朝ドラ「エール」第61話、時が過ぎて昭和11年。コロンブスレコードと契約して5年が過ぎ、娘の華は4歳。
裕一はご当地ソングや「大阪タイガース」など球団歌を数多く手がけ、低め安定の作曲家生活を送っていた。
ある日、裕一は廿日市から「コロンブス専属新人歌手募集」のオーディション合格者のデビュー曲の作曲を依頼され、久志にオーディション参加を勧めて…。
という流れで、明日は何故久志が歌を好きになったのかが判明し、早く出てこい御手洗テーチャーです。
エール(61話6月22日)セリフ
●コロンブスレコード・文藝部
昭和十一年
廿日市:いや~どうも どうも!
コロンブスレコードと契約して はや5年が過ぎ…。
廿日市:どうぞお納めください。仙台市民の皆様もきっとお喜びになりますよ。
仙台市関係者:ありがとうございます。これ 君たちも。
3人:ありがとうございます。
ミス仙台:先生 記念にお写真いいだか?
裕一:あっ はい。
ミス仙台:私がお隣! 私がお隣さ!
カメラマン:じゃあ お写真撮ります。すいません ちょっと下がって下さい。じゃあ 写真撮りますね。
仙台市関係者:はい。
カメラマン:もうちょい寄って。はい 笑顔で。はい いきますよ~。は~い。
(カメラのシャッター音)
♪
廿日市:この曲は必ずファンの心をつかみます! 巨人に勝てますよ!
掛田寅男:おおきに おおきに!
廿日市:ハハハハハ よかった。
♪「六甲おろしに」
廿日市:ほら。
裕一:ああ…。
♪「颯爽と」
裕一はご当地ソングや球団歌を数多くてがけ 安定した作曲家生活を送っていました。
裕一:ありがとうございます! アハハハ…。
●喫茶店「バンブー」
音:ほらほら 慌てて食べないの。
華:お代わり!
保:はい。
音:もう たくさん食べたでしょ? 終わりです。
娘の華も4つになり ますますやんちゃ盛りです。
音:こら! 駄目。
保:はい。これ サービス。
華:やった!
音:いつもすみません。華「ありがとう」は?
華:ありがとう 保!
保:どういたしまして。
音「保さん」でしょ?
保:いいのいいの。
(ため息)
恵:華ちゃん しっかりしてきたわね。
音:まだまだですよ。おねしょもするしね。ん~?
華:保 コーヒー作るの見せて。
保:あ~いいよ。
音「保さん」でしょ!
保:いいのいいの。
音:もう~。
恵:華ちゃんが生まれてから 音さん いい顔してる。
音:そうかな?
恵:うん!
音:毎日バタバタで大変ですよ。
●古山家・書斎
裕一:フフフフ…。
(ノック)
音:コン コン コン!
裕一:華ちゃん 華ちゃん な…何描いてんの?
華:チョウチョ!
裕一:あっ チョウチョ! あ~かわいい…。
音:華ちゃん お父さんの仕事の邪魔したらいけません。
裕一:ううん 大丈夫だよ。大丈夫 大丈夫…。かわいいな~。あっ!
音:誰?これ。
裕一:あっ それね この前 レコード渡した時に記念に撮ってもらったの。大阪と仙台の皆さん。
音:へえ~仙台の人はみんなきれいね。
裕一:あっ! 是非 今年の七夕祭り来て下さいって。
音:そんな暇ないでしょ。締め切り いくつも抱えてるんだから。
裕一:そうだけどさ…。
華:出来た! お父さん撮って。
裕一:うん! あ~上手だね~!
華:すごいでしょ フフフ。
裕一:うん! 上手。
華:ここが目なんだよ。
裕一:あっ これ 目? ハハハ いいね!
音:ずっと続くといいねえ。
裕一:うん? 何が?
音:裕一さんのお仕事が順調に続いて 華もどんどん大きくなって…。
裕一:そうだね。
音:はい お片づけして下さい。
華:はい!
裕一:はい カエルさんも。
音:はい どうぞ。よし お手伝いしてくれるかな?
華:はい!
音:よいしょ…。じゃあ 頑張って。
裕一:写真…。
(ドアが閉まる音)
●コロンブスレコード・文藝部
廿日市:木枯がテイコク行ってから イケイケドンドンだろう? こっちも何か新しいことをしないとさ…。…ったく あの裏切り者が。金に目がくらみやがって。だから 今回の募集には社運がかかってるわけ!
