NHK連続小説テレビ「わろてんか」3月8日第131話。
戦況が拡大していく中、北村笑店の芸人たちで結成された慰問団「わろてんか隊」が、上海で活動する様子が描かれた本日の「わろてんか」のセリフ・ネタバレです(一部、欠けているところもあります&すみません)。
兵隊:この手紙 天満のある人に届けてもらえませんでしょうか。僕 明日 前線に行きます。その前に これを彼女に送りたい。そやけど書簡の検閲があるさかい…。
リリコ:ええで 届けたるわ。
兵隊:ありがとうございます。
キース:懐かしいやろ。
四郎:ちょっと交換しましょう。
アサリ:おっ交換?
リリコ:なあ 団長さん。
風太:おう 何や?
リリコ:恋文 書いた事ある?
風太:あるかい そんなもん!何や。
リリコ:そんなんやから 兵隊さんの気持ちが分からへんねん!
風太:何や お前まで。はよ準備や おい!
リリコ:うちら こんな色気ない高座やってて ええんやろか。 あ…。万丈目はん 新しい漫才の台本、考えてもらわれへん?
万丈目:今すぐ?
リリコの負けん気がむくむくとわいていました。
風太:伝説の漫才コンビ ミス・リリコアンドシローです。どうぞ! おう ちょっ 待て!これこれ…痛っ!おい!
●ミス・リリコアンドシローの漫才
リリコ:リリコです。
四郎:シローです。
リリコ:早速やけどな うちは実は軍隊に入って外地に行った恋人から手紙もらいましてん。ちょっと読んでみまひょか。
四郎:こ…こ…恋人でっか!?
風太:あいつら 何してんねや おい。
万丈目:さあ…。
リリコ:「恋しい恋しいリリコ様 お元気でしょうか。昨日 僕は君に会う夢を見ました」。
(どよめき)
リリコ:君やて!もう いやや もう!卵の黄身ちゃうで。
(笑い声)
リリコ:「夢の中で君は 夜空に輝く月を眺めながら」
四郎:かぐや姫!
リリコ:ええとこで合いの手いらんねん もう!「そこで目が覚めた僕も気が付いたら枕を涙でぬらしていました」。
四郎:ああ~!
リリコ:何 泣いてんねん もう~!
四郎:ええ話や。
リリコ:そやろ。つまり これはウォーアイニーや。
四郎:ウォーアイニーって 何でんのん?
リリコ:日本語で言うたらな「私はあなたを愛してます」…。
阿久津少佐:中止だ!中止!
風太:アホ 何を勝手な事してんねや!
万丈目:すんまへん。
リリコ:万丈目はんは悪ない。うちが「台本書いて」て 無理やりお願いしたんや。
風太:中止になったんが 最後のお前らでよかったけど せっかく来てくれはった兵隊さんらに悪い思わんのか!
四郎:ホンマ すんません。
風太:何や。
リリコ:昨日 兵隊さんから内地に届けてほしいて預かった恋文や。
風太:え?
リリコ:ちっちゃい頃から天満の風鳥亭によう来てくれてたんや。
風太:アホ 返してこい!
リリコ:多分 前線行って もうおらんわ。
万丈目:わてらも預かりました。愛想のええ兵隊さんで、歌子がお母ちゃんに似てるて。
歌子:手紙断る訳にはいかへん!
アサリ:わいらも預かったで。
キース:近いうち 前線行くさかい この先どうなるか分からん言うてな。
四郎:兵隊さんら みんな 内地に残してきた人の事が気がかりでつらいんやと思います。
風太:俺らの仕事は手紙を預かる事やない。それにこないな事がばれたら北村の責任問題や! よこせ。これが俺が預かる。
大陸の戦火はどんどん拡大してゆきましたが それでも日本には連戦連勝の朗報しか伝わらず…。
てん:「兵隊さん等に満面の笑み」か。よかったぁ。
トキ:けど うちの人の写真 どこにもありません。
てん:写真のないのが ええ便り いう事やろ。
トキ:そうですな。
てん:うん。
山下専務:この戦争 いつまで続くんやら 不動産もデパートもこの先どうなっていくか 映画の方も堅実にやっていきませんと。
栞:ん?それは軍部の意向に従って孝行忠義の物語を作れという事か?
