朝ドラ「スカーレット」第41話、フカ先生の過去を知り、涙を流す川原家の女性陣。そして喜美子が「決めた。うちはフカ先生の弟子になる」。
ここ数年、朝ドラのセリフを起こしていますが、本日の深野神仙ことフカ先生のセリフはその中でも群を抜いて長い!と証言しておきます。
文字数にして1038文字! これを一気に語りつくしたイッセー尾形氏に敬意を表して、明日も宜しくお願いいたします。
スカーレット(41話11月15日)セリフ
●川原家
常治:何が絵付けじゃ! 結婚もせん言うてるやつが…。ぬ~! この~!
♪
マツ:ごめんな?
喜美子:うん?
マツ:絵付けのこと。うまいこと言うたげよ思て… 火に油注ぐようなことになってしもた…。
喜美子:ううん。お母ちゃんのおかげで分かったわ 自分が何をしたいのか…。
マツ:どういうこと?
♪
直子:決めたて 何を決めたん?
喜美子:うん…。姉ちゃんの行ってる丸熊陶業の絵付けの先生はな 深野心仙いう偉い先生や。
直子:ふ~ん。
喜美子:フカ先生 呼ばれてる。このフカ先生がな 集中してる時は見たらあかんねん。
マツ:見たらあかん?
喜美子:見たらあかんいうか 見ん方がええ言われてん。
直子:何 それ。
喜美子:気になるよな? そんなん言われたら気になって…。
マツ:見たん?
喜美子:何や 声が聞こえてな…。
(回想 フカ先生のうなり声)
喜美子:どんだけ苦しい思いして 描いてはんねやろ思てな。
マツ:うなってたん? あっ! 泣いてたん?
百合子:何でなくのん?
マツ:うまいことできんで…。
直子:怒ってたんちゃうけ?
喜美子:もう気になって 気になって…。
マツ:見たん?
百合子:見たん?
直子:見た?
喜美子:見た。
マツ:どんなん…?
喜美子:こんな顔してた。
百合子:アホやん? アホな顔や!
喜美子:えっ そう?
百合子:もう一回やって 確認するから。
喜美子:そんなん何回もできひん。笑てたんよ。
マツ:えっ!? 今の笑てたん?
喜美子:笑てた…。へらへら へらへら…。笑いながらやっててん。どういうことか分からへんでな どっか おかしくなったんちゃうかなあと…。
(回想)
喜美子:フカ先生?
深野:あ…?
喜美子:大丈夫ですか?
深野:あ… 見たな…? 恥ずかしい…。恥ずかしい…。
喜美子:何で 笑てたんですか?
(回想閉じ)
喜美子:聞いたら フカ先生は 昔 日本画を描いてはってんな。山や森や空を飛ぶ鳥や 滝の流れる所やら… 日本の美しい風景画や。若い頃は それで賞を取ったり 個展をやったり 世の中から認められてた。それが 戦争が始まって…。
(回想)
深野:僕はな 従軍画家として大陸に渡ったんや。そこで戦争画っちゅうもん 初めて描いたわ…。空とか鳥とちゃうで? 鉄砲の弾が飛び交う絵や。子どもが野原で遊んでる絵やない。兵隊さんが鬼気迫る顔で 敵に立ち向こうて勇ましゅう戦う絵や。僕はちっちゃい頃から絵ぇ描くんが好きでな。えらい貧乏やったから… もうお金がないし。欲しいもんは何でも僕が代わりに絵で描いたった。お母ちゃんがな「白いごはんが食べたいなあ」言うからな よっしゃ~ちゅうて 白いふっかふかのごはんを もう どこも欠けとらん きれいな茶わんに山盛り てんこ盛りに描いたったわ。お父ちゃんがな 胸患うた時な「お父ちゃん どこ行きたい?」。「ああ… 夏の海に行きたいわ」。ハハッ よっしゃ 海描いて 山描いて…川も畑も描いたった。ちょっと描き過ぎやから 叱られるか思たけどな お父ちゃんな「ああ ええよぉ」言うてくれたんや。お母ちゃんもな「ええよぉ」言うてくれてな。あ~ うれしゅうて 楽しゅうてな。もう… 笑て描いとったわ。「ええよぉ」。「ええよぉ」。笑いながら描いとった絵がな もう あれだ 戦争画や。うん…。人間が殺し合うんや…。のたうち回ってな…。まあ 戦地やから… 戦争のためいうてもな そんなん絵にできひんわ。なあ? せやから もう…いつやったか 戦争終わった言われてもな もう…もうあかんわ。もう描けん。絵なんか一生描けんと思た。ほいで…ほかの仕事 転々としてな。そんな時な こいつと出会ったんやぁ。火鉢によ 絵が描いてある。えっ! うわ~! 思てな。こんなとこに絵!? 