朝ドラ「スカーレット」第64話、常治:はあ… 腹割って話すとな 俺は…その…。こいつと一緒になって もうずっと苦労ばっかりかけてきたんや。どこの馬の骨か分からんやつにはやらん言われて 駆け落ち同然で こう 飛び出してきて…泊まるとこのうて 橋の下で雨しのいだりな。
幸せにしたろう思っとったんや。幸せにできると思っとったんや。夢もいっぱいあった。大きい家建てよ言うて…ブランコある白い家がええ言うて…。ハイキングも行きたい言うとった…。
せやけど そんなんも こんなんも…俺 何も かなえてやられへんかったんや。もう ここも逃げるように来て もう… 見てのとおり おんぼろで…。失敗ばかりの人生や。
同じ自営業の身として、常治の言いたいことが物凄く分かるボーナスシーズン。安定した職業で安定した生活。実に羨ましく溜息。
でも、いつまでも娘を3歳だと思ってるのは大間違い。「常治気持ち悪い」と若い人がSNSでつぶやいております。
スカーレット(64話12月12日)セリフ
●川原家
常治:今 何が起こってるか 分かってるやろ!?
マツ:今?
常治:今いうか ここんとこや もう! 喜美子に男ができるいう もう 青天のへきれき事件が勃発しとんじゃ もう!
マツ:男て言い方…。
常治:男やと。
マツ:十代田八郎さんいう名前があるんやさかい。
常治:どこのハレンチさんやら。
マツ:八郎さんや!
常治:ハレンチさんや! もう ちょっと聞いてぇや もう! はよ! こう… こっちに…。
マツ:はい。
常治:もう…。そもそも あいつら いつからや?
マツ:さあ?
常治:知らんわけないやろ。
マツ:大阪から来はった言うてたからなあ。
常治:誰がや。
マツ:八郎さんや この夏にな。
常治:大阪… お前… お前 まさか お前…。お前 大阪におった時から お前… あれしとったんちゃうやろな それやったら結構長いよ お前…。
マツ:そういうことも含めて きちんとお会いしてお話聞いたらええんやないの。
常治:え~ もう…。
マツ:何べんも来てくれてはるのに。
常治:会うて話したら なし崩しになってまうがな。
マツ:結婚反対なん?
常治:早いやろ まだ 喜美子 まだ3歳やもん…。俺ん中では お父たんお父たん 言うとんねん…。ちょお ちょお…。うん! うん! もう!帰ってけえへんやん もう!
マツ:まあ 確かに遅いなあ。
常治:遅いわ もう。もう~。どっか行ってもうたってことないか…。
マツ:どっかって…?
常治:いや…せやから…信楽から…信楽から遠くに…。せやから… 俺とお前ん時みたいに 駆け落ちしたんちゃうか言うとんねん もう!
マツ:アッハ…。
常治:分からんけど… あいつも俺の娘やろ もう 熱いいうか こう 何ちゅうの 情熱がこう 燃えたぎるたちかもしらんやん 駆け落ちせえへんとも限らんで もう…。もう~ かなわんわ もう~。
(OP)
常治:なにも 一生許さん 言うてるわけちゃうやんか 俺かて。熱情に浮かれてる時は 冷却期間いうか 一旦 頭冷や…。
百合子:駆け落ちしたん…? お父ちゃん お母ちゃんと駆け落ちしたん?
マツ:いや… あの…。
常治:そんなん知らん。
百合子:ほんま? 何で?
マツ:あ…お父ちゃん たまたま仕事がうまくいってなくてな どこの馬の骨とも分からんやつ 言われて…。
常治:やめえ もう!
百合子:ほんで 何? お父ちゃん 情熱が燃えたぎるたちなん?
常治:まあ…若い頃わな。
百合子:燃えたぎるん? 気色悪ぅ。
常治:えっ? いや…。
百合子:気色悪ぅ。
常治:え…いや… いやいや ちょっと 百合子 お前…。
百合子:ああ! 来んといて!嫌や! 嫌や! 気色悪い!
常治:えっ 百合子!
喜美子:ただいま~!
マツ:お帰り!
喜美子:お母ちゃん! もうすごいで! 泣きそうになったわ~!
マツ:どないしたん?
