朝ドラ「スカーレット」第7話、父親・常治が喜美子の頬をパシッとひっぱたくシーンで終わった今回、朝ドラで久しぶりに見た子供がぶたれるシーン。
思い返せば「カーネーション」以来ではないかと。ここ何作かは、ほのぼのとした子役時代が続いていたので、なかなかの衝撃があったと感想を書いて今週もよろしくお願いいたします。
それにしても、借金取りの工藤さん、いいこと言います。
そっちから見たら、わしは借金取りに来た怖くて悪い男やろ?せやけど、うちの娘から見たら、そっちの方が約束破って金返さん悪い男や。分かるか?どんな人間でもええ面悪い面がある。怖い男に見えても 優しい男かもしれん。
そうそう、借金取りが悪いんじゃなくて、借金を踏み倒す方が悪い。これ基本です。
「スカーレット」7話10月7日
昭和22年 空襲で何もかも失った喜美ちゃんの家族は 多額の借金を抱えて大阪から信楽にやって来ました。タヌキとの出会いあり。お父さんが暴漢から助けた草間さんとの出会いあり。新しい学校にもなじみ…。信楽で初めて冬を迎えたところでしたが…。
●川原家
喜美子:ただいま。
マツ:お帰り。お風呂たいてくれる?
工藤:琵琶湖の向こうまで行かされてなぁ 体 えらい冷えてもうてん。
本木:お父さん帰ってくるまで おらせてもらいます。
大阪から来た借金取りです。「どないしよう…」震える思いで懸命に考える喜美ちゃんです。「どうしてやろうか」と 喜美ちゃんは考えます。「これをくべたらお湯の温度が2度上がる。これやと3度。これもこれももっともっとくべたら…」。
(妄想)
工藤:うう… ううっ。熱っ! もう悪いことはしません!帰ります。熱い…。
(妄想閉じ)
工藤8:おい。ここに年寄り おらんのか?
喜美子:えっ?
工藤:おじいちゃんやおばあちゃん おらんのか? おい 聞いてんのか!?
喜美子:聞いてます! おじいちゃんもおばあちゃんも うちが生まれる前に亡くなりました。あ~ お母ちゃんの方のおじいちゃんとおばあちゃんは元気にしてるみたいやけど… 会うたことはありません。
工藤:何でや?
喜美子:さあ?
工藤:ああん?
喜美子:詳しいことは知りません。
工藤:年寄りがおったら 身の丈に合わん借金はするな言うて止めてくれたのにな。あかんで 返せん借金するんは。大阪で材木売る商売に手ぇ出して うまいこといったら2倍にして返します 言うたん そっちやで? それを2倍どころか うやむやにして逃げよった。おい 聞いてんのか!?
喜美子:聞いてます!
工藤:わしにもな 5歳になる娘がおる。そっちから見たら わしは借金取りに来た怖くて悪い男やろ? せやけど うちの娘から見たら そっちの方が約束破って金返さん悪い男や。分かるか? どんな人間でもええ面悪い面がある。怖い男に見えても 優しい男かもしれん。もうええで。ちょうどええ湯加減や。ありがとうな。
♪
喜美子:あ… お父ちゃんのお酒…。
マツ:飲みたい言われて…。
本木:うん。うまいうまい。
直子:ゆで卵 うちも食べたい!
本木:何や?
喜美子:ゆで卵 全部 食べんといて下さい。
本木:何で?
喜美子:だって それ うちで買うた卵や。
本木:そんなことは 金返してから言わんかい!
直子:怖い!
マツ:喜美子!?
喜美子:妹は 思うようにならんと かんしゃく起こします。空襲の時に怖い目に遭わせてしもうたから…。そん時のことが忘れられんで…。心の弱いところがあるんです 妹は。そやから頼みます!1個でええ。妹にゆで卵やって下さい! やって下さい!
回想工藤:怖い男に見えても 優しい男かもしれん。
本木:誰がやるか!
喜美子:優しい男ちゃうのん!?
本木:はあ? 何言うとんねん お前。
直子:あ~!
本木:あっ 痛たたた…。
マツ:な… 直子!
喜美子:直子!
本木:あのガキ! 待て~!
喜美子:直子~!
本木:待て~! 待て~ このガキ! よっしゃ 捕まえた。おらぁ おとなしくせえ! クソガキ!
直子:嫌や!
草間:嫌がってるでしょう 放しなさい!
本木:あん? あっ 痛たたた…。痛い 痛い 痛い…。
喜美子:草間さん!?
本木:ああ… くっ。
草間:大丈夫?
本木:この… 何さらすんじゃ! おらぁ!
