NHK連続小説テレビ「わろてんか」3月13日第135話。
山下専務:どうぞ。
てん:急に押しかけてすんません。それで会社辞めはったてどういう事です?
山下専務:封切り間近の映画が立て続けに検閲に引っ掛かりまして 莫大な損害を受ける事になりました。映画は社長の伊能が独断でやってましたさかい その責任を追及する事になったんです。
栞:どうぞ。
山下:失礼します。
栞:みんなそろってどうした?
山下:社長 映画事業の赤字のせいで今や 伊能商会全体の経営も揺らぎかねない状況です。この際 映画事業を売却してこれまでの損失を補填するべきです!
栞:ほかの皆の意見は?
社員たち:異議ありません。異議なし。異議なし!
栞:異議あり
てん:異議あり?
山下: はい。まさかあの状況でそう答えるとは…。
栞:いいか諸君! 映画で大衆に感動を届ける。それこそがこの会社の原点だ。その原点を切り捨てれば会社経営は必ず行き詰まる。そう思わないか?
どうしても切り捨てると言うならば 僕の居場所はここにはない。
回想藤吉:北村笑店の役員になってくれへんか? 俺らが提携してら映画ももっとオモロイ事ができる。
風太:おっちゃん 俺もお酒ちょうだい。
店主:へい。ちょっと待っててや。
風太:おう ええよ。 やっと帰ってきた。
栞:ああ。
風太:どこ行ってはったんや。
栞:東京に行ってた。なんとか映画を作り続けられないか 気骨のあるパートナーを探していたんだが 皆 こうも萎縮してしまっているとは。
風太:上映中止の損害賠償はどうしはったんや。
栞:全財産 出したよ。今はかばん一つで身軽なもんだ。北村笑店の皆さんにも なんとか事情を説明しようとは思っていたんだが…。
(鈴の音)
栞:こうなってしまっ以上 北村の役員を辞めざるをえない。おてんさんの事を支えていく事ができなくなってしまった。
風太:伊能はん 実はお力を貸してほしいんや。
てん: そうです。日本中のお客さんに笑いを届けるために北村の映画を作りたいんです。うちらの映画の作り方 一から教えてくれまへんやろか。
栞:ありがとう。でも世話になる訳にはいかないよ。
トキ:うちの人はお引き止めしてすんまへん。
風太:もう余計な事ばっかり言うて おトキちゃん 年取ったな おい。
トキ:何や?
風太:これ。見てみ これ。
トキ:何や? これ。
風太:男同士の酒盛りや。sのあとは枕のなげっこや。そう決まってんねん!男は。ん?ほら てんとこ 行ってこい。
トキ:へえへえ。おやすみなさい。
栞:すまない。おやすみなさい。
飛鳥:おやすみなさい。
トキ:ちゃんと洗いもんしといてや。
風太:分かった。もう ぐちぐちうるさいな~おトキちゃん。ほれ伊能はん。
栞:ありがとう。
風太:ホンマにもう少し うちにいはったらどうや。「今はかばん一つで身軽なもんだ」。その割にはまだ重たい鎧 つけてはるんとちゃいますか。
伊能さんの好きな自由の身ぃになったんや。うちでまた新しい人生 始めたらええ。 う~! ほい。
てん:そや。伊能さん。
栞:ああ…風太君に飲まされ過ぎた。
てん:伊能さん これ。懐かしいですやろ。この時の情熱さえなくさへんかったら大丈夫やないですかね。うちは伊能さんに映画作り続けてほしいんです。
栞:僕はこれを買い付けた時…。外国の自由な風を日本にも吹かせたいと思った。でも観客の喜ぶ顔を見て自分の手で映画を作りたいと思った。泣いて笑って恋をして。人生はすばらしいんだぞ。そういう映画を作りたいと思った。それが夢だった。
てん:伊能さんのその夢 うちらにも見さしておくれやす。どうか北村笑店映画部の設立に お力 貸してもらえませんやろか。
風太:はっ!
(うなされる声)
※このコラム内の写真は全てテレビ画面からの引用で、その全ての権利はNHKにありますので予めご了承願います。
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