八郎:遅うなって すみません。
喜美子:あっ 送ってくれはった。
マツ:いや~。
喜美子:照子が産気づいてな 出産に立ち会うてん!
マツ:ほんま!?
喜美子:もう 焦ったわ!立ち会うたいうてもな 腰さすったり こうやってお湯沸かすんを 手伝ったりやけ… ど…。 遅うなってしもて すみません。
八郎:すみません。
マツ:ねえ 無事 産まれたん?
喜美子:うん! もう予定より早いから心配したけどな 産気づいたら あっという間や! えらい安産でお産婆さんも驚いてたわ。
マツ:へえ~! で… どっち!?
喜美子:女の子!
マツ:わあ~!
喜美子:もう 照子のお母さんも泣いてたでえ!
八郎:若社長も。
喜美子:なあ! 男泣きしてたなあ!
百合子:照子さん 産まれたんや!
喜美子:そうやねん! ただいま。
百合子:お帰りなさい。こんばんは。
八郎:こんばんは。
百合子:上がはります?
八郎:ああ 送ってきただけなんで 今日は もう…。
喜美子:遅いもんな。連絡するいうのが頭になかった 舞い上がってしもて…。
マツ:そら 分かるわ。
喜美子:ごめんな? 心配かけたな。
マツ:ううん。
八郎:ほんまに すいませんでした。すいませんでした。
喜美子:ほな。
八郎:ほな。
常治:あ~。
(常治のせきばらい)
常治:上~がれや…。
喜美子:えっ。
常治:な… 何や お前 あ… 上がってほしいんちゃうんか。上がってったらええんちゃうか?
マツ:(小声で)上がって!
百合子:座布団!
喜美子:あっ 座布団 ええ 要らん要らん 要らん要らん。
八郎:ほな… 上がらせてもらいます お言葉に甘えて。失礼します。
(常治のせきばらい)
常治:おう おう…。おっ 百合子。お前 ここ座れ。
百合子:うち こっちでええ。
常治:なん…。な… 何や…。
喜美子:何かあったん?
百合子:気色悪いねん!
常治:何が気色悪いじゃ お前! 若いうちはな 熱情が燃えたぎるんや! す…好きになったらあかんのか! お前。ええ? お前。そういう気持ちは誰にも止められへん… 止める権利もあらへん…。
常治:どういうこと?
常治:何もない!
八郎:あの…。
マツ:なあ おなかすいてるんちゃうの? 何も食べてへんのやろ?何か食べながら 話 しよか?
喜美子:うん。
常治:何やねん その緊張感のなさは もう。なまぬるい空気持ってくんな もう。
マツ:あら~せやけど なあ?
喜美子:うん。お茶漬けでも食べる?
常治:お前もや もう! 大事な局面や。
喜美子:大事な局面 終わったわあ。
常治:何を言うとんねん。
喜美子:お父ちゃんが上がってもええ 言うてくれたから ひとまずほっとした。
常治:誰がそんなこと言うた。
喜美子:お父ちゃん。
常治:言うてへんわ。
喜美子:言うたやん。
常治:言うてへん!
喜美子:言うたやん。
常治:言うてへん…!
喜美子:言うたやんか!
(ちゃぶ台を抑える八郎)
常治:ハハハハハ… もうええ もうええ もうええ。もうええ ほら もう。ハハッ もうええ。はあ~ あ…。ほんまにもうええ もうええ。足も崩せ。もう顔も崩したらええよ。崩れとわ もう。
喜美子:ええの?
常治:ええよお。
喜美子:その「ええ」は どういう意味の「ええ」?
常治:どういう「ええ」やろうな。
喜美子:真面目にやってや。
常治:真面目にやったら腹立つやろ。
喜美子:ほな ふだんどおりでお願いします。普通の感じで。
八郎:あの 改めまして 十代田八郎と申します。
常治:俺 ジョ~ジ。
喜美子:それ 普通か?
常治:俺 ジョ~ジ~。
喜美子:もう 言い方変えてるだけやん。
常治:ジョー。ジョー…。
喜美子:何やん もう意味ないやん。
常治:はあ…最初は こういう くだけた感じでいくねん。
喜美子:決めてたんや。
常治:だんだん キュ~ 締めてったるから。
喜美子:何やねん それ もう自然体でいこうや。
常治:ほな 寝転ぶで? 寝転ぶ…。
喜美子:もう お父ちゃん やめてえや…!
