朝ドラ「スカーレット」第80話、信作「結婚して夫婦になってな? 今 思い描いてた夫婦になってないやろ? 喜美子 思ってたんと今 違うことしてるやろ」。
「同じ夢に向かって切磋琢磨して一緒に陶芸やってく。そういうの なかなかええなぁ思てたんや…。ほやけど この3年 うん? 2年半か? 喜美子はここ来るたんび お茶入れて掃除して弟子の面倒見て。こんなんばっかりやんけ。こんなんちゃうかったやろ。もうここは「かわはら工房」やない 「八郎工房」になってもうてるわ。そのうち 絶対爆発するで」。
喜美子は無理をしている、やりたいことをやっていない、そう感じる信作と百合子。それに気付いた八郎は、もっとやりたいことやったらええわと言うと…、
すでに釉薬とその調合の仕方をしっかりと勉強していた喜美子。その能力に驚く八郎は、ますます自信を失っていくパターンが想像できて、しっかりしろよとエールを送り、明日にはおそらく、八郎の救世主が登場する予定です。
スカーレット(80話1月7日)セリフ
●「かわはら工房」
(戸が開く音)
畑山:お先に失礼します。
稲葉:失礼します。
喜美子:明日な 大事な話があるんよ。母屋の方に寄ってくれる? そこで話すわ。
畑山:分かりました。
稲葉:大事な話て…。
畑山:明日や言うてはるやん。
稲葉:お前! 何で そんなんすんねん!
喜美子:ケンカすな! ケンカ…離れて! 離れて帰りなさい! 仲よう。はい。はい 仲ような。気ぃ付けてな。
信作:おう。
喜美子:おう。
信作:ハチ いる?
喜美子:ああ おるけど 先客や。
(OP)
柴田:ほうけ…弟子はいらんか。奥さんがいれば 事足りてるか。
八郎:せっかくご紹介頂いたのに…。
柴田:いや かまへん かまへん。ほな 奥さん。弟子には…。
喜美子:はい 明日 うちの方で話させてもらいます。
柴田:頼むわ。ほな 銀座に向けて集中しいや。もう目玉になる新作は出来たんか?
八郎:いや まだ…。
柴田:うん まあ… ここらでこう…イメージを一新させるような芸術作品は出来んかなあ言うてたで 佐久間さん。
八郎:はい…。
柴田:あっ もうお茶はええで すぐ行くし。ほう…。「たけしくんのさくひん」。可愛らしいな。「きみこのさくひん」。何や いろいろバラバラやな。こりゃ 何で 穴が…。
八郎:手に取ってみて下さい。
柴田:うん? お… 軽いな。
喜美子:子どもも楽に持てる皿です。子どもの好きなお菓子や揚げ物をのせるんです。
柴田:なるほどな。それで工夫したんや。
八郎:僕もこの作品 気に入ってますねん。
柴田:奥さん 銀座の個展 どうするんや? いつもみたいにハチの後ろに控えて お客さん出迎えてくれるんやろ?
喜美子:はい もちろんそのつもりです。
柴田:ほな 美しい恰好してな?
喜美子:美しい恰好ですか?
柴田:銀座やで! ほれ 前に銀座でやってやった備前焼の ほれ…。
八郎:ああ…。
柴田:あの作家の奥さん 高そうな着物着てはったなあ?
喜美子:着物ですか?
柴田:ほんで あの奥さんな 英語にフランス語に中国語も話せる言うてたで。
八郎:そんなん必要ありますか?
喜美子:任せて下さい!うち 滋賀弁と大阪弁と 東京の言葉も少しやったら話せますぅ。何やったら もう訳の分からん言葉も話してみせますぅ。
柴田:ハッハッハッハッ…。何言うてんねん。かなわんななあ 奥さん。川原八郎の奥さんやいう自覚 忘れんといてや。
喜美子:はい。
柴田:ほな お邪魔しました。頼むで。
八郎:ありがとうございました。
喜美子:失礼します。
♪
八郎:ごめんな 信作。どないした?
