朝ドラ「エール」第19話、養子か留学かという問題よりも、音との文通に夢中になり、数え切れないほどの手紙を交わす裕一。
まさ曰く「とぼけてるっていうか…大物っていうか…」。
ミュージックティーチャー御手洗に「あなたも行ったらいいじゃない」とそそのかされた音に対して、光子は「裕一さんはちゃんと賞を取って学校への入学許可ももらって しかもお金までもらって行くの」。
いや待って。まだ会ったこともない裕一のことを“裕一さん”と呼ぶのは変。古山さんと呼ぶのが普通だと思うのですが、光子さんも少し変わった人だから、まあいいかと水に流してまた明日です。
エール(19話4月23日)セリフ
●豊橋・御手洗の音楽教室
(音の歌声)
御手洗:ストップ イット! もう どうしたの?
音:手紙が…来ないんです。
御手洗:あれはファンレターよ。あなたにとっては大切な1通でも 彼にとっては ありんこの中の一匹。宇宙の瞬く無数の星の中の星屑。いや 数の子の中の一粒くらい…。
音:先生 もういいです。
御手洗:ミュージック ティーチャーね。
音:また書こうかな。
御手洗:いいけど…期待しちゃ駄目よ。彼は未来のインターナショナル コンポーザーよ。今のあなたとはクラスが違うわ。
音:先生って はっきり言うから…好き。
御手洗:ありがとう。私はミュージック ティー…。
●関内馬具店
音:手伝うよ。
岩城:ああ。
昔は作業場に入ることを叱っていた岩城も 最近は人手が足りず 音に手伝ってもらうようになっていました。
音:ねえ 岩城さん。
岩城:うん?
音:岩城さんは 何で結婚せんかったの?
岩城:女には興味ないで。
音:そう? そうかな?
岩城:うん?
音:お母さんのこと どう思っとんの?
岩城:別に何も。
音:ふ~ん。まあ いいけど。
岩城:お嬢は結婚せえへんのかん?
音:うん。歌手になるから。
岩城:残念だのん。
音:えっ?
岩城:お嬢は筋がいい。安隆さんの腕を継いどる。
音:昔は作業場入っただけでも怒っとったのに。
岩城:ハハ… まあ そんな時代じゃないらあ。腕がありゃあ 女 子どもはないて。
音:へえ~ ちょっと見直したわ。
吟:音! 来たわよ!
●関内家・子ども部屋
裕一の手紙:「お手紙ありがとうございました。たくさんの手紙の中で音さんの言葉が特別に私の心に響きました。「竹取物語」という共通点 音という名前 そして何より あなたが歌手を目指しているということに興味を引かれました。あなたの好きな詩と音域を教えて頂けたら あなたのために曲を作りたいと望んでいます」。
音:やった~! やった やった やった やった! すごい!
梅:うるさいわ~!
音:見て見て 私のために曲作ってくれるって。
梅:えっ?
吟:正直 絶対返信ないと思っとった。行動してみるもんね。
音:やって後悔するより やってしまえよ!
吟:痛い!
音:「やらんで後悔するよりやって後悔する方がマシ」だと思うけど。
音:う~…曲 楽しみ! 詩 何にしよう? ねっ 何がいい?
梅:えっ? これ どう?
音:うん!
●川俣銀行・職場
裕一:「君を思えば はるかなり 浪のかなたを はるかなり たよりをよめど かすかにて 涙のうちに はるかなり」。すてきな詩だな~。
茂兵衛:留学なんぞ 絶対に許さんからな。
裕一:えっ?
茂兵衛:もう待てん! すぐにでも養子縁組みの手はずを整える。以後 父親は私だ。三郎ではない。
裕一:りゅ…留学に…ハン 反対ですか?
茂兵衛:当然だ! お前は権藤家の跡取りだ。音楽家にするために養子にするんでねえ!
裕一:はい…。
●川俣の居酒屋
三郎:すまねえ…取りつく島がねがった。
裕一:いいよ。大丈夫。期待してなかったから。
(ため息)
裕一:茂兵衛伯父さんが反対すんのも当然だよ。
三郎:おめえ やけに冷静じゃねえか? 何か変だ…もっと怒っとか 茂兵衛の悪口言うとか 俺に当たっとかあってもいいんじゃねえか? これは おめえにとって人生最大の好機なんだぞ。
裕一:分がってっけど 実は…。
三郎:何だ?
裕一:い…いい。
三郎:何だ? 言えよ。
●川俣銀行・裕一の部屋
裕一:すてきだろ?
