NHK連続小説テレビ「わろてんか」3月23日144話。
リリコ:遅いなぁ。
トキ:大阪駅から歩いてるんやろか。
リリコ:それにしてもかかり過ぎちゃうか。
てん:リリコさん 今日は京都の高座があるやろ。
リリコ:けど 藤一郎の顔見んと まだ大丈夫や。間に合う。
隼也:やっぱり僕 その辺まで見てくるわ。
風太:おお 隼也!
隼也:あっ おおきに ご苦労様です。
リリコ:帰ってきたで。ほら。何してんの。はよ!
風太:ただいま。連れてきたで。
つばき: ご無沙汰しております。
てん:こちらこそ。
つばき:ほら ご挨拶は?
藤一郎:北村藤一郎です。おばあちゃん。
隼也:僕がおらん間の面倒を お母ちゃんが見てくれはる事になった。
つばき:ホンマにありがとうございます。
てん:中 入り。
トキ:さあ どうぞ。 ご苦労さん。
風太:うん。こら わしは!おい。
てん:おおきに。そしたら ごはんの仕度するわ。
つばき:あの…私も手伝わせて下さい。
てん:ああ ほな お願いしましょ。
風太:よかったな。入隊前に家族三人 てんと会えて。あとはお前がちゃんとてんと向き合うて 思た事を話すだけや。文句でも何でもええ。
隼也:はい。
てん:ほな 卵割ってもらえるか。
つばき:ホンマに申し訳ありませんでした。この家の敷居 またげるような身ぃやないのは よう分かってます。
てん:そんな事 言うてる場合とちゃいます。
トキ:おてん様。これ お砂糖 分けてもらいました。
てん:ああ…。そしたら 何や 甘いお菓子でも作ったって。
トキ:ほんなら つばきさん そっち終わったら ちょっと手伝うて。
つばき:はい。
飛鳥:藤一郎 絵うまいな。それ 誰?
藤一郎:お父ちゃん!
飛鳥:これは?
藤一郎:お母ちゃん!
飛鳥:ほな これは?
藤一郎:おばあちゃん!
てん:これ 何の上の乗ってるん?
藤一郎:通天閣!お父ちゃんがな「おばあちゃんは通天閣を買った日本一のおばあちゃんや」て。
飛鳥:藤一郎 おばあちゃんの事 好き?
藤一郎:うん!
飛鳥:何で?
藤一郎:偉いから!
てん:そうか。おばあちゃんの事 偉いから好きか。そしたら おばあちゃんと「ん」がつく言葉ごっこしよか。お父ちゃんが元気に戻ってこれるよう 運がつきますようにて。まずはこれ。「つうてんかく」。
藤一郎:「お母ちゃん」。
てん:「お父ちゃん」。
藤一郎:ん ん ん…。
藤一郎:「ごはん」。「うんこ」。
つばき:こら!もう~すんません! ほら もう すんません。
てん:ええんや ええんや。それこそ運がつくわ。
つばき:藤一郎!
藤一郎:ほな「べんきょう」。
トキ:ほんなら「やかん」。
てん:「まんざい」。
藤一郎:「ち」…何でもない。
一同:ハハハッ!
隼也:北村笑店はどないなるんや?
てん:今までと何も変わりまへん。残った寄席と慰問団でお客さんに笑い届けるだけや。
隼也:お母ちゃんは強いな。
てん:そんな事ないわ。みんながうちを強うしてくれるんや。皆さんに助けてもろてなんとか立っていられるんや。ああ おおきに。藤一郎は寝ましたか?
つばき:はい。
隼也:お父ちゃんの跡継ぐ言うてたのに 家出てってしもて ホンマにすいませんでした。
てん:こんなん みんなの前では言われへんけど うちも駆け落ちしたさかいなぁ よう叱れへんのや。
隼也:そやけど 困ったからいうて勘当された身ぃでのこのこ戻ってきて 妻子の面倒見てほしいなんて ホンマに情けない。
てん:うちも勘当された身ぃで 里に借金頼みに行ったなぁ。そやから偉そうな事 言えまへん。隼也。
隼也:はい。
てん:わろてるか?家族三人 わろて暮らしてますか?
隼也:仲よう わろて暮らしてます。
つばき:はい。
てん:つばきさん。大変な事 ぎょうさんあったやろ。よう気張ったな。隼也 あんた 家族ちゃんと養うてもう立派なお父ちゃんやな。うち 何やうれしいわ。戦地ではつらい事があるかもしれへん。けど それでもわろて生きるんや。生きて必ず無事に帰ってきとくれやす。
隼也:はい。
てん:うん。
風太:おいおい ニンジン踏むなよ。入ってええ 入ってええぞ。入ってええぞ。こっち来い。写真機はな ここや。ええんか?そんな遠くで ええんか? ホンマやな?お!
トキ:あんた 写真屋さんに任せたらええんやないの。
風太:アカン!大事な家族写真や。おうおう おうおう何してんねや。
つばき:いえ 私らは…。
風太:え!?
てん:家族写真です。つばきさんも藤一郎も はよ入りなさい。
藤一郎:うん!
風太:そやそや。よっしゃ。え~これは大事な家族…。
トキ:あんたが一番邪魔やねん。
風太:これは百年残る家族写真です。
てん:百年て…。
風太:笑え!笑顔や!
トキ:うるさいな…。
風太:笑顔や 笑顔!え! ええか?ええんやな?いくぞ。よっしゃ!ほな わろてんか!
(シャッター音)
隼也:藤一郎 留守にしてる間 お母ちゃんとおばあちゃんの言う事 よう聞くんやで。
藤一郎:うん。
隼也:「うん」やのうて…。
藤一郎:はい。
隼也:行ってくる。
つばき:ご武運 お祈りします。
てん:お国のためにしっかりな。お気張りやす。
隼也:はい。それでは皆さん 行ってまいります。
風太:北村隼也君の武運長久を祈ってバンザイ!
一同:バンザイ!バンザイ!バンザイ!
※このコラム内の写真は全てテレビ画面からの引用で、その全ての権利はNHKにありますので予めご了承願います。
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