朝ドラ「エール」第21話、福島から豊橋の関口家にやってきた裕一。文通相手の女性の家を訪ねるという大胆な行動に光子曰く「やはり ただもんじゃないわね」。
そして、深入りは禁物だと光子から釘を刺される音だったが、裕一と一緒に過ごすことで…。
という展開で、豊橋の海岸のシーンは朝ドラ史に残る壮大かつ美しい映像でした。不覚にも二日酔いで朝放送を見逃し、昼の再放送でようやくこの名場面を目の当たりにし、明日から気をつけようと反省の4月27日です。
エール(21話4月27日)セリフ
●川俣の洋食屋
落合:来たよ 来たよ 手紙!
音からの手紙「私とあなたは今 立っている位置が違います。どうか私のことは忘れ 作曲にいそしんで下さい。さようなら 音」。
裕一:彼女に会いに行きます!
昌子:へっ!? 振られたのよ。完全に振られてるわよ。
裕一:分かってます! 分かったけど…このままじゃ駄目なんです。僕は前に進めない。答えを探しに…会いに行きます!
藤堂:まだ 文通…だけですよね?
昌子:のぼせ上がってんです。
●関内家・居間
音:背にが東京帝国音楽学校に推薦状 書いてくれるって。
光子:試験は?
音:実技があるけど 君ならオーケーだって。
吟:お母さん 私は? どうしたらいい?
音:お姉ちゃんって いっつも人頼りだよね。
吟:何ぃ? 私はあんたが気落ちしとるの心配して一緒に東京行くのよ。
音:よく言うよ。私は平気。
吟:うそばっかり。あんた まだ文通相手のこと諦めきれとらんでしょ。
音:そんなことない!
吟:ある。
音:行き遅れ! あ~!
吟:ん~! んんっ!
●関内家・玄関先
吟:<<やめて! 待ちんよ!
音:ガハハハハ! アジフライ 取ったり~!
吟:私の大好物! 行かん 音! あっ!
裕一:お お… 音さん…。
音:裕一さん?
●関内家・居間
光子:音の母の光子です。こっちが姉の吟。さっき 奥に下がったのが妹の梅です。今日は何の用事でこちらに? おいで下さるなら事前にお知らせ頂かないと困りますよ。
裕一:そうですよね。ほ…本当にすいません。音さんから別れの手紙が届きまして あの…ど…どうしても会いたくなって衝動が抑えられずに今 ここにいます。
光子:はい…。
裕一:ここにしばらく置いて頂けませんか?
光子:えっ!?
●関内家・階段下
光子:ご近所の手前 親戚の子が遊びに来とるってことにしましょう。
音:ありがとう。
光子:家出するって…よっぽど思い詰めてたのね。
音:うん…。
光子:うれしいんでしょう?
音:うん?
光子:正直に言いんよ。うれしいよね? そりゃあ うれしいよね。福島から豊橋まで後先考えんで会いに来る未来の天才作曲家。だけど いい? 深入りは禁物よ。あの人は留学するの。しかも長いんでしょう?
音:最低5年だって。
光子:待つ人生 あなた 歩める? 性に合ってる? しばらくはいいけど… 分かっとるよね? 変な期待させちゃ かわいそうよ。いい?
●関内家・物置部屋
(ノック)
音:<裕一さん いい?
裕一:あっ…はい はい!
音:大丈夫。すぐ行きますから。
裕一:あ…あの…本当に…いきなり会いに来てすいませんでした。
音:こちらこそ お返事も書かずに…ごめんなさい。
裕一:よ…読んでなかったですか? そっか…。
音:最後に書いた手紙は 私の本心なんです。どうか私のことなんて忘れて下さい。
裕一:あ…あの…あの…。あっ。あの…。初めて さっき あなたに会ってから浮かんだメロディーです。全然書けなかったですけど…お…音さんに会ってからとめどなく あふれてきます。手紙にも書きましたが あなたは僕の音楽のミューズ。あっ…女神様です。どうか…ひとときだけでもいいので一緒にいさせて下さい。お…お願いします。お願いします。
音:明日 豊橋をご案内します。
裕一:は…はい! おっ お休みなさい…。
音:<お休みなさい。
(階段を下りる音)
●呉服屋「喜多一」玄関
(戸を叩く音)
三郎:おっ?
(戸を叩く音)
大河原:おい 開けろ 開けろ。
桑田:はい ただいま。よいしょ…。
大河原:今 開けますよ。
茂兵衛:裕一! 裕一はどこじゃ!?
●関内家・居間
吟:赤ちゃんのように気持ちよさそうに寝とるわ。
光子:この状況で…やはり ただもんじゃないわね。
音:私 起こしてくる。
光子:そのままでいい。きっと 福島のご実家は大騒動よ。
●呉服屋「喜多一」玄関
茂兵衛:どこにいるのか 教えろ。
三郎:知らねえ。あいづ 何考えてんだ…。
茂兵衛:おおかた 一人でイギリス行くのが怖くなって逃げたとこだろう。親が親なら子も子だ。
三郎:やかましい!
茂兵衛:あ~!
三郎:あっ いてっ! いててて…。あっ! あそこだ!
浩二:親父!
三郎:えっ?
浩二:横浜の坂梨さん もう来るよ。
三郎:それどころじゃねえ!任せる!
●関内馬具店
(戸を開ける音)
裕一:あっ…お…音さん すいません あの…寝過ごしてしまいました。
音:おはよう。岩城さん いい?
岩城:ああ…まあ あとは一人で十分だ。
音:はい。
裕一:あっ 失礼します。
●吉田城(豊橋公園)
裕一:馬具ってかっこいいね。
音:豊橋は昔から城下町で今も陸軍の施設がたくさんあるの。町と軍は切っても切れんの。
裕一:嫌なの?
音:うちで作った馬具って全部 軍用のもんなの。仕事手伝っとる時に ふと思っちゃうんだ。これ 人を殺めるために使われるんだって。まあ それで生活しとるから偉そうなことは言えんけど。
裕一:軍人さんの命 守ってんのも馬具ですよ。すばらしい馬具なら馬にも負担かけないし。
音:ありがとう。
裕一:何がですか? おおっ 城壁だ。うわっ 気付かねがった!
音は思い出の地を案内しました。ここは子どもの頃 かぐや姫に選ばれず落ち込んでいた時に お父さんに励まされた場所でした。
●豊橋市内の教会
音:ここで ちっちゃい頃 双浦環さんの歌を聴いたの。
教会は 歌手を目指すきっかけになった場所でした。
音:それがきっかけで 私も歌いたいって思ったんだ。裕一は双浦環さん 知っとる?
回想・裕一:きれいだ~。
裕一:…いや 知らない。
音:ふ~ん。
●豊橋市内の団子屋
音:はい。
裕一:うん? えっ…何これ?
音:安隆スペシャル。お父さんがよく食べとったの。
裕一:わあ…ぜいたくだね!
2人:頂きます。
おいしいおだんごも頂きました。お父さんが大好きだったお店でした。
音:おいしい?
裕一:うん! おいしいです!
●豊橋の海岸
そして…海に来ました。
裕一:ねえ 聞こえる?
音:波の音。
裕一:音楽だよ。音楽が聞こえる。
音:お父さん 元気かな?
裕一:聞いてみっか。お父さ~ん! 元気ですか~?
(波の音)
裕一:元気だって。
音:歌手になるってお父さんと約束したの。
裕一:あっ じゃあ お父さんに詩 書いてよ。僕 曲作っから。
音:うん。
裕一:うん!
(鳥の鳴き声と波の音)
(波の音)
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。