朝ドラ「エール」第29話、日本作曲界の重鎮・小山田耕三の依頼で、裕一と雇用契約を交わすことを約束したコロンブスレコードの廿日市。
条件は1年で3500円。ひと月に2曲以上作曲すること。
それを伝えに福島に行った音だったが、まさから「お引き取り下さい!」と門前払い。その後、銀行の仕事を淡々とこなすようになった裕一の前に、また音の姿が。
本日の気付き●まさと対面した時と、教会で裕一に会った時の音ちゃんのネクタイの形が違うので、音ちゃんは短期間で福島を二度訪問したということになります。
それにしても裕一、煮え切らない…。華丸師匠の嘆きに激しく同意です。
エール(29話5月7日)セリフ
●川俣銀行・職場
落合:今日は喜ばしいお知らせがあります。とうとう鈴木君が結婚することになりました!
昌子:お~!
(拍手)
鈴木:ありがとうございます!
昌子:相手は? どんな人?
鈴木:実は…古山君を初めてダンスホールさ 連れてった時に最初に声をかけろと言った女性でして…。
回想・鈴木:あの辺にしよう。あのぐらいがちょうどいい。
裕一:あ~! 鈴木さんが「あのぐらいがちょうどいい」って言ってた…。
落合:古山君 古山君…。
鈴木:あっ…違う 違う! いい意味でいい意味でちょうどいいだから! あの…いい意味で愛してるって。
落合:失敗は誰にでもあるが 失敗から学ぶ人間は少ねえ。逃げんなよ 自分の心から。
●東京・コロンブスレコード
杉山:既に断った案件です。以上です。
音:よろしいんですか?ビクトリーレコードさんと契約しますよ。
あっ うそです。
音:イットウレコードさんもご興味を持たれています。
もちろん うそです。
音:しかしながら コロンブスレコードさんは 姉の見合いの席でご紹介された義理があるので わざわざ参った次第です。
杉山:少々…お待ち下さい。
♪
廿日市:こちらから連絡させて頂こうと思っていた次第です。1年で3500円。ひとつきに2曲以上書いて頂くということでいかがでございましょう?
●東京・親戚の家の離れ
吟:3500円!? 今まで私が見合いした誰よりも高給取りじゃん。どうやって勝ち取ったの?
音:突然なの。訳が分からん。
吟:契約書は?
音:ある。
吟:騙されてとる心配は どこにもないわ。
音:裕一さん 喜ぶかな?
吟:当たり前じゃん! これ持って早く福島に行っといでん。「善は急げ」よ!
音:はい!
●福島「喜多一」
(戸をたたく音)
及川:はい。
音:おはようございます。関内音と申します。朝早くから申し訳ありません。一刻も早くお伝えしたいことがあり参りました。
大河原:あの~どちらさんで?
●福島「喜多一」客間
音:大手レコード会社が裕一さんと契約すると言っています。ここに契約書もあります。裕一さん 音楽を続けられるんです。裕一さんに音楽を捨てさせないで下さい。お願いします。もし…私がお気に召さないなら身を引きます。それでもどうか…それでも裕一さんに音楽を捨ててほしくないんです。お願いします。
まさ:頭を上げて。私は裕一の母です。厳しい世界であの子が傷つく姿をもう…見たくない。
音:諦めた今が一番傷ついています。
まさ:それでも…やめれば これで終わります。音楽がそばにある限り 裕一の心は傷つき続けます。もう…傷つく裕一を見たくないんです! 分かってくれる? あなたも子どもを持てば分かってくれる。成功を求めて傷つくより身の丈に合った幸せをつかんでほしいの。
音:彼の身の丈は 世界にとどろく音楽家です。
まさ:ありがとう。うれしいわ。でもね…選ばれる人って…導かれていくものだと思うの。留学が決まった時 もしかしたら裕一もそういう人なのかもしれないって思ったわ。なのに…。こんなに大きな夢見せられて…世界が不況だからって留学を取り消されて…。裕一は傷つけられた。どうか…お引き取り下さい!
●川俣銀行・職場
鈴木:ああ…頂きます。うん!
三郎:ハァ… あっ あっ…!
鈴木:どうしました?
三郎:裕一は!?
鈴木:茂兵衛さんが連れていきましたけど。
三郎:どこに!?
●川俣銀行・小島医院
茂兵衛:もう10年になる。何度か危ない時があったが持ちこたえた。
裕一:どうして 僕をここに?
茂兵衛:お母さんになる人だろう。
裕一:そ…そうですね。
茂兵衛:今 目 動いたか?
裕一:いや… 気付きませんでした。
茂兵衛:いや 動いた! 裕一 手 握ってやってくれ。
裕一:あっ…ゆ…裕一です。
♪
茂兵衛:ほら。
裕一:ああ…ありがとうございます。
茂兵衛:舶来品だ! 返せよ。
裕一:伯父さんは?
茂兵衛:先生に 話 聞いてくる。帰りは車呼ぶから心配ねえ。
裕一:それじゃあ。
茂兵衛:フフッ。
●川俣銀行
三郎:おっ!
裕一:何?
三郎:音さんが来た。母さんと話してる。
裕一:そう。僕には関係ない。
三郎:そんなわけねえだろ! 音さん おめえのために来たんだ。すぐ帰るぞ。
裕一:父さん…もうお願いだから来ないでほしい。もう…ほっといて。僕は権藤裕一になる。
●川俣銀行・職場
裕一は淡々と銀行の仕事をこなすようになっていました。
●福島日民新聞・編集部
編集長:おい テツ。あの天才の留学 世界恐慌の影響で取り消しになったらしいぞ。
鉄男:えっ?
●川俣銀行
落合:村野さん。
鉄男:あいつは?
落合:恐らく 教会でしょう。
鉄男:あいつは大丈夫ですか?
●川俣・教会
司祭:今日は弾かないんですか?
裕一:もう やめようと思ってて。
司祭:お客様が来てます。許可をもらってから会いたいと。
裕一:誰ですか?
司祭:関内音さんと申されてました。
♪
音:ごめん また来て。
裕一:ううん…どうしたの?
音:怒っとる?
裕一:ううん…何も。何?
音:私 レコード会社を回ったの。裕一さんを作曲家として雇ってもらえないかって。
裕一:いや…こんな田舎の音楽学校も出てないやつ 誰も相手にしないよ。
音:コロンブスレコードが契約してくれるって。裕一さん 認められたんだよ!音楽作れるんだよ!もう一回挑戦しよう! 裕一さんならやれる…きっとやれる!
裕一:ありがとう。
音:じゃあ…。
裕一:それだけで…。
音:これ断ったら終わっちゃうよ。本当に終わっちゃうんだよ。いいの? 裕一さん!
裕一:音さんは…音さんの人生 歩んで下さい。
鉄男:おめえ 何言ってんだ!?
音:誰?
裕一:小学校からの知り合い。昔 よく いじめられてた。
鉄男:おい! おめえ どうした? 何でそんなにひねくれてんだ! せっかくこの人が見つけてくれた契約 何で断んだ? 東京に行け…なっ? 俺も行く! 作詞する! お前は曲作る! なっ?
裕一:何で…? 何で? 何で みんな…みんな 僕のこと ほっといてくれないんだ。
音:救われたからよ! 励まされたからよ! 元気をくれたからよ! みんな あなたに幸せになってもらいたいの。自分の人生を歩んでほしいの!
●川俣銀行・裕一の部屋
裕一:自分の人生…。自分の人生… 自分の人生…。家族の幸せ…家族の幸せ 家族の幸せ…。
(雷鳴)
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。