常治:ジョ~ジ…。 押すな 押すな 押すな 押すな…!
喜美子:押してへんやん もう。
常治:押すな お前! お前 本当…!
喜美子:お父ちゃん!
常治:あかまつ行ってまうど!
喜美子:戻って戻って もう! 恥ずかしい。もう…!
常治:お前らも…。
マツ:あっ ほな 改めまして 母のマツと申します。
百合子:妹の百合子です。
常治:あと ほかにも何人にか なっ。
喜美子:何人もおらんわ。
常治:東京に8人ぐらい…。
喜美子:1人や! 直子いう妹がおるんよ。
八郎:はい。
マツ:8人なんは 八郎さんやなあ。
八郎:はい。
常治:安易なもんや。何や その創意工夫のない名前付けた 両親はまだ あの…田舎のおんの?
八郎:亡くなりました。
(せきばらい)
常治:あ… 悪い。すまん。
八郎:いえ。父は僕が小さい頃に。母も亡くなってから もう随分たちます。
常治:出身は あの…大阪?
八郎:はい。
常治:き…喜美子とは 信楽来てから?
八郎:はい 信楽来てからです。あっ… はい。
常治:ああ そう… そうか…。ほんで きょうだいは まだ大阪やの?
八郎:一番上の兄は結婚して岡山に。3番目と4番目の兄がそれぞれ仕事で敦賀と名古屋に。大阪におるんは5番目の姉だけです。
常治:それ…2番目と 何や…。
八郎:2番目と6番目は戦争で。7番目は生まれて ひとつき足らずで死んだって聞いてます。
常治:あ…そうですか。
八郎:はい。5番目の姉が 僕の親代わりいいますか 僕の学費の面倒を見てくれました。
常治:ほんで 今は…。
八郎:はい。今は丸熊陶業の商品開発室いう所で 働かしてもろてます。
常治:ほう…。なかなかな 骨のある男や思っとったで。
喜美子:本気で言うてんのん?
常治:いや ほんまや ほんま。うん ほんま。うん…せやけど あの… 一つだけな… うん…。
喜美子:何?
常治:いや…一個だけ あんねや その…。
喜美子:ほやから 何よ。
(せきばらい)
常治:十代田君 あの… あの~ 八郎君。
八郎:はい。
常治:はあ… 腹割って話すとな 俺は…その…。こいつと一緒になって もうずっと苦労ばっかりかけてきたんや。どこの馬の骨か分からんやつにはやらん言われて 駆け落ち同然で こう 飛び出してきて…泊まるとこのうて 橋の下で雨しのいだりな。
マツ:アハ…。
常治:幸せにしたろう思っとったんや。幸せにできると思っとったんや。夢もいっぱいあった。大きい家建てよ言うて…ブランコある白い家がええ言うて…。ハイキングも行きたい言うとった…。
マツ:言うてないよ。
常治:いや 言うとった…言うとったんやて。せやけど そんなんも こんなんも…俺 何も かなえてやられへんかったんや。もう ここも逃げるように来て もう… 見てのとおり おんぼろで…。失敗ばかりの人生や。せやから あの… せやから… 分かってくれるかな? 八郎君は今 丸熊陶業の商品開発室いうとこで 社員さんでおられるやろ。
八郎:はい。
常治:うん…。ほんで ええんちゃうのん? いや 喜美子から聞いたんや 陶芸家になる夢 持ってるいうて…。何や それ?って…。そんなん… そんな夢 必要ですか?
喜美子:お父ちゃん。
常治:いや もう それだけがな それだけが どないしても気になんねん。別に あの…陶芸したらあかん 言うてるわけちゃうねん。なんぼでも空いてる時間にやってくれてもかまへん。せやけど それだけが…分からへんねん…。約束して下さい 一個だけ。喜美子と一緒になるんやったら 一生 そんな ふわふわしたことを言えへん いうて。ひとつ 約束して下さい。
八郎:陶芸家になりたいいうのが あかんのですか。夢を… 持つないいうことですか。
常治:好きいうだけでは 夢いうのは かなえへんねんて。ほんまに約束して下さい。頼みます。お願いします。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
「スカーレット」ネタバレあらすじを最終回まで!出演者キャスト一覧有り
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