちや子さんなら。うちにいろんなこと教えてくれた ちや子さんなら。そう思てうちは行きます。いつかまた…ちや子さんにお茶漬け作ってあげたい。おしゃべりしたいです。そして いつかこの道選んでよかったと笑って会える日が来ますように。今日にて 荒木荘 卒業させて頂きます。お世話になりました。ほんまにありがとうございました!」。
●川原家
百合子:行ってきま~す。
喜美子:行ってらっしゃい。直子! 何か言いなさい。
直子:行ってきます。
喜美子:行ってらっしゃい。気ぃ付けてな。よっしゃ!
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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