朝ドラ「エール」第12話、ハーモニカ倶楽部の定期演奏会で演奏する裕一のオリジナル曲は「想い出の徑」。
館林との決戦投票に勝ち、その館林からも音楽の才能を認められ、次期ハーモニカ倶楽部の会長にも指名されるが…。
三郎が連帯保証人となった吉野がとんずらし、借金9千園は三郎がかぶることになり、妻まさの実家に泣きつく三郎。
茂兵衛の融資の条件は、裕一か浩二、どっちかを権藤家に養子に出すこと。
これに対して、まさは「全部の幸せがかなえばいいんでしょうけど…。犠牲を払って 助け合い 支え合うのが家族なのかも…」とすでに諦めモード。
しかし三郎は「そうなんだけどな…。はあ~分がんねえ…。俺にはもう分がんねえ!」。
いやいや、親の甲斐性があれば、こんなに悩むことがないはずで、こういう中年男になってはいかんという教訓を頂いた今朝の「エール」です。
エール(12話4月14日)セリフ
(回想)
館林:君は作曲が得意だと聞いた。やる気はあるか?
裕一:はい!
館林:本気で音楽家になるつもりだったの? ただ 人間 身の程を知ることも大切だよ。
(回想閉じ)
●喫茶店
楠田:書けた?
裕一:書けないよ! 君が手洗い行ってる間に曲が完成してるわけないだろ。
楠田:だって…邪魔そうだったから 席外したんだけど。
裕一:一人でも書けない。環境を変えても駄目…。う~ん 僕 駄目だ。
楠田:会長はもう提出したらしいよ。ほかに出す人 いなさそうだ。裕一が出さねえと投票はなしだ。
裕一:負けない! ぜ…絶対 見返してやる。
楠田:あのさ…。何かさ…。
裕一:うん?
楠田:裕一らしくねえよ。怒っとか負けないとか 君には似合わねえ。昔 いじめてた時だって…。
(回想 笑い声)
楠田史郎:花! おなごか おめえ。
(回想閉じ)
楠田:僕らのこと 嫌がりはすっけど 恨んだりはしなかっただろ。商業入って友達になれたのも 君のそういう…優しさのおかげなんだ。音楽って…って 僕が語るのもおかしいけど う~ん… その人の個性が出るもんだろ? 今の君は君じゃない。君じゃねえから 書けねえんじゃねえかな。
裕一:そ…そうかも…。譜面に向かうと か…会長の顔ばっか浮かぶ。
楠田:試しに 僕の顔 浮かべてみてよ。うん?
裕一:えっ?
楠田:ほら…うん?
裕一:おお~!
(回想)
楠田:バスパートって むなしいんだ。ずっと「ブッ ブッ」ってさ。
(回想閉じ)
裕一:おお~! あっ…あっ! おっ おっ! あ…新しいの 出来っかも!
楠田:えっ?
●呉服屋「喜多一」居間
三郎:おめえ 今日 何時ごろ 帰んだ?
浩二:ふだんどおりだけど。
三郎:裕一は?
裕一:僕 遅くなる。今日 決戦投票なんだ。
まさ:投票って何の?
裕一:うん? 言ってなかったっけ? ハーモニカ倶楽部の今度の公演で自分の曲 1曲演奏すんだ。初めての試みだから 投票で決めることになったわけ。あっ…もし僕の曲が選ばれたらみんな 見に来て。
三郎:おう! もちろんだ! なあ まさ?
まさ:はい! 2人とも 今日帰ったら お父さんから話があるから。
裕一:うん。
●福島ハーモニカ倶楽部
館林:では 開票する。
会員:館林。館林。館林。古山。古山。古山。古山。館林。古山。館林。
♪
会員:最後の一枚です。館林。
会員:やっぱり…。
楠田:投票の結果 10対9で 会長の曲が選ばれました。
館林:待て。まだ卒業した先輩たちの票を預かってる。
(ざわめき)
会員:頂きます。
●喫茶店
楠田:やったな! しかも俺のバスパートから始まるなんて斬新だよ! うん! 恐れ入った!
裕一:君の顔が 僕 刺激したんだ。
楠田:俺 いっぱい練習すっから。
裕一:会長…どんな気持ちだったのかな?
楠田:何が?
裕一:いや…。会長なのに 自分の曲選ばれなかったって ショックだよね。
楠田:あ~あの人はああ見えて現実主義者だよ。最初っから分かってたんじゃない? 裕一が選ばれること。
裕一:えっ?
楠田:先輩たちに投票させたのだって 会長の指示なんだって。今のメンバーだけだと 自分に気ぃ遣って投票する。音楽を純粋に審査するために しがらみのない人まで投票枠を広げたんじゃねえかな。
裕一:えっ… 僕に勝たせるためにしたってこと?