三郎:もうちっと マシな紙で書いできてもよさそうだけどな。
裕一:あ~違うよ! これこそが すばらしいんだよ! 常識にとらわれない感性。ファンレターの中で彼女だけが僕の音楽に興味持ってくれたんだ。見て ここ…ほら。
三郎:おめえ…恋してんのか? 会ったこともねえ 手紙だけの女に。
●呉服屋「喜多一」居間
浩二:何でコンクールなんかに勝手に応募しちゃうわけ?
まさ:すごいことでしょ。世界に2位よ。
浩二:はあ…留学したら 喜多一潰れんだよ? 家族ぐちゃぐちゃだよ? 分がってんのかな? あいつ。
まさ:兄さんのこと そんな悪く言うもんじゃないわ。
浩二:はあ…。母さんの意見 聞かせてよ。
まさ:私にも何がいいのか 何が家族にとって最善策なのか 分かんないの。
浩二:そんなの決まっているよ。留学やめたらいいんだ。
まさ:そうかしら?
浩二:母さんも…賛成なの?
(回想)
三郎:東北で2台目ですよ。うん?
♪
三郎:天下の喜多一が借金しろっつうのか!?
大河原:いやいや…だって 貸してくれっとこがあっかどうかも…。
♪
三郎:お願えします! このとおりだ。
♪
大河原:旦那さん ご決断を!
♪
三郎:ほら持ってけ ジャンジャン! おい 落とすなよ! 危なねえ… 早く運べ! よし…ゆっくり置け。
♪
三郎:京都の呉服 一手に引き受ける! 東北全部が商売相手だ!
♪
及川:大変です…とんずらしたって!
大河原:えっ!?
及川:百貨店の呉服売り場の人が言ってました。
♪
三郎:あんたしか喜多一を助けらんねえ! このとおりです!
茂兵衛:どっちかを養子に出せ。融資の条件はそれだけだ。
♪
大河原:風邪ひかねえようにね。
(回想閉じ)
三郎:一度…一度 金のために魂 売っちまったら もう取り戻せねえんだな。あいづに…茂兵衛兄さんに何も言えねがった。
まさ:裕一は?
三郎:冷静だった。それに あいづ…こんな時に文通相手に恋してやがる。
まさ:とぼけてるっていうか…大物っていうか…。
三郎:あ~行かせてやりてえ~!
●関内家・子ども部屋
音:ありえんって! 信じられる? この親。
吟:うん? 複雑な事情って何だろう。
音:どんな事情があっても こんな機会逃すなんて考えられん。
吟:んっ!
音:フフッ。
吟:ふ~ん。まあまあ男前じゃん。
音:あたしは美醜なんて気にしない。
吟:あなたの写真が欲しいって書いてあるわよ。
音:そう。それがちょっと不安。
梅:美醜 気にしとるじゃん。
音:裕一さんが気にするかもしれんじゃん。
梅:そんなら その程度の人よ。
音:そうだよね…そうだ。
それから2人は数え切れないほど手紙を交わしました。好きな音楽のこと 家族や友人 将来の夢 不安。何でも手紙につづりました。音楽の夢をひたむきに追う音に感化され 裕一の音楽留学への思いが再び膨らんできました。
●豊橋・御手洗の音楽教室
音:♪「はるかなり」
御手洗:まあ~ロマンチック!「いかに2人の間が離れていても心は結ばれています。将来 日本楽壇…否 世界楽壇のトップを進む楽人になりしょう」。「今後 作曲する全てをあなたにささげます。古山裕一」。
(涙を流す御手洗)
御手洗:ありがとう。やっぱりファンタスティックな音楽を創造できる人は文章もハートもビューティフル。あなた いい人と出会ったわ。
音:ただ 留学を反対されているらしくて。
御手洗:ホワッツ!? ありえない!
音:でも留学したら したで最低5年は学ばんといかんらしくて。
御手洗:はあ…いいわね。私もドイツに帰っちゃおうかしら。もう日本は堅苦しいわ。
音:5年…。
御手洗:だったら あなたも行ったらいいじゃない。
●関内家・廊下
光子:いくらかかるか分かっとんの?
音:イギリスまでの船賃が450円。
今のお金で130万円くらいです。
光子:裕一さんはちゃんと賞を取って学校への入学許可ももらって しかもお金までもらって行くの。あんた…今行っても な~んも学べんわよ。
梅:運命 信じとるの? 幸せな人だわ。私は自分の力しか信じない。
●呉服屋「喜多一」
三郎:ええ~っ!?
そんな中 想像だにしない知らせが届いたのです。
三郎:ええ~っ!?
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。