朝ドラ「エール」第31話、音との新婚生活をスタートさせた裕一は、コロンブスレコードの専属作曲家として仕事を始めるが…。
同期の作曲家・木枯正人は19曲連続、裕一は21曲連続でディレクターの廿日市誉から不採用の駄目出し。
一方、音は昭和六年度東京帝國音楽学校入学式へ、という展開で、明日辺りは謎の男は出てきそうな予感です。
エール(31話5月11日)セリフ
●古山家・寝室
裕一:うん?
●古山家・台所
(食材を切る音)
裕一:おはよう。
音:あっ おはよう 裕一さん。
裕一:あ~うまそう~。
音:えっと…おみそは…。
裕一:うん? おみそ? あっ これかな?
音:あっ そうそう ありがとう。
裕一:何のみそ?
音:八丁みそ。
裕一:は…八丁みそ…へえ~。
音:ちょっと待っとってね~ すぐ出来るから。
裕一:うん。
音:えっ 何~?
裕一:何でもないって。
新婚生活が始まりました。今日も音さんは最高にすてきです。
●古山家・居間
裕一:頂きます。
音:頂きます。どうしたの?
裕一:うん? ああ…いや。あれ…あれ? うん? し…汁だけなの? これ。
音:具が入っとったら おみその風味を味わえんでしょ?
裕一:あ~そっか。あれだね あの…八丁みそって あの こ…個性的だね。
音:もしかして 白みその方がよかった?
裕一:ううん ううん…。八丁みそ おいしいよ。うん! ちくわもおいしい!
音:品数少なくてごめんね。お料理 もっと勉強するから。
裕一:ううん! 僕 あの ごはんと納豆あれば もう十分だから。
音:納豆?
裕一:えっ? あっ…納豆 駄目?
音:でも 裕一さんが好きなら 今度買っとく。
裕一:うん! あ…ありがとう。あ~ ご…ごめん。
音:ねえ 裕一さん。
裕一:うん?
音:これから 何て呼べばいい?
裕一:いや… う~ん…ぼ…僕は何でもいいけど…。
音:私のことは 音でいいよ。呼んでみて。
裕一:えっ? 今?
音:早く。
裕一:お…音。
音:キャ~! な~に? あなた。
(笑い声)
音:もう一回。
●コロンブスレコードコロンブスレコード。裕一がこの秋から専属作曲家として働くことになったレコード会社です。
廿日市:お~!
裕一:あっ 廿日市さん! 今日からお世話になります。
廿日市:おはよう。もう一人 来てるはずなんだけどな~。あっ! 彼が君と同期の作曲家 木枯君だ。
木枯:どうも。
裕一:どうも。
廿日市:じゃあ 行こうか。
裕一:はい。
●コロンブスレコード・第一スタヂオ
廿日市:じゃあ 中 見てくるからここで待ってて。
裕一:はい。あっ…木枯さんって本名ですか?
木枯:うん。
裕一:小説の主人公みたいですね。
木枯:フフフ…。
裕一:いや…。
木枯:君の名前は?
裕一:あっ…こ…古山裕一です。よろしくお願いします。
廿日市:はい ここが録音室ね。
コロンブスレコードには西洋音楽を扱う青レーベルと 流行歌を扱う赤レーベルがあります。裕一が契約したのは赤レーベル。この赤レーベルの売り上げが会社の主な収益です。
廿日市:あの人も もともと西洋音楽の声楽家だったんだよ。
裕一:はあ~。
廿日市:君も頑張ってね。
裕一:はい!
●古山家・玄関
音:はい。
吟:フフッ どうも。アハハハ!
音:お姉ちゃ~ん!
吟:音~!
●古山家・居間
吟:どう? 新婚生活は。ちゃんと家事やっとるの?
音:なんとか。学校まで あと半年あるから それまでに全部覚えるつもり。どうぞ。
吟:ふ~ん。でも結構きれいにしとるじゃん。あんたのことだから もっとわやくちゃになっとるかと思っとったけど。
音:あっ 掃除はね 裕一さんがやってくれとるの。
吟:ええっ!? それ あんたの掃除が雑だからじゃないの? 四角いところを丸どころか三角に掃く人だもんね。
音:そんなことないよ! お姉ちゃんはお鏑木さんと順調?