信作:ああ… 火まつりの話なんやけどな。
八郎:火まつり? まだ半年も先やんけ。
信作:今から押さえとき言われたんや。いろいろ忙しいやろうけど 火まつりは是非参加して下さい。
八郎:ハハッ…。
信作:役場の商工観光課も 力入れてるし。
喜美子:それ 毎回言うてるな。
信作:毎回 言わされんねん。お前 川原八郎と仲ええやろ 口利いとけて…。俺ら 仲ええよな? 仲ええよな?
八郎:仲ええよ。フフフッ。
信作:笑いながら言うてるやん!
八郎:2回も聞くからやんけ。
信作:最近 全然飲みに行ってくれへんねんもん。昔はよう2人で あかまつ飲みに行ってたのに…。
喜美子:あっ! いや…話 それだけ? 火まつり出ていう。
信作:そや。顔見せて念押ししとこう思てな。ハチ 何やかんや 引っ張りだこやから…。
喜美子:怪しいな。
信作:俺?
喜美子:あかまつ 最近別の人と よう飲みに行ってるらしいやん。
八郎:えっ 誰?
喜美子:うちのかわいいかわいい妹や。
八郎:えっ! ゆ…百合ちゃん?
信作:ああ…。
喜美子:何か言いたくて来たんやろ?
信作:うん…まあ…。
八郎:えっ えっ そうなん? そういうこと?
喜美子:そういうこと? 椅子椅子 椅子椅子…。
八郎:ここ。
喜美子:ここ?
信作:どこでもええやん。
八郎:ほな ここ座れ。
喜美子:座れ。
八郎:はい。
喜美子:はい。
八郎:さあ 言えや。
喜美子:言えや。
信作:いや… ええ~。いやいや…やっぱり 俺が言うことやない。
喜美子:俺が言わんで誰が言うねん! 百合子と飲んでんのは ほんまやろ? 何 話してるん?
信作:何 話し…。
喜美子:2人で どんな話 してるん? ああ! のみ込みよった のみ込みよった! こいつ…出せ 出せ!
八郎:おいおい…ちょ ちょ…喜美子…。
喜美子:ここ押したら出るか? ここか? ここか?
八郎:喜美子 喜美子 喜美子…! やめろやめろやめろ!信作も反応せえや。
信作:あ~。
八郎:「あ~」やないわ。ああ。
信作:ほな! 言うけどな。
八郎:はい。
喜美子:はい。
信作:その…結婚して夫婦になってな? あんなあ!
八郎:はい。
喜美子:はい。
信作:結婚して夫婦になってな?
八郎:はい。
喜美子:はい。
信作:今 思い描いてた夫婦になってないやろ?
八郎:えっ?
喜美子:えっ?
信作:喜美子 思ってたんと 今 違うことしてるやろ。百合子はな? それでもお姉ちゃんはようやってる お義兄さんもようやってる ええ夫婦やなあ言うてんねん。ほやけど 俺は…俺はそう思わん。お前 さっきかて 何や あれ。窯業研究所の柴田さん。「奥さん奥さん奥さん奥さん」て。喜美子はどこ行ってん。
喜美子:何 言うの!
信作:俺はな お前らのこと よう見てきたから つきあい始めたんも知ってる。結婚して夫婦になったんも。あの 2人でめおと貯金やいうて お金ためてたんも聞かされてた。ほんでや ほんで独立して電気窯買うて こういう作業場も月賦で建てて。あっ 夫婦の工房やからいうて「かわはら工房」名付けて。そんなん ずっと見てきた。見たくなくても見せられてきたんや。口にはせんかったけどな ええ夫婦になってるな思てたんや…。同じ夢に向かって切磋琢磨して一緒に陶芸やってく。そういうの なかなかええなぁ思てたんや…。ほやけど この3年 うん? 2年半か? 喜美子はここ来るたんび お茶入れて掃除して弟子の面倒見て。こんなんばっかりやんけ。こんなんちゃうかったやろ。もうここは「かわはら工房」やない 「八郎工房」になってもうてるわ。
喜美子:もうええねん うちはかまへんねん。
信作:今は こう言うてるけどな そのうち 絶対爆発するで。
喜美子:せんわ!
信作:今の喜美子は喜美子やないねん!
