朝ドラ「エール」第54話、往診した医師から「覚悟はしておいて下さい」と言われた三郎の深刻な病状。
弟の浩二は、養蚕農家を訪ねて桑畑をりんごを育てる果樹園にしないかと説得を試みるも、冷たくあしらわれ…。
その憤りもあり(?)、家に帰ってきて裕一に「いっつも自分の感情ばっかで動きやがって。兄さんはな…もうとっくに家族じゃねえんだよ!」と罵詈雑言。
裕一を外に連れ出した三郎が言う承諾してほしいこととは、喜多一の跡取りは浩二なので財産分与はない。全部、浩二に渡すということかと。
それにしても浩二。優柔不断な兄と頑固一徹の弟という感じで、裕一は父親似、浩二は伯父の茂兵衛さん似ということなんでしょうね。
エール(54話6月11日)セリフ
三郎:うっ!
音:大丈夫ですか?
三郎:ちっと…飲み過ぎたな。
♪
浩二:父さん もう長くねえんだ。胃がんだって。父さんの前でそんな顔 絶対にすんなよ。
●福島「喜多一」三郎の寝室
三郎:いててて…いてててて…!ちょっ…もっと優しく触ってくれよ。
医師:三郎さん 昨日も酒飲んだんだって? 駄目だよ。
三郎:酒飲まねえと健康かどうか分かんねえ。
まさ:お父さん。
医師:絶対安静 酒は厳禁。いいですね?
(あくび)
三郎:もう一眠りするわ。昼飯出来たら 呼んでくれ。なっ?
まさ:はい。
●福島「喜多一」茶の間
医師:とにかく 今はなるべく体力を温存して無理はさせないようにして下さい。食事も消化のいいものを。
まさ:はい。
裕一:あの…手術はできないんですか?
医師:難しいです。あの状態では手の施しようがありません。立って歩いてんのが不思議なくらいなんです。気だけでもってるようなもんですから。覚悟はしておいて下さい。
まさ:はい。
●福島「喜多一」三郎の寝室
<<父さん 入るよ。
三郎:おう 入れ。どした? しけた面して。へへへ。
裕一:もともと こういう顔だよ。暇だろうと思ってさ…。何か食べたいもんとかねえの?
三郎:ハーモニカ。
裕一:うん?
三郎:久々に聴きてえな。おめえが商業学校時代に作った曲 なかなかよかった。
裕一:ごめん。持ってくればよかったね。
三郎:ハッハッハ!大作曲家はハーモニカなくても作曲できっからな。
裕一:いやいや そんなんじゃねえって。
三郎:ハハハ…。
♪
まさ:入りますよ。おうどん 出来ました。
三郎:おお…。おっ うまそうだな。
音:裕一さんの分も持ってきたよ。
裕一:ありがとう。
三郎:よ~し 頂きます。ああ…。
まさ:どう? おいしい?
音:私がだし作ったんです。
三郎:いまひとつだな。うん…。
裕一:えっ? また…。い…あっ おいしいよ。すごくおいしいよ。
まさ:ゆっくりね。
三郎:うん…。
裕一:食べてるよ ほら。
三郎:いまひとつだな こりゃ。
裕一:何でよ。
●養蚕農家
浩二:お願いします。畠山さんの桑畑を是非 果樹園にして頂けませんか?
畠山:何べん来たって答えは同じだ。ここいらは養蚕業で成り立ってんだ。あんたら役所の人間だって お蚕様ってありがたがってたくせに 今更商売替えろだと?
浩二:でも養蚕業じゃやってけねえって お二人だって分かってんでしょ? 実際 廃業に追い込まれた同業者増えてんです。
畠山の妻:一体 何 育てさせたいの?
浩二:りんごです。
畠山の妻:りんごなんて もっと寒いとこじゃないと育たないんでねえの?
浩二:確かに南でりんごを栽培するのは難しいとされてます。でもここ福島なら問題ありません。むしろ気温差 調べっと 福島の方が適してると言える。例えば この地域でりんごを栽培した場合 りんごの花が咲くのが青森より3週間ぐらい早くなります。
畠山:だからって さっさと時期 終わっちまったら意味ねえべ!