裕一:社運…。
廿日市:というわけで 合格者の新曲は君にお任せするから。ヒット曲よろしく。
裕一:はあ…。
廿日市:君 ず~っと低め安定だからさ~。そろそろ第二の「船頭可愛や」欲しいよね。ねえ?
●おでん屋台
裕一:どうせ 僕は低め安定だよ!
鉄男:あの野郎 自分で書いてみろっつうんだよな。
裕一:本当だよ!
久志:あ~気分悪い!こんなのが売れるなんてね 世も末だよ。
裕一:誰?
久志:酒ちょうだい。
裕一:ねえ 誰?誰?
久志:音楽学校の後輩 演技も歌も並以下。
裕一:帝都劇場! えっ 後輩君 すごいじゃない!
久志:ちょっと顔がいいだけでワーキャー言われてね。僕みたいな本物はね だまされないんだよ!
鉄男:だったら おめえもプロになれよ。後輩に先越されてる場合か?
裕一:卒業して何年たった?
(犬の遠吠え)
4年前
裕一:卒業おめでとう!
久志:ありがとう!
鉄男:おめでとう! これからどうすんだ?
久志:決まってんだろう。
裕一:おっ!
久志:スカウトが来りゃ 則プロデビューさ。
3年前
久志:今は研鑽を積む時だからね。飲んで飲んで。おごっちゃうから。飲んで。
2年前
久志:自分を安売りしちゃいけないと思うんだ。
裕一:ねえ 見て見て これ。
鉄男:何だ? そのカメラ。
裕一:華のこと撮ろうと思って買ったの。
1年前
久志:僕だよ…。ねえ みんなのプリンスの…僕 佐藤久志だよ!?
(回想)
女子生徒たち:キャ~!
潔子:えっ…プリンス?
音:プリンス?
潔子:音さん 知らないの? 頭脳明晰 眉目秀麗 神が与えし美しい声!
久志:それはちょっと褒め過ぎじゃないかな?
(回想閉じ)
久志:バカ野郎…。
(せきこみ)
久志:僕を見つけられないなんて 世の中 間違ってんだよ。
鉄男:じ~っとしてたって何も変わんねえぞ。俺なんか 毎日必死でネタ考えてんだから。
久志:これ「ネタ」だ。
鉄男:実はよ 路面店出さねえかって話があるんだよ。
裕一:え~? 作詞は? あっ 書いた? あっ 見せて 見せて!
鉄男:仕事の合間に ちょこちょことな。
裕一:うん? これ何?「僕は君の唇に潜り込みたい」。
久志:「ああ もっと近づいて 深くまで…」。
鉄男:あっちょっと ちょっと…。
久志:はあ?
裕一:えっ? せ…成人小説?
鉄男:いや あの…ちょっとした小遣い稼ぎだよ。
久志:こんなくだらない読み物 金になんの? 才能の無駄遣い。あっ もともと 才能なかったりして。
鉄男:ああ!? おめえこそ口ばっかりで全然世の中に出ねえじゃねえか!
久志:はあ!?
裕一:あっ! そうだ! そうだ 久志…これこれ! 応募してみなよ!
久志:合格したら即デビュー?
裕一:そう!
久志:コロンブスお断り!「福島行進曲」が売れなかったのは僕を使わなかったせいだよ。君たち 分かってんのか?
鉄男:おめえ そだ昔のこと まだ引きずってんのか?
久志:デビューっつったって流行歌でしょ? 僕が歌いたいのはね オペラなんだよ。
裕一:いや 流行歌はね ものすごい数の人が聴いてくれんだよ。久志の歌声なら絶対 女性客のウケいいから!
久志:いやまあ 僕が歌ったらいや ウケはいいと思うんだけどさ。でも西洋音楽 裕一も志望だったろう? 未練ないのか?
裕一:ない! …と言ったらまあ うそになるけど。でもね 流行歌がいかに大衆の心をつかむか もう身に染みてよ~く分かったから。
鉄男:頼もしな。
裕一:あ~あ 久志にも体験してほしいな~。
●1軒目の居酒屋
鉄男:準備いいな? いいな? いくぞ。
裕一:よし。
鉄男:よし!
裕一:よし!
店主:いらっしゃい!
鉄男:すいません。お客さん 一曲どうですか?
裕一:どうですか?