喜美子:そんなことないわ!
信作:無理してたらな! いつか ゆがむぞ。
喜美子:沢村 知ってる?
信作:沢村?
喜美子:キックボクサーや こういうな。
八郎:やめえ やめえ やめえ。喜美子 喜美子! やめえ やめえ…。
喜美子:だって こいつが余計なことを ペラペラペラペラ!
信作:知ってんでえ こういうやつや!
八郎:おおい! 信作もやらんで やらんでええ! もう子どもか! いくつや思てんねん! もう…。
喜美子:来い。
信作:来い。
八郎:もうええて…。
喜美子:ええねん ええねん やらんでええ…!
信作:お前は やんな。
喜美子:もう 足くじくで?
信作:骨折するわ お前。
喜美子:滑って頭打つで。
信作:おう 頭打って 転がっていくわ。
八郎:もうええ もうええ もうええ…。せん! 絶対せん!一生せん!
(笑い声)
喜美子:もうな こいつの言うことなんか 気にせんでええからな?お前もな 余計なことペラペラ言うな。
信作:無理してたらあかんちゅう話をな 百合子と。心配してんねやんけ。
喜美子:それだけ?
信作:うん?
喜美子:百合子と話してんのは それだけ?
信作:ああ 原付きの免許取りたいいう話か?
喜美子:ほかにはないのん?
信作:ほか?
喜美子:その… 百合子と つきあってるんちゃうの?
信作:はあ?
喜美子:ちゃうの?
信作:つきあってもええの?
喜美子:そんなこと言うてへんわ!
信作:アホ! 向こうがそんな気 1ミリもないわ。
喜美子:あっ 分かった分かった。ほな帰れ帰れ。話 済んだやろ。はいはい はいはい。さいなら さいなら。
信作:ほな またな。
喜美子:バイバイ。
(夜、母屋でおにぎりを作る喜美子)
(戸が開く音)
八郎:喜美子。
喜美子:うん。
八郎:これ 日本陶磁器次世代展に応募しよう。次世代展やったら 新しい賞やからな 女性陶芸家も受け入れてくれるやろ。
喜美子:なに いきなり。
八郎:僕も気にはなってたんや。2人でやっていこう言うてたのに 金賞取ってから 喜美子は僕のことばっかり優先してる。喜美子が嫌や言うても応募するで?ほんで 喜美子は喜美子でもっと世界を広げてな もっとやりたいことやったらええわ。釉薬の調合のことかて もっと知りたいやろ。もっと勉強したいはずや。
喜美子:八郎さん。
八郎:うん。
喜美子:頼まれた花瓶 釉薬かけんでええの?
八郎:僕の仕事の話は置いとけ。
喜美子:ううん 聞かせて? どんな色にしよう思てる?これ。これ どんなふうに釉薬を調合してどんな色に焼き上げよう考えた?
八郎:先方は 落ち着いた感じの色がええ 言うてたから深い緑色にしようかと…。
喜美子:ほな 調合は…長石50 土灰30 石灰15 蛙目5に 酸化銅8% ベントナイトが2 酸化焼成で1,280度で焼き上げたら 深い緑色になる。合ってる…? 今言うたんで合ってる?
八郎:合ってる…。そんなん いつの間に…?
喜美子:勉強してん。
八郎:いつ そんな…。
喜美子:10歩も20歩も下がっててもな 勉強はできるで?ハチさんのやってること 後ろからついていきながら学ばせてもろてた。釉薬のテストピース 研究結果 ぜ~んぶ 頭にたたき込んでな。この2年半 釉薬のこと 調合のこと とことん勉強したで 身につけたで? ハチさんに追いつきたかったからな。
八郎:驚いた… すごいな…。すごいな 喜美子。さすがや 大したもんや。
喜美子:ほんま?
八郎:ほんま。
喜美子:ありがとう。ほな 調合だけやってみたい やってみてもええ…?
八郎:うん。ほな 見たげるからやってみぃ。
喜美子:はい! 頭で分かってても実際やってみんことには 分からへんもんなあ。よ~し…。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
「スカーレット」ネタバレあらすじを最終回まで!出演者キャスト一覧有り
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