暖とるために絵なんていらんやん? なあ? そやけど 描いてあるんや。どういうこっちゃ!? あっ そういうこっちゃ そうか~ これが戦争が終わったっちゅうことや。火鉢の絵ぇ見てな 実感したんや。まあ… なんとぜいたくな… なんとぜいたくなことを日本は楽しむようになったんや。僕は叫んだわ。「火鉢に絵! ええよぉ!」。もう そっからは絵付けの仕事に猛進や。せやから… 今 描いててもな どうしても こう…気持ちがこぼれてくるんや。また笑いながら絵ぇ描けることが どれだけ幸せなことか…。この火鉢の向こうの… この絵ぇ前にして あったまる人のことを思うと なんと幸せなことか…。絵ぇ考えたり 描いたりしとるとな 笑てしまうんや。アハハ…。もう楽しゅうて うれしゅうてな…。せやから もう ついな アホな顔して 笑てまうんや。アッハッハッハッハッ…。
(回想閉じ)
マツ:ええ先生やな。
喜美子:うん… ええ先生や。たまには 1人で踊ってしまうこともあんねんて。こう 笑いながら 鉛筆を持って。
(笑い声)
(回想)
喜美子:アハハハハッ…。
深野:月も描かんといかんし…。雲描いて…。や~ 雲や~!
(回想閉じ)
喜美子:ほんでな? フカ先生 見られたから しゃあない言うて 姉ちゃんの気持ち聞いてくれやってん。
(回想)
深野:そもそも君は… 絵付けをやりたいんか? 絵付け師になりたいんか?
喜美子:うちが! うちがやります!
深野:ええよ ええよ。どっちや?
喜美子:そうことの前に うちにはお金が…。
深野:お金の話なんかしてへん。
喜美子:ほやけど…。
深野:負けたらあかん。何かやろ思た時に お金がないことに気持ちが負けたらあかん。どっちや?絵付けやりたいんか 絵付け師になりたいんか。
(回想閉じ)
百合子:どう違うのん?
マツ:う~ん… 遊びでやるか 仕事にするか?
直子:お金になるか ならんかや。
マツ:ええ~?
喜美子:覚悟があるかどうかやな。絵付け師になりたいんやったら 基本からしっかりたたきこむ言われた。
マツ:何て答えたん?
喜美子:分からへん。そんなん すぐには答えられへん。分からんと帰ってきた。ほしたら お母ちゃんが…。
マツ:ああ… お母ちゃん 余計なこと…。
喜美子:ちゃうよ。お母ちゃんが週1回 永山陶業? 職人さんが交代で絵付け教えてくれるいう話 持ってきてくれたやん?
直子:お父ちゃん あかん言うたで?
喜美子:うん…。ほやけど その前に それは何か違うような気がしたんよ…。ほしたら…うちはどうしたいん? 今の気持ちはどうなん? 考えたんよ。絵付けをやりたいん?絵付け師になりたいん? いや… どっちでもないわ。分かった うちはフカ先生についていきたい。フカ先生に学びたい。学ばせてもらいたい。ほかの誰でもなくて あの うれしそうに笑いながら 楽しそうにやってる あのフカ先生に…。決めた。うちはフカ先生の弟子になる。
●居酒屋「あかまつ」
常治:ほな おっちゃんの危険信号 1位は何? これやったら もう酔いだしてるいう この危険信号の1位!
深野:1位は おしぼりを ちくわと間違えて食うねん。
常治:おしぼり ちくわて!
(笑い声)
常治:ほな 眼鏡かけはなれ 眼鏡! もう見えてへん…。おしぼりや これ おしぼり…。ちくわちゃうわ ちくわ…!
大野:えらい にぎやかですな。
常治:オゥちゃん 来た来たきた。オゥちゃん このおっさん ごっついおもろいで ほんまに。
大野:あれ?
深野:あ~あの… 大野雑貨店の…?
大野:ええ ええ! ええ ええ!
常治:何や 知ってんの? ああ オゥちゃんとこで 何か買うたんやな? うん。おしぼりちゃうか?
深野:おしぼり… アハハ…。
大野:ちょっ ちょっ ジョーさん そんな バシバシたたいて…。
常治:あっ?
大野:こちら 丸熊さんとこの 絵付けの先生ですよ。
常治:ヘッヘッヘッヘッ…。丸熊… 絵付けの先生?
深野:どないした?
常治:いやいや…。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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