朝ドラ「エール」第6話、あちこちから借金をして夜逃げした鉄男一家。その前に村野家を訪れて鉄男に「頼ることは恥ずかしいことじゃない」と手渡したのが、福島日民新聞記者 沖隆の名刺。
これで鉄男は新聞記者になるという伏線決定。そして藤堂先生は「俺はないものを追ったんだ」とのことで、一体何を追ったのか? 神出鬼没な久志ともども藤堂先生の過去が気になったところで明日からは豊橋編。
もったいぶるところが抜群!(褒めてます)と書いて今週もよろしくお願いいたします。
エール(6話4月6日)セリフ
大河原:3代100年続いた喜多一も いよいよ終わりか。
三郎:お義兄さんに融資を頼もうと思う。
まさ:頼むのなら その前に…お伝えしとかなければいけないことがあります。
茂兵衛:息子が2人だ。どちらがを養子に出せ。
三郎:ああっ…。
♪
久志:それ 大将の? きっと大事な本だよ。
裕一:そうだ…き…君 返してといてくんない?
●鉄男の家の前
裕一:た…確か…この辺…。
善治:ふざけんなよ!
(殴る音)
善治:親に口答えなんか100年早えわ! もっと稼げ! 稼ぐまで帰ってくんな!
富紀子:やめて あんた!
善治:んっ!
善治:おまえは魚屋だ。色気出すんでねえ!
♪
鉄男:何だ? お前…。何 見てんだ。
裕一:いや あの…こ… これを…。
鉄男:何してんだ。
裕一:ご…ごめんなさい!
●呉服屋「喜多一」
まさ:裕一 傘持ってたかな?
三郎:何だ おめえ びしょ濡れじゃねえか!
(翌朝)
裕一:ごちそうさま。
まさ:あっ お弁当。
裕一:行ってきます。
まさ:何があったんでしょ?
三郎:俺…これから 郡山さ 行ってくるんわ。
まさ:頑張って。
♪
大河原:行ってらっしゃいませ。
桑田:行ってらっしゃいませ。もう最後の望みですね。
大河原:いや まあ創業からのつきあいだから…うん 貸してくれっぺ。
桑田:駄目だったら…。
大河原:まだ ほら おかみさんとこの実家 川俣銀行がある。
桑田:ああ…。
大河原:大丈夫だから うん。
●通学路の林の中
鉄男:古山。俺は筋を通す男だ。
裕一:やめて…。
鉄男:悪かった。
裕一:はあ?
鉄男:これ。
裕一:ありがとう。
鉄男:吹け。
裕一:えっ?
鉄男:直ってるかどうか 拭かなきゃ分かんねえべ。吹け。
(ハーモニカの音)
鉄男:すまねえ。
●呉服屋「喜多一」店内
大河原:おお…お帰りなさいませ!
店員:お帰りなさいませ。
大河原:どうでした? 郡山東銀行 もう古いつきあいなのに!
三郎:それが…。
大河原:何ですか?
三郎:先代なら無担保でも貸すが 俺には… だど。
大河原:旦那さん もう川俣銀行しか残ってません。旦那さん ご決断を!
●川俣・権藤家
(ノック)
女中:失礼します。
茂兵衛:入れ。
女中:まさお嬢様からお電話です。
茂兵衛:うん…うん!
(まさからの電話)
茂兵衛:何!?
まさ:うちにある骨董品を全部売りに出して…。
●呉服屋「喜多一」
三郎:ほら 持ってけ ジャンジャン! おい 落とすなよ! 気をつけろ! 及川 早く! 危ねえ…早く 運べ!
●川俣・権藤家
茂兵衛:それでなんとか金を作っだ…だど?
●川俣・権藤家・源蔵の部屋
茂兵衛:当座をしのいだだけです。すぐに行き詰ります。
源蔵:はよせえ。跡取りが決まらんと 死んでも死にきれん。
茂兵衛:分かってます。
●福島信夫小学校・教室
藤堂:そういうことか…。それで古山のやつ ハーモニカ持ってきてなかったんだ。
久志:乃木大将 近頃学校来てないし よくないことに古山も巻き込まれなければいいなって。
藤堂:お前も 優しいとこあんだな。
●寺の境内
裕一:ま…「万葉集」も? やっぱし。
鉄男:昔の歌とか詩が好きなんだ。全部読んだ。
裕一:すごっ! しょ…将来は詩人だね。あ…あの詩 すごかったもん。
鉄男:あの詩?
裕一:そ…「空にかかれし 満月の」ってやつ。
鉄男の詩:「空にかかれし満月の 地上に落ちてはかなくも 光里包みて紅燈の 小袖を濡らす涙雨」
鉄男:親父が許さねえ。
裕一:で…でも 詩を書ぐのは得意なんでしょ? 人よりほんの少し 努力することがつらぐなくて ほんの少し簡単なこと。それが得意なことだって藤堂先生言ってた。しがみつけば必ず道は開ぐって。大将 詩人になれるよ!
鉄男:バカ言うな。
裕一:いや 絶対になれる!
鉄男:うるせえ。母ちゃんや弟の面倒も見なきゃなんねえ。おめえとは違うんだ。
裕一:でも…。
鉄男:おめえ 明日食うもんの心配したこと あっか? 明日食うものがねえ。弟に食わせるものがねえ。そんな心配したごと あっか? 俺は毎日だ。毎日毎日明日食うもんの心配してんだ。
裕一:なら 僕の家の…。
鉄男:バカにすんな! 俺は乞食じゃねえ!
裕一:ごめん。
鉄男:俺は素を書くのが好きだ。でも それじゃ飯は食えねえ。
裕一:あの詩…。あ…あの詩に曲をつけっから。いい?つけたら 持ってくね。
●呉服屋「喜多一」居間
(レコード)
日曜日の昼下がり。穏やかな日ざしと音楽に包まれ 幸せな2人でしたが…。
(走ってくる足音と戸が開く音)
まさ:起ぎて! 大変!
三郎:善治が夜逃げ!?
まさ:あちこちからお金借りて いなくなったみたい。
●鉄男の家の前
借金取りA:もぬけの殻だ。街へ出やがったな。
借金取りB:はかりやがったな こりゃ。
●福島の町を見下ろす丘の上
(荒い息遣い)
裕一:大将 出来たよ。聴いで。♪「空にかかれし満月の 地上に落ちて はかなくも 光里包みて紅燈の」
(回想:鉄男の家の前)
藤堂:頼ることは恥ずかしいことじゃない。自分の才能から逃げるな。一生後悔するぞ。
鉄男:先生は逃げだの?
藤堂:俺は ないものを追ったんだ。
藤堂先生が鉄男に渡した名刺「福島日民新聞 記者 沖 隆」
(回想閉じ)
●福島の町を見下ろす丘の上
(裕一のハーモニカの音)
この2人の組み合わせがヒット曲の数々を生むのは まだずっと先の話で。そのころ 裕一の運命の人も 波乱万丈な人生を歩きだしていました。
●川俣の街中
安隆:ほら あそこ おった。
音:あっ すごい。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。