山下専務:いや 社長は そういう方やないのは分かってます。けど…。この新世紀キネマとの提携話 真剣にお考え頂いた方がええと思います。もう大きな流れには逆らえん世の中なのかもしれません。
楓:面白ないですか?
亀井:この歌がよう分かりまへんねん。
てん:歌て 何です?
楓「ああ おとうとよ 君を泣く。君死にたもうことなかれ」。
てん:与謝野晶子か。
楓:うん。
亀井:有名な歌でっか?
楓:日露戦争の時に出征する弟に宛てて書いた歌です。
てん:うん けど この歌やと話が暗うなるんとちゃいます?
亀井:わしが昔 寄席やってた時 戦争行く若い芸人 見送ってな。あいつ 兵隊行かんとあのままやったら ええ噺家になってたやろな。
てん:戦死しはったんですか?
亀井:いや そのまま軍隊残りよった。
てん:えっ 戦死しはった…。
亀井:いや 今も元気やで。暗そうな話でも笑えまっしゃろ。
楓:亀さん…。
てん:月命日にわざわざお越し頂いてありがとうございます。
栞:いや 藤吉君と話がしたかったんだ。ちょっと弱気の虫が出た。
てん:伊能さんが?
栞:何でもない普通の映画を作りたいだけなんだが その普通がだんだんと難しくなってるのかもしれない。こんな時 後先考えずに突っ走る藤吉君の事を思うんだ。彼は純粋だった。
アサリ:昨日 わろうてくれた人が 今日は死んでるかもしれんてなぁ。
キース:けど泣いて死ぬより わろてから死んだ方がええんちゃうか。
アサリ:そうかもな。
キース:なあ お前は死ぬ前 最後に何したい?俺はお前と漫才やりたいわ。やっぱりお前がええ。内地に帰っても コンビ続けてくれ。
アサリ:お…おお。
歌子:わろてくれた兵隊さん みんな自分の親戚みたいに思えてつらいわ。
万丈目:えらいとこ連れてきてしもうて すまんな。
歌子:うちはここに来てよかったで。
万丈目:え?
歌子:マンマンでみんなにコーヒー出して 日がな一日 おしゃべりしてるだけの事がどんなに幸せな事かよう分かった。こうやって 手ぇ握ってくれる嫁はんいてるだけで あんたも幸せやで。
よっしゃ その意気や! …っしゃ!次も頑張んで 漫才。な!ハハハハ!
(ドアの開閉音)
歌子:はずかし ホンマに…。
万丈目:イッタ…。
回想トキ:必ず無事に戻ってきてや。そやないと承知せえへんで。
回想風太:大丈夫や。安心せえ。なあ 飛鳥。お母ちゃんとちょっとの間 待っててな。
回想飛鳥:うん!
回想風太:よっしゃ。
風太:兵隊さんから預かった手紙の事や。あれは皆 俺の荷物の中に入れて内地に持ち帰る。
キース:ええんか?ばれたら えらいこっちゃで。
風太:まあ 団長の荷物までいちいち調べへんやろ。
歌子:さすが団長さんや!
万丈目:これですっきりして漫才できるわ!
風太:その漫才の事や。リリコ四郎 お前らの漫才 好きにせえ。万丈目はん 新しい台本 書いてもらえるか?
万丈目:へえ…。
風太:よっしゃ 集まってくれ。
明日はいよいよ ここ上海での最後の慰問でございます。
※このコラム内の写真は全てテレビ画面からの引用で、その全ての権利はNHKにありますので予めご了承願います。
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