吟:うん…まあね。あ~私も早く落ち着きたいわ!
音:結婚っていいよ。楽しいよ。
吟:幸せそうだもんね。
音:うん 幸せ! フフフ…。
吟:何か…腹立つわ その顔!
2人:んっ んん…んん~!
●コロンブスレコード・作曲家ルーム●古山家・玄関
裕一:ただいま。あ~疲れた。
音:お帰りなさ~い! お疲れさま。
裕一:ありがとう。
音:ごはん もうすぐ出来るけど ごはんにする? お風呂にする?
裕一:お風呂にすっかな? あ~ありがとう。
●古山家・居間
音:へえ~その木枯さんって方 面白いわね。
裕一:いや もう…こっち ヒヤヒヤしたよ。
音:あっ! 牛島ゆたかって「海の喫茶店」の作曲家でしょう?
裕一:あっ そうなんだ。う~ん 流行歌のことも勉強しないとな~。うん おいしい!
音:裕一さんは裕一さんの音楽を作ればいいじゃない。
裕一:うん?
音:西洋音楽の素養があるって強みだと思う。裕一さんにしか書けん曲を書いてほしいな。
裕一:そうだね…頑張るよ。うん!
音:うん。おいしい?
裕一:とってもおいしい。
音:フフフ。
●古山家・仕事部屋
(♪ 鼻歌)
裕一:んっ…。
(♪ 鼻歌)
裕一:♪「わたし ちょいちょい」「愛してるったら」「わたし ちょいちょい 愛してるったら」
(ノック)
音:コンコン 音です。
裕一:はい。
裕一:♪「ちょいちょい 愛してるったら」
音:どう? いいの 書けそう?
裕一:う~ん…どうかな~?
音:お夜食作ったから 一段落したら食べてね。
裕一:うん!ありがとう。
音:じゃあ 頑張ってね。
裕一:うん! ちょうど小腹すいてた。
音:うん よかった。
裕一:ありがとう! えっ? フフフ…。また八丁みそ?
●コロンブスレコード・第一レコーディング室
廿日市:う~ん…これじゃ駄目だな。
裕一:えっ? いやいや あのあの ど…どこが駄目なんでしょう?
廿日市:駄目だよな?
杉山:はい。
裕一:えっ?
廿日市:やり直して。
裕一:はい…。
♪
裕一:こんな具合で…いかがでしょう?
廿日市:ちょっと違うかな~。
♪
廿日市:う~ん…違うね。
裕一:ち…違う…。
♪
廿日市:没。もう一回。
裕一:ぐ…具体的には ど…どこが…?
廿日市:それを考えるのが 君の仕事。
♪
廿日市:これじゃ駄目だな 書き直して。
その後も裕一の曲は全く採用されませんでした。
(半年後)
●古山家・台所
裕一:音 おはよう。
音:おはよう!
裕一:ねえ みそ なくなりそうって言ってたよね? たまたまなんだけどね 白みそもあって…。
音:あ~! もうこんな時間 急がんと。
裕一:いよいよだね。が…頑張って。
音:ありがとう。裕一さんも今日は曲の提出日だったよね。
裕一:今日はね いけそうな気する!
音:いける いける。今度こそ絶対採用されるよ!
裕一:ありがとう。
音:は~い!
裕一:頑張って。
●コロンブスレコード・作曲家ルーム
裕一:ま~た駄目だった…21曲 連続不採用。
木枯:こっちも19曲連続。これ まずいわ。
裕一:まずいね~。
木枯:しかも そっちは所帯持ちだもんな。金はどうすんの?
裕一:まあ…契約金はいっぱい残ってっから 当面は。
木枯:はあ? あの契約金 印税の前払い金だぞ。
裕一:どういうこと?
木枯:レコード売れるのが前提の前払い金。まあ つまり自分の金じゃないってこと。まあ 借金みたいなもんだ。
裕一:しゃ… しゃ しゃ…借金!?
裕一:売れなかったら 全額返さなきゃいけない。もし返済請求されたら 家族養えなくなるぞ。
●昭和六年度東京帝國音楽学校入学式
●コロンブスレコード・作曲家ルーム
裕一:うそだろ~…。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。