浩二:いや でも専門家の先生が言うには 福島なら年の暮れまで収穫が可能らしいんです。長い時間かけて熟成したりんごは 他の地域で作ったりんごよりも甘く栄養価も高くなるって。
畠山の妻:そんなの 絵空事でねえの?
浩二:絵空事かどうかはやってみねえと分かりません。市からの援助も取り付けますから。
畠山:あんた…なして そげな賭けみてえなことやりてえんだ? うまくいかなかったら責任取れんのか?
浩二:それは…。
畠山:そだ覚悟のねえやつに 先祖代々受け継いできた土地を使うわけにはいかねえ。さっさと帰ってくれ。
浩二:分かりました。これ…。今日はこれで失礼します。
畠山:おう! そういや あんたんとこの兄貴「船頭可愛や」の作曲家なんだって? 今度 来っ時は 兄貴のレコードぐらい持ってこ!
浩二:また来ます。
●福島「喜多一」茶の間
(障子が開く音)
まさ:怖いの…。いつ おとうさんが…って思ったら すご~く…怖いの。川俣のことで苦労かけてきたからかな…とか。どうしてもっと早く気付いてあげられなかったのかなって。おんなじことばっかし頭ん中でぐるぐるしてんの。
(泣き声)
●福島「喜多一」裕一の部屋
裕一:父さんのことさ…何か 僕らにできっことないかな?東京の大きな病院 連れてくとか。
音:汽車に乗るのは体に障るんじゃない?
裕一:着くまでの辛抱だよね? こんな田舎の医者じゃなくて もっと腕のいい先生に診てもらえれば手術だって できっかもしんない。ねっ?
音:お義母さん 泣いとったの。お義父さんの前では一生懸命振る舞っとるけど ずっとつらかったんだと思う。
●福島「喜多一」三郎の寝室
三郎:うっ! うう…ううっ! うっ うっ…ううっ うう…うっ…。
●福島「喜多一」茶の間
音:よかったね。
裕一:母さん。
まさ:うん?
裕一:これ…やっぱ 受け取ってくんないかな?
まさ:あなたたちだって これからが大変でしょ?華ちゃんだっているし。
音:私たちの滞在費でもあるので 気にせず。
裕一:母さん 本当に。
まさ:じゃあ…ありがたく頂きます。
<<ただいま~。
浩二:また 母さんに擦り寄ってたのか。
まさ:そんな言い方しないの。裕一は…。
浩二:母さんは黙ってて。こんなもの要らねえって言ったろ。
裕一:いや ほら 今 いろいろ大変だろうしさ 父さんのことも僕にできっこと…。
浩二:兄さんの手助けはいらねえ。
裕一:ねっ…こ…浩二 浩二 ちょっと…。僕に頼りたくないのは分かんだけどさ 父さんこのままほっといたら本当 大変なことになっから…。
浩二:兄さんは何も分かってねえ。俺らだって やれっことは全部やってきた。金 工面して福島で一番いい先生に診てもらって それでも駄目だったんだ。いっつも自分の感情ばっかで動きやがって。兄さんはな…もうとっくに家族じゃねえんだよ!
<<(足音)
三郎:騒がしいな おい。
まさ:何でもないから ゆっくり休んでて。
三郎:目 覚めちまったよ。
浩二:いいがら 横になってろよ。
三郎:おい 裕一 飲み行くぞ。
まさ:駄目よ!
裕一:はあ?
三郎:ぼけっとすんな ほら。ハハッ。
裕一:いやいや 父さん。
浩二:先生に止められてんだろ?
三郎:大事な話があんだよ!ほれ。
裕一:父さん ちょっと…ねえ 大丈夫?
音:裕一さんがついてますから。
●近所の神社
裕一:みんな 心配してるよ 父さん。父さん 帰ろう。
三郎:裕一…俺はもう駄目だ。みんな 必死にごまかしてっけど それぐれえ分かる。
裕一:な…何の話?
三郎:その顔…おめえ ちっとも変ってねえな。おめえに承諾してもらいてえことがあんだ。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
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