それは あっという間の出来事でしたが 喜美ちゃんの目には まるで空を飛んでいくかのように見えました。
本木:うわあ… ああ… ああ…。
●大野雑貨店
常治:オゥちゃん!
大野:あら お帰りなさい。えらい早かったですな。
常治:はよ終わったさかい 帰ってきた。これ 買うてな。
大野:あっ 喜美ちゃんと直ちゃんの? あ~ かわいらしい。喜びますな。
常治:高かったでぇ はよ渡しとうてな。それとあれ。
大野:えっ?
常治:あれや あれ!
2人:ラジオ!
常治:それ それそれ!
大野:いや~もう べらぼうに安い 中古の掘り出しもん。
常治:手に入ったん?
大野:ええ。頂いとった800円できれいに収めましたわ。
常治:早う! もう早う!
大野:ちょっと待って下さい。今 きれいに磨いてましたけ…。こんなん持ってきてもうた。
常治:はよ はよ はよ。早うしてよ もう! アッハッハ。
●川原家
工藤:ほな これ 借金の一部にさせてもらいまっさ。ほんまにええんでっか? お宅のお金でっしゃろ?
草間:こちらには お金には代えられないご恩がありますから。
工藤:年寄りの代わりに こんなええ人がおってよかったな。けど 残りの借金はまだまだあるで? しっかり返さんとな? 約束破ったら また追いかけてくるでぇ。
本木:ああん?
草間:子どもにそんな やめて下さい。
喜美子:約束します!借りたもんは必ずお返しします。
工藤:ほな 退散しよか。
本木:はい。
♪
本木:こいつ…。
工藤:ええもん持ってまんなあ? 川原常治さん ですよね? 無駄足ならんで済みました。また来月もよろしゅう。
常治:ちょお待ってくれ。どういうこっちゃ?
工藤:草間さんいう方が 訪ねてきたとこに居合わせまして。
常治:草間…。
工藤:しょうもない男の代わりに 1000円ばかし払うてくれはりましたわ。ほな。
本木:ほな!
♪
喜美子:柔道!? あれ こうやって投げ飛ばしたん 柔道いうのん?
草間:うん 柔道の技の一つだよ。
喜美子:魔法みたいなったなあ!
草間:本当はよくないんだよ?やむにやまれず 思わずね。
喜美子:ええやん! うちも投げ飛ばしたい! 気に入らんやつ エイッ! エイッ!
草間:フフフッ。
喜美子:うちにも教えて下さい!
草間:えっ? 女の子が柔道…。
喜美子:女は柔道やったら あかんの? 教えて下さい!
草間:いや~。
マツ:喜美子。草間さん 困ってはるやないの。
常治:ただいま。
喜美子:お父ちゃんや!お帰んなさい。早かったなあ。草間さん 覚えてる? 会いに来てくれた!
常治:へえ~ そうか。
草間:あのあと 大阪で割のいい通訳の仕事を見つけて働いてました。ある程度 貯金もできたので東京に戻ろうかと…。その前に 改めてご挨拶に。
喜美子:東京行ったら なかなか会われへんやろ? 東京は遠いし 日本の真ん中やからな。
常治:日本の真ん中は大阪や。お話はよう分かりました。直子を助けて頂いたことも ほんま申し訳ない。感謝いたします。
草間:ああ いえ…。
常治:そやけど お金は困りますわ。なんぼなんでも 借金の一部を草間さんに払うてもらうようなことは…。
草間:そうおっしゃるだろうと思いましたが…。
マツ:大阪で暴漢に襲われた時 助けてもろた借りを返したいて 草間さんの強いお申し出やの。
常治:お金が欲しくて助けたわけやない。金額1000円でしたな。800… と…。
喜美子:こんなお金… どこに…?
常治:850円あります。あ… ここに30あったわ… 880円。残りが120円…。
草間:あの 今夜はここに泊めて頂くので その宿代というのはどうでしょう?
常治:そんなんは もらえません。
草間:1泊100円で。それで残りの20円は 僕の借りを返したいという気持ちで…。
常治:いや… 借りいうのは…。
草間:受け取って下さい。お願いします。
常治:え… いや… ほな 残り20円 返しますわ。どっかに20円…。
草間:川原さん 本当に もうそれで。
常治:いや あと20円だけ。
喜美子:受け取ったらええやん。草間さん くれるいう20円 もろといたら ええやん。
マツ:喜美子。
喜美子:何で受け取らへんの?
マツ:喜美子 ええから!
常治:あかんねん! もう。
喜美子:せやから 何で!?
常治:あかんもんは あかん!
喜美子:何でや!
(頬をたたく音)
常治:黙っとけ言うとるやろ!
喜美子:何で… 何でや!?
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。