客:いい いい…。
鉄男:あっ お客さん どうですか?
客:おにいちゃんたち 流し やってるのか?
裕一:はい!
客:あっ そう。じゃあ一曲お願いしようかな~?
2人:ありがとうございます!
客:いい曲頼むよ!
鉄男:かしこまりました。
客:うん?
鉄男:おい 何歌うんだ?
裕一:何?
♪~(オペラ)
裕一:ちょちょちょ…。
客:うっせい! 引っ込んでろ!
裕一:すいません。
♪~(オペラ)
客:何 訳の分かんねね歌 歌ってんだ! 酒がまずくなるだろう!
鉄男:誰がオペラ歌えっつった!?
久志:分かるやつには分かるんだ。
鉄男:金もらってんだぞ。
久志君…ひとまず オペラは置いときますか。
●2軒目の居酒屋
♪「夢もぬれましょ」「潮風夜風」「船頭可愛や」「エー船頭可愛や」「波まくら」
(拍手)
客:おにいちゃん うまいな!
久志:ありがとう。
おかみ:男の「船頭可愛や」もいいわね~!
客:いい歌だった。何でだか グッと来た。おかげで明日も頑張れるよ。
客の子ども:おにいちゃん ありがとう! かっこよかった!
客:ほら おにいちゃんに渡すんだろう?
客の子ども:うん。杯ありがとう!
客:ありがとう。
裕一:ありがとうございます。
鉄男:ありがとうございます。
●古山家・居間
音:流しでオペラ!? ハハハハ…。
鉄男:笑い事じゃねえよ。もう客からブーブー言われてさ…。
音:じゃあ 全然駄目だったんだ?
裕一:いや~それがさ…。
音:うん?
鉄男:フッフッフッフ…。ほい!
音:えっ!? こんなに?
久志:僕が本気出せば そんなもんさ。
裕一:いい気分だったろ? 拍手喝采浴びて。
久志:まあ悪くはないね。
鉄男:正直に言えよ。おめえ めちゃくちゃうれしそうだったぞ。
久志:笑止千万。プロとしてお金をもらった以上 それなりの仕事をしたまでさ。
鉄男:強がんなって。おめえ あの親子からもらった一銭玉 大事にしまってたくせに。
久志:たかが一銭 されど一銭だよ。
音:でも やってよかったじゃない。
久志:分かった…オーデション受けてあげるよ。
裕一:えっ!? ほ…本当?
久志:コロンブスに僕の力を貸そう。ああ見える…日本中が僕の歌のとりこになるってる姿が。
鉄男:俺も聞こえっぞ~。「あの詞がすてきなのよね~」。
裕一:「あおのメロディー 何回でも聴きたくなるな~」。よし…久志が受かれば 福島三羽ガラスで売り出すのも夢じゃない! 是非 協力させてもらうよ。
久志:ああ! 君にも協力させてあげてもいいぞ。
鉄男:フン! おめえが途中で逃げ出さなきゃな。
裕一:よし…久志。
久志:おう。
裕一:鉄男も。
鉄男:うん!
裕一:絶対 絶対 合格するぞ!
3人:オ~!
●古山家・書斎
(ノック)
音:コンコ~ン! 新しい依頼?
裕一:うん…ありがとう。新人のためのデビュー曲だって。
音:ってことは…。
裕一:久志のための曲。
音:そうなるといいね。
裕一:ねえ。
音:そういえば 久志さんって昔から歌が好きだったの?
裕一:うん? さあ?
音:えっ 知らないの!?
裕一:えっ? 男同士なんてそんなもんだよ。
華:お母さ~ん!
音:うん?
華:おなかすいた!
裕一:おなかすいた?
音:はいはい 分かった分かった。じゃあ ごはんにしましょう。はい。
裕一:ありがとう。
音:頑張って。
裕一:うん!
音「頑張って」は? ほら。
華:頑張って。
裕一:頑張ります。
音:待って 待って…。
(ドアが閉まる音)
裕一:確かに謎だな…。
そう 久志が歌を好きになった理由。それは…あっ!
久志:その謎は明日のお楽しみ。
(つづく)
●字幕を追って書いておりますが、100%完全ではありませんので、どうかご容赦下さい。●セリフに関してはその著作権等、一切の権利はNHKさんにあります。
「エール」ネタバレあらすじとセリフを最終回まで!キャスト紹介も。