楠田:そうじゃなくて 本当にいい曲が選ばれっことを望んでたと思う。会長はそういう人だ。
裕一:そうがな?
●呉服屋「喜多一」居間
浩二:僕に任せて 父さん。
三郎:すまん。次男なのに 申し訳ねえ。
浩二:うれしいんだよ! 父さんから期待かけられて。
裕一:ただいま! やったよ! 僕の曲が選ばれた! ど…どうしたの?
三郎:この店は 浩二に継がせる。
裕一:こ…浩二…いいのか?
浩二:僕は継ぎたかった。
裕一:ありがとう! 浩二…。
(三郎から茂兵衛への電話)
三郎:あっ 茂兵衛さんか? すまねえ 息子は渡せねえ。
茂兵衛:まさに代わってくれ。
(まさのすすり泣き)
●吹島商店街
(通行人にぶつかる及川)
及川:あっ すんません!
(回想)
吉野:全部に広げて取り引きするのはどないですか?3代100年続く 老舗の呉服屋。ここは 大きゅうする いい時期やと…。連帯保証人 お願いします。大丈夫ですよ! 私を信頼しておくれやす!
(回想閉じ)
●呉服屋「喜多一」店先
大河原:何だ 何だ そんな慌てて。どうした?
及川:旦那 大変です。きょ…京都の…よし… よし…。
3人:うん?
三郎:吉野さんのことか?
及川:とんずらしたって!
三郎:えっ!?
及川:百貨店の呉服売り場の人が言ってました。
大河原:ああ…。
●呉服屋「喜多一」中庭
三郎:すまねえ。あいつを信じた俺がバカだった。
まさ:もたない額なの? 兄さんに連絡します。
●川俣・権藤家
三郎:今度ばかりは あんたしか喜多一を助けらんねえ! 恥を忍んで このとおりです!
茂兵衛:傑作だ。この前は俺が頭下げて 今度は君が頭下げる。
まさ:兄さん やめて。
茂兵衛:もう おめえの兄さんじゃねえ。
まさ:ごめんなさい! でも…。兄さんしかいないの。
三郎:お願えします!当座をしのげば 必ず返します。
茂兵衛:どっちかを養子に出せ。融資の条件はそれだけだ。
まさ:2人の気持ちは分かっているでしょ!?
茂兵衛:関係ねえよ!
まさ:どうして!?
茂兵衛:こっちが聞きたいわ! なぜ身内に男が2人いるのに養子に出せねえんだ? 権藤家が…ああ? 他人に渡るのに おめえは賛成なのか?許せるのか!?
まさ:分かんない…分かんないけど 今は助けてほしいの。だって…私たち家族でしょ!?
ハハハハハ! 家族? ああ…俺もおめえたちの家族じゃねえのか? 俺はおめえたちに助けてほしいんだ。俺はこの家族と…ああ? この家を守りてえだけだ!
●呉服屋「喜多一」三郎まさの寝室
(回想)
裕一:お…小山田先生のような…西洋音楽を作曲する音楽家になる。
三郎:この店は 浩二に継がせる。
裕一:い…いいのか?
浩二:俺は 継ぎたかった。
(回想閉じ)
三郎:まさ… おめえ どう思う?
まさ:全部の幸せがかなえばいいんでしょうけど…。犠牲を払って 助け合い 支え合うのが家族なのかも…。
三郎:そうなんだけどな…。はあ~分がんねえ…。俺にはもう分がんねえ!
●福島ハーモニカ倶楽部
(演奏)
館林:上出来だ。今日はこれで練習を終えるが 最後にみんなに伝えたいことがある。僕は次の公演をもって倶楽部を辞める。
一同:えっ?
館林:もちろん 会長も辞める。そこで次期会長に古山裕一君を指名したい。受けてくれるかな?
裕一:いや…あの…いや…えっ? 僕を否定したのに な…何でですか?
館林:君の作品はすばらしい。君は才能を授けられた。僕には求めても得られない贈り物だ。僕は君の才能に嫉妬している。ただ同時に その才能を無駄にしてほしくないとも思ってる。もし夢を実現したいなら 東京に行け。うちのピアノを好きなだけ使ってくれ。卓上ピアノじゃ音楽学校は無理だ。
(笑い声)
裕一:あ…ありがとうございます。
(拍手)
●呉服屋「喜多一」裕一の部屋
裕一:あっ…ああ~。
自分の将来に危機が迫っていることを 裕一はまだ知りませんでした。
裕一:楽しい…。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。